安藤×星野@ー1

March 21 [Wed], 2012, 20:23

バスケで県大会では毎年ベスト4に入る学校のエースが今、目の前で女子に告られている。

そして多分、断っている。


うちのエースである安藤はおおらかな性格だが、バスケのことになると表情が変わる。

しかし決して荒々しくはない。

そんなところに皆惹かれるのだろう。


相手の女の子は結構かわいい子なのに、表情をぐちゃぐちゃにして走って行った。

走って行った女子の後ろ姿をあまり目で追わずあっさり体の向きを変えた。

『あ…安藤ってそんな冷たい顔もするんだ』

全く相手の女の子に興味がないような顔。



「あれっ星野、こんなところで何してるの?」

校舎の陰から覗き見するように立っていた俺に安藤は気が付いた。

もういつもの安藤の表情で、たった今の出来事など微塵も気に留めていない風に俺に笑顔を向ける。


「あ、えっと…」

返す言葉が何にも思い浮かばず、覗き見していたのがバレてしまう、と余計に焦る。

「あ、の…」

「あ、星野も今から着替えに行くとこ?一緒に行こう〜」


『今の、見てた?』

とか言われるかと焦っていたので、からだ全体でホッとした。


「う、ん…」


安藤にとったら女子から告白されるのなんか、さほど大したことじゃないのか。

さっきのほんの一瞬見た冷たい表情の安藤を思い出す。


『俺が好きって言ったら、どんな顔するんだろう』


だなんて、おかしな考えが自分の中から出てきたことに驚く。

なんて妙なことを考えてんだ…


そんなこと考えなくても分かりきっている。

さっきの子以上に相手にされないだろ。



俺が『覗き見』していた校舎の陰から渡り廊下に戻り、バスケ部の部室へ向かった。

部室に入ると着替え終わった後輩たちが体育館へ向かうところで、挨拶を交わし入り口辺りで入れ違い俺たちは着替え始めた。

躊躇なく制服を脱ぎ出す安藤が横目に視界に入って、俺の心臓の動きが速さを増す。

『な、んだコレ…』

手で押さえてみると喉の下辺りがドクドクしている。

「星野?どうかしたの?」

安藤の声に俺の心臓は更に動きを速めた。

「えっ、な、なんでもないよっ!」

そう答えながらも俺の目は安藤の方へは向かない。

「…そう?」

気がつくと安藤は俺のすぐ横に来ていて手を額に当てられた。

「!!わぁっ!なっ、なに!?」

「なにって、熱でもあるのかと思って。だって星野、顔赤いよ?」

そう言って今度は額同士を当てて確認しようと安藤の顔は俺に近づいて、俺は反射的に目を瞑ってしまった。

「ははっ、なんで目瞑るの。かぁわいいの」

安藤にそう笑われて、自分でもなに目ぇ瞑ってるんだろうと思って目を開こうとしたとき何かが唇に触れた。

『え?』

目を開くと安藤の顔が見えたけど、

「うん、熱はないね〜」

と言って離れていった。


「…だから、なんでもないって言ってるじゃんっ」



それから後、何が俺の唇に触れたのか気になって、俺は安藤の姿ばかりを目で追ってしまう。

額に手を当ててくれていたから、その手がぶつかったのか?

でもあの時はもう額同士くっ付けていたから、手はぶつからないじゃないか?

じゃあ何が当たったのだろう…


部活でプレー中の安藤の姿。

休憩時間にドリンクを飲む唇。

ずっと目で追って、何が触れたのか考えていて今日の部活は終わってしまった…


『俺…なにやってんだろ…』

安藤が俺にキスする理由なんてないじゃん。

なのに何期待してんだ。

もしかしてなんて、あり得ない。



「なぁ、後は俺やるよ。鍵も返しとくから、お前ら先あげれよ。」

安藤の姿ばかり目で追っていたのを少しでもチャラにしたくて、何かに集中することでおかしな考えを消したくて、後輩たちに声を掛け片付けを代わった。


終わった頃にはもう誰も残っている訳はなく部室も人の気配はない。

この静けさで頭の中も真っ白にしたい。


部室の鍵を返して校舎から出ると、もう外は真っ暗だ。

『さすがに夜は冷えるな』

と思って空を見上げながら、数段の階段を下りて正門へ向かおうとした。


「おつかれ、星野」

背後から声をかけられ振り向いたが暗くて顔が見えない。

『あ…でも今の声、』

「安藤…?」

考えて分かったのではなくて、耳が覚えていた。

「うん。」


確かに安藤だったが、近づいて来たかと思うと手首を掴まれた。

「えっえっ?なっに、安藤!?」

急に引っ張られたのと安藤の歩幅に追い付けないのとで、俺はつまずきそうになりながら校舎の陰まで連れていかれた。
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