★小説第一話★ ☆桜並木5丁目☆ 

2005年12月27日(火) 23時47分
 第1話 桜並木5丁目

冬ともなれば、この桜並木は、いっせいにしーんとしずまりかえる。
風が枝をくぐりぬけて、喫茶店の窓から少しずつ入ってくるのがわかる。
セットした無造作な髪に、ふわりふわりと風が通りすぎる。
「ホットココア、ありますか?」と寒そうにたずねると、彼女は
何もいわず、ただにこっと銀歯をのぞかせて立ち去った。
しばらくして彼女は、ホットココア1杯を両手に大切そうにもち、私の前に置いた。
私は熱いとわかっていたけれど、そのまま一口だけ口に含ませる。
(おいしい。。。)
まだ足先が冷たい。髪もあげているせいか、首元まで寒い。
修司おそいなぁ。
修司とは、小学校からの友達だ。
中学までは同じクラスだった。会いたいときはいつでも会えた。
でも、高校2年の冬、修司に初めて彼女ができた日を境に、
私は修司をさけるようにした。。というより、さけてしまっていた。
今日は、同窓会へ一緒に出かけるために待ち合わせをしている。
ふいに、携帯が鳴った。
修司の声は懐かしい。低すぎて、一瞬いつも泣いてるのかと思って
ドキっとする。
「どこ?オレ今桜並木5本目。」
5本目はこの地区では有名で、そこに立つと、桜の木の間から、町一体が見渡せる。
つまり、10本ある桜並木のちょうど中腹、坂のてっぺんである。
「naillitheme(ネエリトム)にいるょ。ごめん、早くついちゃって寒かったから。」
しばらくすると、懐かしいスニーカーの音とともに修司の笑顔が目にはいってきた。
一瞬笑ってこっちをむき、あとは下向き加減で喫茶店のドアをひいた。
「あの顔、一番好き。」私は聞こえないようにつぶやいた。
「待たせた〜〜!!!」いつものようにあどけなく微笑む修司に
「大丈夫〜〜!!ココア飲んでたから。修司も一口飲む?」
「おれはいーや。甘いのダメだから。」
知ってる。知ってるょ。ずっと見てたもん。
変わってなくて、よかった。。
                                つづく
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