人生の道 

2013年12月31日(火) 18時15分
結願。
10年間、10回、1200キロの旅が終わった。

最後の納経を終えても、不思議なほど感慨はない。
やり通したと思うにはあまりにもこの旅は長く、
私の人生に深く食い込んでいる。

いや、それだけではない。
八十八番大窪寺の門前には、
次の一番霊善寺への道しるべがある。
そう、この旅はまだ終わっていない。
結願の遍路は、また、それぞれの人生を歩み出すのだ。

結願へ 

2013年12月31日(火) 18時01分
真冬なのに頬を汗が流れる。

息せききって登りきるとそこは山巓。
これまで歩いてきた四国の地が、
はるか眼下に広がっている。

ここから結願の大窪寺までもう少し。
急な坂を慎重に下ってゆく。

険路 

2013年12月31日(火) 17時54分
八十八番大窪寺までの道は、
山を迂回する車道ルートと、
女体山越えの山道の二つがあるが、
ここまで歩いてきたのだから、
ためらいなく後者を選ぶ。
しかし、標高差800メートル近い山道は、
まだ雪におおわれて、
岩肌を攀じるように道が続いている。

長く苦しい登り坂を、
同じように苦しみながらも乗り越えていった、
あまたの先達を思いだし、
ひたすら無心に登る。

墓前の花 

2013年12月31日(火) 8時48分
志度の浦は、謡曲「海士」の舞台である。

藤原房前と夫婦になった海女は、
房前との子を世継ぎの位につけることを条件に、
竜神に奪われた宝珠を取り戻すため、
暗い海に潜って命を落とす。

志度寺にはその海女の墓がある。
墓前に花を供えたのは、
ちいさな子を持つ優しい母親だろうか。

この道 

2013年12月30日(月) 17時51分
もう10年以上前になる…。
若くして逝った友がいる。
いま、生きていればどんな道を歩いていたか、
悔やまれて仕方ない。

彼女が仕舞「八島」を舞った姿を覚えている。
いや、別の仕舞だったのかもしれないが、
なんとなく、「八島」と彼女のイメージが重なっている。

風の吹きわたる屋島寺で、
ひとり、彼女の菩提を祈る。

潮の香 

2013年12月30日(月) 13時07分
冷たい風もようやく止んで、
雲間から時々薄日がのぞく。
川沿いの道をゆっくり歩いてゆく。

鴨や鷺が水面に足をとめ、
水辺の石では亀が甲羅干し。
わずかの晴れ間を楽しんでいる。

川が海に近づいて、ほのかに潮のかおり。

夜明けはまだ来ない 

2013年12月30日(月) 6時44分
朝6時、テントをたたんで歩き始める。
あたりはまだ暗く、
ヘッドライトを点けて川沿いの道を歩く。

送電線の鉄塔の上に三日月が輝いて、
その下の街並みが、
少しずつ朝焼けに染まっていく。

一昨日以来のコンビニを見つける。
豚汁と肉まんの簡素な朝ごはん。

夜のしじまに 

2013年12月29日(日) 20時25分
やまなみの向こうに夕日が落ちると、
すぐに夜のとばりが降りる。

今夜野宿するのは川沿いの公園。
時々響く犬の鳴き声がやむと、
全くの静寂があたりを支配する。

寝袋にくるまりながら、
今日一日の出来事や、
昔の旅の出来事を想い出して、
いつの間にか道に眠りにつく。

頑張ってます 

2013年12月29日(日) 15時03分
四国といえど、師走の風は冷たい。
時折雪がちらつき、
昼を過ぎても手水鉢には厚い氷が張っている。

遍路道にかけられた様々な札。
これを取り付けたのはどんな人だろうと、
とりとめのないことを考えながら、
人気のない山道を歩く。

空腹は最高の調味料 

2013年12月29日(日) 11時14分
久しぶりの野宿だった。
夜半に寒さで目が覚める。この感覚も久しぶり。

朝、歩き始めると、
あちこちの水溜まりに厚く氷が張っている。

朝ごはんは讃岐うどん。
「山下うどん」は朝から行列の人気店。
冷えきった体に熱い汁が染みわたる。
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