想像すること、伝えること(ゲド戦記/宮崎吾郎監督) 

2006年08月07日(月) 1時18分
たとえば、タバコ吸っている人に向かって、
「体に悪いから止めた方がヨイよ」と
ストレートに言っても何の効果もない。
それと同じように、
「死の運命を受容すること。そこから始まる生の尊さ」を面と向かって、
説かれても、人の心はなかなか開かない、と思う。

『ゲド戦記』は普遍的な「生と死」をテーマに扱った映画。
主人公のアレンの父親を殺したことに対する陰(負い目)と葛藤しながら、
生きることの意味を見つけて行くストーリーだ。

ただ、その葛藤がほとんどセリフで表現されてしまっている。
1個、印象的な言葉を伝えること。
100個、言葉で説明すること。
『ゲド戦記』は後者の映画だ。

1個の言葉は、無限に、想像力を育む。

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真の名前の意味、ゲドの顔の傷の理由、
それぞれの人間関係(ゲドがアレンを心配する理由など)、
テルーと龍の関係……。
原作読んでない人には分からないことが多い。
自分は読んでいたので、分かったけど。
全部を説明する必要はまったくないけど、
ゲドとアレンの関係は深く描いた方がよかったのでは。
あと、単純に映画(ジブリ)に癒しを求めるのはどうかなあ。

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pick up music
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Flaming Lips『ザ・ソフト・ブレイン』
Flaming Lipsの最高傑作、と思う。
毒の中にも優しさがいっぱい。

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today's murmur
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自分自身の陰の部分、本当にたくさんある。
上手に向き会えないときもある。
そんなときほど、お酒が不思議とうまい。



変わることない、あのころのきみに(好きだ、/石川寛監督) 

2006年02月27日(月) 23時12分
見終わったあと、一番好きだった人を思い出す。
そんな淡い想いと後悔が後を引くように残っている。
大なり小なり誰もが経験するだろう、
あのとき、
あのひとに、
こう伝えられていれば・・・
という恋心。
「好きだ、」の言葉の先は、
未来ではなく。現在でもなく、過去に向かって語られる。
そんな言葉が似合う。
ありきたりだけど、「今でも」という言葉がしっくりする。

同じ高校に通う17歳のゆう(宮崎あおい)とようすけ(瑛太)。
お互い「好き」という気持ちを持ちながら、
それを確認しないまま、高校時代を終えていく。
そして、17年後。
故郷を離れた2人は東京で再開し、
あのころの想いを紡いでいく。

そんなストーリーを少しアンダー気味のトーンある露出で描いている。
言葉ではなく、大切な想い出のニュアンスを丁寧に切り取った。
CMを手掛けていた監督らしい、
さまざまな表情の空、耳に残るメロディ、
リアリティのある感情、感情にならない言葉、
イメージを大切にした演出だ。

余韻がじんわり残る。
静かにビールでも飲みながら、ぼうっと昔を振り返る。
そんな気持ちにさせてくれる。

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ようすけの新居でゆうとお酒を飲むシーン。
ゆうが泣き崩れて、ようすけが抱き締め、キスをする。
その後、「水買いに行こうか」とゆうが交わす。
このシーンが「あー」と思えた。
お互い大人になったんだなあと。
こんな流れになったら、セックスしてしまう、と思う。
でも、ちゃんとゆうは交わす。
うーん、そんな気がした。
もうちょっと17年間のギャップを描いてほしかった。
そして、男性の願望みたいなものが、たくさん映画に詰まっている気がした。
それにしても、宮崎あおいはめちゃくちゃかわいかった。
正直ドキドキしています(笑)。

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today's murmur
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ボクが映画を見終わった後、思い描いていた女の子は、
隣に座っている女の子とは別の人だった。

PIXIES Japan Tour 2005 

2005年12月13日(火) 0時52分
ブラウン菅の向こう側でしか知らなかったPIXIESが、
昨年のフジロック、そして2005年12月5日に
ボクらの前に舞い降りた。
ボクが知っていたPIXIESのライブは、
とてもピリピリしていて、緊張感があった。
そして、どこか不協和音を感じさせる。
そんな感じだ。それが好きだった。

今回で2回目のPIXIES。
ライブを見終わって、
「なんか丸くなったなあ〜」と思った。
体型(特にフランク)もそうなんだけど、
バンドの雰囲気の角が取れた
(「極悪デブ」とか昔呼んでいたフランクも)。

目の前でPIXIESが楽しそうに演奏し、歌う。
ボクらも心から曲を楽しむ。
『Here comes your man』『TAME』『Bone machine』など、
音源や映像でしか会えなかったPIXIESと
彼らを大好きな人たちと、
その空間を共有するだけでHAPPYだった。
それだけで、本当にステキな時間でした。

『debaser』がやっぱり一番盛り上がった(笑
そして、円熟味が増したPIXIESの
『Where is my mind』『gigantic』などは、
昔より心に響き、泣けてくる。
いや、泣いた。

キムは昔からニヤニヤしてたのは変わらなかったけど(笑

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today's murmur
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ささやかなハッピーなんていらないから、
確かなものだけを感じて、
一瞬でもいいから、包まれていたい。

また夏にあの場所で会おう。(SUBLIM/SUBLIME) 

2005年12月02日(金) 1時02分



サブライムの音で、
とびきり寒い今日の朝は目が覚めた。
その瞬間、季節はずれの夏が
耳の中から訪れた。
「Do You Like Happy Summertime?」って。

サブライムを耳にした多くの人は、まず「夏」を思い描くだろう。
そして、「海」の見える場所で、くつろいでいる自分を感じる。
もっと強く、イメージを思い描くと、
その日の時刻は、きっと夕暮れどきで、
片手には缶ビールを持っているはずだ。
流れている曲が『Santeria』だったら、ハッピーだ。
からからの喉にビールがすっと吸収されていくように、
曲も体になじんでいく。

スカ、レゲエ、HIPHOP、ロック……。
サブライムはさまざまなジャンルの気ままな音がミックスしている。
パンクという括られることかあるけど、
サブライムはサブライムであって、
オンリーワンでスペアがない存在だ。

惜しむらくはブラッドがこの世から去り、
新しい音が聞けないこと。
数少ない、残された音源を聞きながら、
また夏になったら、海辺で彼らに出合いたい。

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today's murmur
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人を好きになるって、罪なことだと思う?
どんな状況においても。

見るものの限界を超える?(コープス・ブライド/ティム・バートン監督) 

2005年11月30日(水) 0時52分
1秒間に人間が見ることができる視覚情報には、
悲しいことに限りがある。
『コープス・ブライド』を見終わった後、
そのことが残念に思えてくる。

『チャーリーとチョコレート工場』に引き続き、公開された
ティム・バートンお得意(?)のストップ・モーション・アニメーション。
一つひとつのキャラクターへの細部のこだわり具合がバートンっぽい。
それは表情だったり、
細かい動きだったり、
背景だったりと、
1度見ただけでは、そのこだわりを
余すことなく、満喫できない。
DVDを購入して、穴が開くまで見続ける。
これが正しい観賞方法のような気がする。
バートンのように、あっちの世界にどっぷり漬かりながら。

ストーリーは、迷える男・ビクターがひょんなことから、
コープス・ブライド(死者の花嫁)・エミリーと婚約してしまうことから、
話がこじれ始めてしまう。
ビクターには生の世界に婚約者のビクトリアがいたからだ。
ビクターを中心に、生の世界と死の世界を
どたばたと行ったり来たりする
シュールなロマンチックラブコメディに仕上がっている。

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ナイトメア・ビフォア−・ザ・クリスマスに
比べるとキャラクターの濃さが
足りない(フィギュアを買いたいと思わない)気がする。
ただ、オーソドックスなストーリーを
正攻法で、ひと息で見せてくれるので、
構えずに安心して、席を立つことができる。

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pick up music
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New Order『Technique』

ニューオーダーで一番好きなアルバムと
いったらこれで決まり!
アッパーな気分になるじぇー。

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today's murmur
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こうやって一日一日が淡々と過ぎていって、
明日には何が残るのだろうか。

歌声に導かれるままに。(ロスト・イン・トランスレーション/ソフィア・コッポラ監督) 

2005年11月24日(木) 23時40分
聞いたことのある憂いに富んだ歌声が映画から聞こえてくる。
大好きなバンドの一つであり、
どこか気持ちの歪んだ部分を不安にさせる
my bloody valentineのケヴィン・シールズの歌声。
歌声に導かれるかのように映画に惹き込まれていった。

ピークの過ぎたハリウッド俳優、ボブ(ビル・マーレイ)、
有名カメラマンの妻、シャーロット(スカーレット・ヨハンソン)は
肌に合わない異国、東京の雰囲気に戸惑い、疎外感を感じている。
そんな二人がお互いの孤独を埋めるように、恋に落ちていく。
ストーリーはこんな感じだ。

透明感あふれる映像。
普段、見慣れている“東京”の街並が淡い雰囲気に包まれている。
そして、普段、見慣れている“東京”の街並が喪失感に包まれている。
ゲームセンターやパチンコ店の電子音。選挙カーの演説。
行き過ぎたネオンの色。止まることなく行き交う人々。
異質見える。無機質で、人を疎外する街。
そして、その渾沌が美しい。

内容うんぬんを楽しむより、雰囲気を楽しめ!
そんな映画ですね。
音楽のセンスは中々好みにマッチします。

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pick up music
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my bloody valentine『LOVELESS』

なんでこんなにイヤな気分になるんだろう。
美しくて、それは儚くて。
きっとすぐ壊れちゃうんだろうな。
そんな気分になる。



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today's murmur
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社内には、ボクがキーボードを打つ音と
FMから流れる知らない曲だけが聞こえる。

Endless Party Pepole(FESTIVAL EXPRESS) 

2005年11月23日(水) 2時03分
音楽が好きな人たちが集まると、
自然と音がどこからか聞こえてきて、
ピースな空気になる。

ジャニス・ジョプリン、ザ・バンド、そしてグレイトフル・デッド……。
名前を聞くだけ、笑顔になるようなメンバ−が集った
フェスティバルが1970年にカナダ各地で開かれた。
ミュージシャンたちがカナダ各地を移動する手段は列車だ。

その一部始終が“FESTIVAL EXPRESS”には収録されている。
酒、タバコ、ドラック、
そしてミュージシャンたちが集まり、自然と始まる音楽。
そのセッションする風景は、とにかく無邪気で、
見ているこっちまでハッピーな気分になってくる。
終わることなき、パーティータイム。

ジャニス・ジョプリン、ザ・バンドのライブ映像を
初めてみたけど、かっこいいという言葉がよく似合う。
また、このフェスは、ウッドストックの後に行われたもので、
当時の時代背景(フリーコンサートを求める声)も感じられる。

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pick up music
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Fishbone『Fishbone』

SKAを基本にした
パンク、ロックなどさまざまな要素がつまった
エネルギッシュなアルバム。
ビールが似合う!




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today's murmur
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ボクがいなくなったら、いいのかい?
気分が落ちてきた。仕事が残っている。

カワイイだけじゃ、つまんない!(ひなぎく/ヴェラ・ヒティロヴァ監督) 

2005年11月18日(金) 1時16分
「オシャレもして、メイクもして、でもカワイイだけじゃ、つまんない!」
なんて女の声が聞こえてきそうな
ヴェラ・ヒティロヴァ監督(チェコ)のアヴァンギャルドな映画だ。

2人の姉妹が、無軌道に思い付くままに、楽しむ。
そう、キュートに、破壊的に。
男には分からない、女心?
なんかそんな気がした。

さまざまに色が変わる映像、そしてコラージュ。
心地よいタイミングで時間が吹っ飛んでいく編集。
うーん。見終わった後、不思議とすっきりする。
どこかゴダ−ルの『勝手にしやがれ』を思い出してしまった。
でも、ただかわいくて、オシャレな映画ではない。
ラストシーンは共産党のパーティ会場をめちゃくちゃにする
なんていうちょっと皮肉的なメッセージもこめられている。

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pick up music
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the Rentals『Seven More Minutes』

weezerの元ベーシスト、
マット・シャープのバンドです。
頭をとりあえず空っぽにして、踊りたい
ポップなナンバーが満載!
来年2月にはニューアルバムが出るらしい。


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today's murmur
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大切な人を失いたくない。
そう、思うことがある。
心の片隅で大切に思うのではなく、
ギュッと抱きとめたい。

好きになるって、こんな感じ。(The Wannadies/be a girl) 

2005年11月09日(水) 1時32分
「The Wannadies(ワナダイズ)、好き!」
そんな女の子が身近にいたら、
すぐにひと目惚れしてしまうかもしれない。
そんな予感を期待させてくれる。
そして、ふたりが出逢う季節は春。
桜咲く小道を自転車で走り抜けることができたら、
きっとハッピーな気分でいっぱいになる。
そんな妄想が膨らむ。

“爽やか”という言葉がとても似合う、
スウェーデン出身のギターポップバンド“The Wannadies”。
『be a girl』は、The Wannadiesの通算3枚目のアルバムだ。
『Might Be Star』『LetGo Oh Oh』など弾むように駆け抜ける楽曲。
どこか甘酸っぱい気分にさせてくれる『You And Me』『Dying For More』。
このアルバムのどこから聞き始めても、
とても耳障りがよく安心できる。

アルバムジャケットもバンドのイメージにぴったり。

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movie column
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松竹の宣伝はなんでショボンとする感じなんだろうか。

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today's murmur
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10日間、連続出勤。
体から毒キノコが生えてきました。

普遍的に変わらない現実との距離(DISTANCE/是枝裕和監督) 

2005年11月04日(金) 11時58分
あるカルト教団で殺人事件を起こした実行犯の遺族たちの
パズル(人生)を組み合わせるように物語が進み、
遺族たちの現実が浮き彫りになっていく。
実行犯たちが自殺して、三年が経った夏の日。
花屋に勤める敦(ARATA)、
スイミングスクールで教える勝(伊勢谷雄介)、
建築会社で働く元甲子園球児の実(寺島進)、
教師の“きよか(夏川由衣)”の遺族4人が再会し、
集団自決をした実行犯の魂が眠る湖へと供養のために向かう。
その帰り道。
車を盗まれるというトラブルに巻き込まれ、
カルト教団の信者だった坂田(浅野忠信)と出会い、
信者が生活していた山小屋のロッジで
5人が一夜を過ごすことになる。現実と向き合う。

それぞれの人間が目を伏せていたい現実と向かい合い、
その後どう生きていくか。
『DISTANCE』では“カルト教団”を題材としているが、
誰もが抱えているだろう、
直視しなければならない普遍的な悩みを描いている。
受け入れたくない“現実”と、
自分が正しいと考えこうありたいと願う“現実”。
ふたつの間には、ギャップがあり、
埋め切れない溝がある。
題材のインパクトに目を奪われそうになるが、
多くの人が抱えているような悩みを持つ、
等身大の登場人物が描かれている。

映画では、一定の距離感(第三者的視点)を持って、
それぞれの人物を捉えていく。
現在と過去の時間軸が目まぐるしく動いていく中で、
視点が統一されている。
ただ背景を描き切れていない部分もあり、
何の知識も持たない人には一度見ただけでは、
分かりにくい部分もあるのではないだろうか。

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pick up music
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GARBAGE『BLEED LIKE ME』

個人的に今年のベスト3に入るアルバム。
久々に直球勝負のロックアルバムを聞いた気がした。

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today's murmur
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土曜に撮影、日曜に取材と、2週間休めない状況に。
来週、水曜に入稿すれば、ひと安心なはず。
それまで心が折れませんように。