映画『セッション』と、それを巡るいろいろについて

2015年04月26日(日) 6時57分
セッションという映画が気になったので観てきました。気になった理由は、僕の大好きな町山智浩氏と僕のあまり知らない菊地成孔氏がこの映画を巡ってネット上でえらい揉めてるらしく、すごい気になるけどそのやりとりを読もうとするとどうしてもネタバレを含んでしまう→じゃあ映画を観ないと、という流れです。
さらに言えば、そもそも日本公開前にたまむすびというラジオ(のポッドキャスト版)で町山さんがこの映画を大絶賛していて気になっていたというのも大きいです。その時はまだ邦題が付いておらず、Whiplashという原題で紹介されていました。
さらにさらに言えば、来週の「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」内「ムービーウォッチメン」で取り上げられるのが他でもないセッションなのです。これはもう観るしかないでしょう。

で、観ました。観たので、これから町山さんと菊地さんのバトルに目を通すのですが、その前に自分なりのこの映画への考えをまとめておきます。まとめておかないと、このお二人の考えに感化されそうなので。

僕の感想は、「狂気の沙汰!醜くも気高い2つのプライドがぶつかって咲いたあだ花!共感は全く出来んがなんかスゴい!見てるだけで筋肉痛になりそうな2時間!」です。どこにでもいそうな気の弱い男の子が、狂気のジャズドラム地獄に引きずり込まれ、色んな物を失いながら狂っていく様はまさにサイコホラー。プロセスはサイコホラーなんですが、結末でなぜかスポ根的結末を迎えるという、不思議な映画でした。

さて、これから件のバトルに目を通します。まずは事の発端となった菊地成孔氏のセッション評から。
http://www.kikuchinaruyoshi.net/2015/04/08/%E3%82%BB%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3-%E6%AD%A3%E8%A6%8F%E5%AE%8C%E6%88%90%E7%A8%BF/

うーむ、なるほど。ジャズの本職から見た演奏のデタラメさに憤慨されてます。ジャズの歴史を軽んじ、正しく理解していないところも。そして先生のパワハラが衝撃的というだけで不当な高評価がされているが、脚本はグダグダだ、とも。これは、白人レイシストによるジャズの蹂躙を目の当たりにした氏の経験からも来ているので、根が深そうですね。あと「考証不足の夢物語」の例えに「漫画」というワードを使っていることから、漫画愛好家からも反発が来そうです。(実際来ていたようです)

この評に対して僕は、反対とも賛成とも言えないですね。ジャズ門外漢である僕にとっては、物語が面白ければそれでいいです。演奏の善し悪しなど分かるわけもありませんし。でも自分の専門分野が陵辱されることへの反発は共感できます。

で、それに対する町山智浩氏のアンサーに目を通します。
http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20150417

わー、なるほど!そうそう!僕の漠然と思っていたことが100倍くらい分かりやすく深く書かれています。いやーマジで菊地さんの文章分かりづらかったから余計に読みやすかった!町山さんのアンサーは、反論でも何でもなく、菊地さんの言い分に理解を示した上でそれを上回るものでした。素晴らしい。こういう文章書ける人になりたい。

で、それに対する菊地さんのアンサーがこちら。
http://www.kikuchinaruyoshi.net/2015/04/19/%E7%94%BA%E5%B1%B1%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%AB%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%81%95%E3%81%9B%E3%81%A6%E9%A0%82%E3%81%8D%E3%81%BE%E3%81%99-%E9%95%B7%E6%96%87%E6%B3%A8%E6%84%8F/

なるほどなあ。「主人公を潰そうとする先生」に「セッションを潰そうとする菊地成孔」を重ねた町山氏に対して「菊地成孔を潰そうとする町山智浩」をテンドンする辺り、面白いですねえ。ていうか菊地さんてむちゃくちゃ頭良いですね。頭は良いんですが良い頭から出てきた概念をそのまま文章に落としこまれても、僕ら凡人には難しいです。菊地成孔の文章が解かるということ自体がスノビズムだと町山さんも書かれてましたが、それも頷けます。

そしてそして、さらにそれに対する町山さんのアンサー。
http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20150422

おおー!なるほど!そう来たか!確かにあのラストシーンに対する町山評には「そういう解釈があったか!」とは思いましたが、それはつまり逆に、「僕が観たときはそうは思えなかった」ということ。カタルシスが得られなかったんですよね。大体ああいう展開になったら、悪役がコテンパンにのされて負けを認めるとか、悪役が実はいい奴だと分かって和解するとかしてほしいところなんですが、そのどちらも無かった。悪役は嫌〜な悪役のまま、のされもせず、理解もされないまま怒涛の展開で盛り上がっておしまい。そこに菊地さんの酷評の一因があったと読み解き、自らの評も訂正する。いやー何ともドラマチック!このやりとりだけで映画一本撮れそうですよ。

まー結論としては、たまむすびに出てる町山さんもタモリ倶楽部に出たことある菊地さんもどっちも僕からしたら有名人でどっちもそれなりに権威があると思うんですが、そんな2人が「お前の方が影響力あるやろ!」と牽制しながら殴りあってる感じがしました。菊地さんが被害者意識の高い人でないのだとすれば、この顛末の最大の加害者は菊地さん言うところの町山信者でしょうね。でもやっぱ信者は大事ですよ。ややこしい文章では信者は増えにくいと思うですよ。
  • URL:http://yaplog.jp/nadareshiki/archive/1205
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