初めに。 

April 16 [Sun], 2006, 17:12
皆様、こんにちわ。
当日記は、日記jam様をお借りしてやっている、二人小説『神々の賭博場』のログサイトとなります。

この日記は、基本はオリジナルファンタジー2人小説となっております。
が、登場人物等少々聖書・ギリシャ神話より話をお借りしている部分がございます。
それらを動かされるのがお嫌いな方は、即刻この場から逃げ出して下さい。

読んでからの苦情は受け付けませんので、あしからず。

なお、ログは古い順に並んでおります。
それでは、一人でも多くの方に小説を読んでいただけることを願って。

管理人 拝。

目次--- 

April 16 [Sun], 2006, 17:15
001 * 002 * 003 * 004

001・序章 

April 16 [Sun], 2006, 17:17
神が存在する天界。
天使である彼女は、上の階級へと上がるためにアカデミーで勉強中。
とは言っても、彼女達、アカデミー生にだって仕事はある。
彷徨える死者の魂を導くのがその主。

そこを主席で卒業した者は、天使階級を昇進できる。
そして、その主席候補達はネフェリムの肩書きを持ち、それなりの地位に身を置くのだ。
彼女、ナキ・ガーネットはその一人だ。

「今から仕事?」
「そうよ。ジーフも?」
「俺は下に降りんの。すぐ帰ってくっから、待ってろよ」

銀髪、というのだろうか。
光の当たり具合で色を変える髪を背に垂らした男が、ナキの肩を抱く。
他のアカデミー生の視線を集め、彼女は小さく動いた。
それにジーフ・ネイクは笑みを漏らした。

「じゃぁな、気ぃつけろよ」
「アナタもね」

互いに頬に軽くキスをし、反対の方向へ歩いていく。
ナキが向かったのは、アカデミーの地下。
ひんやりとした空気の流れるそこで、ため息をついた。
ノースリーブの白のワンピースのポケットを探り、鈍い光を放つ鍵を取り出す。
それを目の前の鍵穴に差し入れ、重いそれを押し開けた。

中には、蛇の入ったゲージが一つ。
それはナキを見、ちろりと赤い舌を出した。
その昔イブをそそのかしたと言われる、それだ。

『初めて見る顔だな』
「ナキと申します」
『ほぅ…』

考えるように呟き、蛇はナキから目を離さない。
その目には、何とも言い表しようのない、怪しげな光がともっている。

『逃げてみるのも悪くないな』
「…え?」
『悪く思うな。そう思うなら、俺をつかまえてみるんだな』
「待…ッ」

にゅるり、とそれがゲージで動いた。
出られるはずがないと高をくくっていたのだが、なぜかゲージが折れた。
ぱきりと。
上下半分に。

「何で、よ…」

ぺたりと床にへたりこんだ彼女は、呟かずにはいられなかった。
警報が鳴り響く。
蛇はどこかに消えてしまった。
何故だ。何故だ。その言葉が頭の中で反復する。
ドアは閉めた。ゲージにだってまだ触っていなかった。

「あたしが何をしたっていうの!?」

重罪。
天使であることを剥奪されてしまう。
堕天使に、墜ちる。

002・審判 

April 16 [Sun], 2006, 17:19

祭壇の上に横たわる少女を横に見ながら、ハデスはゆっくり席に着く。
そして、詳細の書かれた紙を手にし、少女を見やりながら詳しく読み上げてゆく。

「さて、ゼウスよ。蛇を逃がしたのは本当にコイツなのか?」
「ええ。彼女がそうです。」

席から立ち上がって少女のそばへ寄る。

「ナキ。お前の口から話を聞きたい。」
「兄上!そんな悠長な…」
「ゼウスよ!コイツが最後に蛇を見た者。そう言ったのは誰だ?蛇を追う上で何かを聞いていないか・どうやって逃げたか・どうやって逃がしたか。どれも重要な証言だ。」

ゼウスはゆっくり立ち上がってハデスの前にでる。

「お言葉ですが。」
「丁寧に言わなくていい。」
「早く調査員を送り、検証しなければなら無いんだ!早く追放し、次の手を打たねば!」
「…気持ちは十分承知してる。しかし、どんな些細な事でも今は惜しい。そこに意義があるなら、俺はすぐにコイツを追放し次の手に移る。」
「情報もなにも彼女への取調べは終わっている。」
「…何を聞いた?ここに書いている分か?」
「そうだ!」
「…アテネ!証言を願おう。コイツは逃げた日から当番だったのか?」
「ええ。それに、彼女にあの檻を破るほどの力は無いはず。」

そういいながら奥から黒髪の女性がハデスに近寄ってきた。
ゼウスは最後の一文を聞いて、少し言いよどむ。

「さて、ナキよ。蛇が逃げたときの様子・蛇が話したことを証言せよ。」

ナキは目を閉じたまま事細かくそれを証言した。

「…最後に言ったのは『俺を捕まえてみることだ。』です。」
「…ここに書いていないな?…ゼウスよ。一大事なのは皆、同じだ。そこまで焦らなくてもいいだろう。落ち着け。いつもの鋭い判断力はどうした?」
「…それを教えてくれたのは貴方です、兄上。」

するとハデスは、何故かアテネに微笑を投げかけた。

「ナキよ!判決だ。お前を天界から追放す!『一時的に』な。」
「え?」

ナキは辛抱たまらず起き上がってハデスを見る。

「逃げた蛇を追い、捕まえれば…減刑を考えよう。」

ハデスはゆっくり手を上げ、ナキの翼に触れる。
途端に翼は木が枯れるようにしおれ、朽ちていった。

「…電話に『私は神を信じます』というと俺に直に通じる。何かあれば通達せよ。」

ハデスはナキの耳元でそれの番号をささやいた。

003・創られし、もの 

April 16 [Sun], 2006, 17:29
「それにあたって」

と、神が彼女に呼びかける。
普段なら、到底お目にかかれない方であることに違いない。
というよりも、ここにいる三人ともにそうなのだ。
ナキのようなアカデミー生からしてみれば、遙か彼方の人。
神であるゼウスに、その兄であるハデス。
神の実の娘であるアテネは、アカデミーの校長だったりもする。

「お前に一人、相棒を付けようと思う」
「…相棒、ですか」
「蛇を逃がしたことによって、人間界には悪魔が降りた。
 お前にはそれを払う力はない。
 だから『悪魔払い』の力を持った者と共に降りろ」

悪魔払いの力を持つ者など、天使達の中にはいない。
高位にいる天使達も、同じことだ。
神はその存在を新たに創ると言うのか。
そして、それは彼にしてみればたやすいことなのだ。

「左腕の堕天の証、忘れるなよ」
「…はい」

不名誉なことだ。
堕天使になったなど。
例え、与えられた罰則を終えても、天界に居場所はないだろう。
その時、ジーフにすら愛されているか分からない。

「その者はカインという」
「…カイン、様?」
「おいおい、ブラック・ユーモアにもほどがあるぞ」

どこか楽しそうに笑うハデスに、ナキはめまいがした。
カインだなんて。そんな名前あり得ないわ。

「何も様をつけて呼ぶ必要はない」

ナキよりも少し若い。まだ十代だろうか。
どこからともなく現れた彼は、足音もなくナキの前へと来た。
短い、色素の薄い金髪をツンツンたたせている。
たたせているのではなく、髪質上立っているのだろうか。

「俺の悪魔払いの方法も、ブラック・ユーモアたっぷりだけどな」
「余計なことはいうな」

けらけら笑うカインに、神は静かに注意する。
そして彼はぱちんと指を鳴らした。
ナキとカインの姿が、消えた。

004・地上 

April 16 [Sun], 2006, 17:31

『仕事』を始めて早一週間。
ナキは失意ゆえに今の仕事にすら疑問を抱いた。
こんなことをして何になる?
帰ったってどうせ…

「元気ねぇーな。」

カインはナキの顔を覗き込んでそういった。

「…終わったの?」
「大丈夫か?今から行くんだろ?」

そうだった、と呟いてベンチから立ち上がるナキ。
歩く姿も風に揺れるやなきの枝のようだった。
それを心配そうに眺めながら、カインは少し後を付いてゆく。
数分すると、閑静な住宅街にたどり着いた。
いや、閑静であったろう住宅街。
その原因はどう見ても目の前の一軒から放たれる叫び。

「…ここか?」
「…。」
「おい!ここかって聞いてるだろ!?」
「っ!…ごめんなさい。」

ナキは目を見開いてカインに謝る。
カインは似合わないため息をついた。

「ほんっとに大丈夫か?始まってまだ一週間しかたってねぇのによ。」
「…ごめんなさい。」

カインはまたため息をついた。
それもそのはず、ナキはこの一週間『ごめんなさい』以外は殆ど話さない。

「…ねぇ。貴方は…なぜそう振舞っていられるの?」
「藪から棒になんだよ?」
「いいから教えて。」

カインは大袈裟に頭を抱える。

「…この仕事が終わったらおしえるよ。ほら、さっさと済ませようぜ?」
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