短編8 

2005年06月23日(木) 18時56分
エルテレちゃん2

ねーねーねー。
今日は何をお話ししようか?
「甘くて美味しいチョコレートがあってね」
「たまご色のビー玉持ってるのよ」
「5丁目の角に花屋さんが出来てたよ」
今日もおしゃべりは止まりません。
青い空にぽっかり浮かんだ白い雲を指差し、
「あの雲何かに似ていない?」
皆は思い思いに答えます。
どれ一つ同じ答えはありません。

短編7 

2005年06月16日(木) 23時30分
エルテレちゃん1

かえるくんが傘をさして通りを行きます。
傘の柄をぐっと短くもっています。
ちらりと傘の下から顔を覗かせたと思ったらあっという間に引っ込めてしまいます。

かえるくんはそおっとそおっと忍び足です。
水たまりがあるせいではありません。
水たまりがあったら喜んでジャンプしているはずですから。

かえるくんは路地を曲がり終わりました。
壁にそっと寄り添って今来た道を覗いてみます。
そこにはエルテレちゃん達がおしゃべりに興じています。

「よかった、気付かれなくて。」かえるくんはほっとして呟きました。
だって、見つかっていたら大変です。
おしゃべり好きのエルテレちゃん達につかまると半日ははなしてくれません。

姉さんエルテレちゃんが小さいエルテレちゃんに言いました。
「さっき傘をさして誰か通らなかった?」
小さいエルテレちゃん同士がキョロキョロします。
かえるくんは慌てて顔を引っ込めました。
「もう雨が止んでるんだもの傘をさして誰も歩かないわ。」
一人のエルテレちゃんが答えましたが、もう誰も聞いてはいません。
皆もう違う話しをしています。
かえるくんはにっこり笑い傘をたたみました。
「じゃ、またね。」そう言って手を振って歩き出しました。

短編6 

2005年06月03日(金) 0時06分
ミャーフカ6

窓を開けて何かが目の端に入った気がして下を見たんだ。
僕の植木鉢にネコが座ってる。
「よお、おはよう」
くるりんとまあるい鉢に収まったヤツは言った。
「何してるの?」僕はそう言うのがやっとだったんだ。
だってヤツはもうそっぽ向いてそしらぬ顔。
シッポをひらりん、ひらりんと揺らしている。
僕の質問に答える気はないらしい。
「君、だあれ?」僕は諦めずに質問した。
「オレ、シャム」
「何してるの?」
「見ればわかるでしょ」
そう言ったきりベランダの向こうの電車を気持ち良さそうに眺めている。
僕はちょっと考えてみたけど結局わからないので隣に並んで座ってみた。
それでも何だかやっぱりわからなかった。
もう一度質問してみようかなと思ったんだけど、
目を閉じてシッポをパタパタしてる彼は何も答えてくれそうになかったからやめておいた。
一人で考えてみようと僕も真似をして目をつぶってみたら、
目を閉じても明るくて、ポカポカ暖かくて、ウトウトしたんだ。
「あっ、僕わかったよ!」
隣のシャム君が跳ね上がった。
「もう、びっくりさせるなよ」
「ひなたぼっこしてたんだね!」
僕がそう言うとフンとシャム君はまたあっちの方をみた。
でもすぐにまたまるく座り直して「この場所最高だよな」と言った。
だから僕らはしばらく並んでひなたぼっこしたよ。

短編5 

2005年05月10日(火) 14時30分
ミャーフカ5

緑色が眩しいから足を見ながら歩いたよ。
顔を上げるとキラキラ過ぎて目を開けていられないから、
でも歩かなきゃいけないから危ないもんね。
前から来るおばちゃんはハンカチ持つ手をかざして歩いてる。
みんな、長い影が延びている。
僕は足元のブロックの溝を見てまっすぐまっすぐ歩いたよ。
まっすぐのつもりだったけど結構難しいんだ。
カカトに力を入れてみたり、大股で歩いてみたり、
それなりに工夫してみるんだけど線の上からはみ出ちゃう。
ピコピコッ、ピコッ、ピッコ。
右手と右足が一緒になっちゃった。
立ち止まった僕の足元を葉っぱをえっこら運ぶ蟻が通り過ぎた。

短編4 

2005年05月01日(日) 21時55分
ミャーフカ4
ウワーンウワーン、目が回る。
立っても座ってもぐるぐると体を回されてるみたいだ。
だけどしっかりまっすぐ立ってないとダメなんだ。
人がいっぱいなんだもん。
倒れたりして踏まれたら痛いもん。
早くあの角からあの角まで移動しなきゃ。
ぶつかったら跳ね返されちゃうからね。
キュキュ、キュキュって音がする。
振り返ったらおじいさんが杖をついてやって来たよ。
目の前には長い長い階段。
大丈夫かなって僕思ったんだ。
だって僕真っ平らなこの道でもグラグラだったからね。
おじさんは階段をゆっくりゆっくり昇りだした。
杖は隣の奥さんに預けてね、キュキュって昇ってた。
二人は何だか楽しそうで、
時々立ち止まって遠くを見たりして、
おしゃべりしながらほんとにね、
ゆっくりゆっくり昇ってたよ。

短編3 

2005年04月27日(水) 1時30分
ミャーフカ3

猫みたいだとよく言われるんだ。
でも僕はちっとも似てないと思ってる。
そりゃあ、カサッ、コソッって音には敏感だし、
高い所もへっちゃらだけど、
僕は猫じゃないからね。
そりゃあ、機嫌が悪いとそっぽは向くけど、
しょっちゅうプイッと散歩に行くけど、
お高いヤツじゃないもんね。
だからねえ、手をつなごうよ。
ひっかいたりしないよ。

短編2 

2005年04月25日(月) 0時18分

ミャーフカ2
夜になっても眠くない。
だから目を閉じてみる。
でも、瞼の裏の黒色が見えるだけ。
意識はここにある。
早く明るくならないかな。
ちょっと考えてみる。
明日は晴れるかな。
緑の中をひつじが駆け回る。
ねえお願いだよ、1匹ずつ駆けて来てよ。
数えたくても右に左に皆勝手に走り飛ぶ。
僕の言う事なんか誰も聞いてくれない。
もういいや。
僕も一緒に走ろうっと。

短編1 

2005年04月09日(土) 17時29分
ミャーフカ1
晴れた日に出かけよう!と、もう1週間前から決めていた。
今日は、1週間と1日ぶりの晴れ。
さっそく家を出た。
てけてけ、てけてけ、歩いていた。
小石につまずいた。
水たまりの雫が跳ね上がった。
大好きなメロンパンが売り切れていた。
犬にすごい剣幕で吠えられた。
たったか、たったか、走り出した。
何だか涙がこぼれてきて、もっともっと走った。
知らない街の知らない景色。
茜色の夕焼けに満月がぽっかり浮かんでいる。
気付けばほわんと1軒の灯りが灯る。
「やあ、いらっしゃい。」
大きな鍋をかき混ぜながらおじさんがにっこり。
いい匂いの素はボルシチ。
懐かしくって美味しくって
お腹いっぱいの晴れ日になった。
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