復活戦艦の多く

August 16 [Tue], 2011, 11:52
 デュケーンがフェナクローンの知識獲得を終了するには数日しかかからなかった。の士官たちの知識も、すでに地球の科学者のもっている厖大な知識の泉に何ほども加えるものはなかったからである。こうして、彼の活発な肉体とそれにもまして貪婪《どんらん》な心を煩わすべき何ものもない空閑《ひま》の時期はすぐやってきた。復活 DVDデュケーンの敏捷で旺盛な気力も、この自ら招いたかに見える倦息の毒素にようやく蝕《むしば》まれてきた。
「ここにいても、何の事件も起こらんとなったら、いっそ帰り支度をするか――なにもすることもないこんな状態にはとても耐えられん」そうローアリングにもらしながら、デュケーンはスパイ光線を広大な防衛陣型のいくつかの戦略拠点へ照射した。総司令部の聖域すら覗いてみた。
「スパイ光線を照射したら、やつらもこっちに気がつき、地獄の蓋が開くだろう。もっとも、用意はしてあるから、蓋の開き方が早かろうと遅かろうとかまわんが。どこかで何かが酸っぱくなっているんだ。すこし掘《ほ》じくってみるのも気晴らしにいいだろう」
「酸っぱく? どの路線で酸っぱくなったんです?」
「動員がだんだん≪だれて≫きたんだ。最初の段階はきわめて見事にいった、計画どおりにな。しかし、このところ、さっぱりだ――のろのろしてきた。といって決していい兆候とは限らん、彼らの計画はひどく動的だからだ。もちろん総司令部はこっちみたいな遠隔空域の艦長なんかには事情を教えてくれない。しかしぼくは、不安の空気が流れているのをひしひしと感じる。だから、ぼくはこんなスパイ光線で覗いている、実情をさぐりたいからだ。……ああ、やっぱりそうだったか! ほら、見ろ、ドール! 防衛地図にすきまができているだろう? 大きな艦の半分以上は位置についておらんのだ――それから、ほら、追跡ビーム報告を見てみろ、宇宙空間へ出た戦艦で戻ったものは一隻もないんだ。どれもみんな一週間以上たってもやって来ない。何か起こったんだ、よし調べなくっちゃ――」
「Z12Qの観測士官、気をつけ!」と総司令部の凝集ビーム通信器から声が飛んできた。「そのスパイ光線をやめろ、裏切りのかどにより逮捕する!」
「今日はごめんこうむりたいな」デュケーンがわざと音を長く引きながら言った。「それに、おれを逮捕はできん――おれはいま艦の司令だ」
「おまえの実視板を鏡径いっぱいまでひらいてみろ!」参謀将校の声は怒りで詰まりそうである。長い一生に、指揮系統末端に近い一介の艦長からこんなに目もあてられぬ侮辱をうけたことは一度もなかったのであろう。
 デュケーンは実視板を開きながら、ローアリングに、「脅かしだよ、これくらいに言ってやってちょうどいいんだ。どうせもう奴をゴマかすことはできないからだ。逃げる前に、奴らにもうすこし言ってやることがある」
「部署の人員はどこだ?」憤怒の叫びが続いた。
プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:dvd
読者になる
2011年08月
« 前の月  |  次の月 »
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31
最新コメント
Yapme!一覧
読者になる
P R
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
http://yaplog.jp/mydvdago/index1_0.rdf