瑠璃色Angel 

February 14 [Tue], 2006, 23:59
カラケルの花が私の名を呼んだ。
私は返事をすることができなかった。


「どうして人は流れていくのかしら」
「すべてのものが流れ行くからさ」
「君はどうして彼らの事をそんなに気にするんだ?」
「気になんてしていないわ。そんなもの、私にはないから・・・感情なんて」


透き通るような肌は白く輝いていた。
僕は彼女を凝視するしかなくなって、彼女もまた僕を見ていた。

アラナハトの欠片はいつまでもいつまでもそこにあった。
雨が大地をぬらしても、一向に構わないようだった。
彼は歌を聴いていたのだ。さんさんと輝く大空の、ほんの一滴の歌を。


「私はいつまでも忘れない。忘れることができないの」
「君もまた流れ行くんだ。春から夏、夏から秋、秋から冬へと、ね。それなら、何を恐れることがある」


だって、
ただ、空だけがそこにあったんだ。
真っ白な空の中で、
私はどっちでいたらいいかわからなかったんだ。

シンメトリィ コミット -2- 

January 28 [Sat], 2006, 21:50
僕はきっと、世界の終わりが見たかったんだ。


僕の背中に面している壁に、手が打ち付けられる。そこから伸びる腕の先を、その顔を、僕は見つめた。
今にも泣きそうだった。
「あなたが・・・あなたが、父さんを・・・っ!!!あなたさえいなかったら、父さんはあんなことをしなかったのに!なんで!?なんであなたが・・・・!」
頬を行く筋もの涙が零れ落ちた。以前見たときより、少しだけ大人びた顔をした彼女は以前にもまして伸ばした黒くつややかな髪を肩からこぼれさせた。
しかしそれは、もう僕にとって何の意味も持たせなかった。あのときの僕はきっと、誰よりも冷たい瞳をしていただろう。
「それはお互い様だよ」
その証拠に、僕の口から出た声も、僕のものとは思えないほど冷たく、ぞっとするものだった。
「僕だってあの人がいなかったらこんなこと、実行するのだって思いつかなかったさ。あの人がいて、この場所があって初めて僕は僕の思うことができるようになったんだ」
目の前の少女の瞳が絶望に見開いた。そうだ。いまさら何をいったってもうどうしようもないのに。
今彼女にできるのは、この僕を怒りに任せて殺すことぐらいだったろう。しかしやさしくて、悲しいほどに聡明な彼女にはそれすらも僕は行わせなかった。
「ねえ、亡コルマガ王国の王女様」
「私はドリィ・マストよ」
「じゃあドリィ。僕だけがこの悪夢を終わらせる方法を知っているよ」
それによって彼女がどんな反応をするか。もはや感情というものをほとんど殺ぎ落としてしまった僕がふ、と興味を持った。だから話し掛けた。
しかし、彼女から帰ってきた言葉はひどく僕を落胆させた。
「知っているわ。私はそれを聞きにきたのよ、リート」
やはり、彼女はあのころと少しも変わらず聡明なままだった。

僕はあのころに比べ老いてしまった自分の体を憎んだ。

シンメトリィ コミット 

January 26 [Thu], 2006, 1:16
狂った人間の考えはわからない。常々僕はそう思う。


僕は数百年前にこの世界に起こった史上最悪の災害、「シンメトリィ コミット」について研究している学者だ。何が原因かもいまだわからない(いや、いまだからこそわからないのか)その災害は、今僕が滞在している最西の地、コルマガ王国より向こうの土地を、生き物がなにひとつ住めない不毛の大地へと変えてしまった。今、僕たちは残された星の半分に身を寄せ合って生きている。
そして、このコルマガ王国はそんな世界に唯一存在している「国家」だった。

「どうだ、進んでいるかね?」
本に没頭している僕の思考をさえぎった声。僕はめがねを上げ、声のしたほうに顔を向けた。
「ここには本当にたくさんの資料がある。お招きくださったこと、感謝しています。王、」
「いや、役に立てて本当にうれしいよ」
王。そう呼ぶには少し若いだろう目の前の男。この男こそ、この最西の地に国を作るというある意味ばかげたことをしでかした一族の末裔であり、コルマガ王国3代目国王だった。名前は聞いていない。その気になれば誰からでも聞くことができただろうが、僕にはそんなものは興味がなかった。
「しかし、何がこの地より西を今でも不毛の大地たらしめているのか・・・それだけがどうしてもわからないのです」
「では、何をもちいて滅ぼしたのかは・・・もうお分かりなのか?」
王の目がかすかに光る。僕はその光の向こうに見えるかすかな狂気を感じ、目をそらした。
「一応は・・・しかし、それがわからない限りこの方法ですら不確かなままです」
王の目からまた光が消えた。
「そうか・・・いや、すまない、君も少し疲れているだろう。休んだらどうかね?もう三日ほど寝ていないんじゃないのか」
「気になさらないでください。これでも体調には気を使っていますので」
「そ、そうかね・・・すまないね」
王は何におびえているのか私に謝った。その瞳の奥に未来が見えていないことを、僕は知っていた。

いや、きっと僕だけが知っていたんだ。

三丁目468番地 

January 25 [Wed], 2006, 3:26
目がさめた。
そこには、見慣れた天井があった。
「んー・・・」
カーテンから光が差し込んでいる。時計をのぞくと、もう7:30だった。
はやく学校に行かなくちゃいけない。


階段を下りると、味噌汁のにおいが鼻をくすぐった。
彼女の味噌汁のにおいだ。濃い目の味噌の匂いに、昨日隣の人にもらったねぎのにおいが混ざった。
僕は彼女の味噌汁が大好きだ。そんなことをいってしまったら、ほかの食事当番の子に怒られそうだけど。
階段を降りきると、においに混じって聞こえていた彼女の鼻歌が途切れる。
「おはよう、健ちゃん」
「おはよう、童」
赤いスカートが翻って、古風な前掛けが僕の眼に入る。その向こうには、おわんいっぱいのねぎと暖められた味噌汁。
「今日は豆腐?」
「うん、昨日お豆腐屋さんがきてくれたから、使いたいなって」
「そっか」
おかっぱ頭をした彼女はうれしそうに笑った。
「彼女たち」は食べられもしないのにいつも僕のためにご飯を作ってくれる。
数年前、僕を残していなくなってしまった両親がたったひとつ残してくれたこの家。

僕の目の前で微笑むこの少女は、この家に住む座敷童だった。

No title 

January 15 [Sun], 2006, 21:31
どうして、私が悪くないなんて言い切れるわけなんかないけど。
確かに軽率だったり、おんなじこと繰り返しちゃったりしたけど。

違うでしょ?
気づくべきは絶対そっちだ。そっちだ。

携帯のアドレス変えて、メッセだって禁止して、ぎりぎりのラインでいつも我慢して波風立てないように気を使ってるのに。
いつまで思い上がってしったかぶりして善意押し付けてへらへらしてるんだ。


私のことなんてこれっぽっちも思ってなんかいないくせに「ひとりじゃないよ」とかいうな。
気持ち悪い。気持ち悪い。

No title 

January 14 [Sat], 2006, 22:37
怖い思いをしなくちゃならなくて、
それを一人じゃなくても、背負わなくちゃいけなくて。

あまりにもつらすぎるので、ちょっとここに残しとこうかな、と思いました。
毒毒しいのでご注意ください。
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