米アップルのタブレット型多機能端末「iPad(アイパッド)」が4月3日(現地時間)米国で発売される。雑誌出版社や広告主の期待が高まるなか、IT 専門家からは厳しい意見も出ている。はたしてアイパッドの売れ行きはどうなるのか。アップルを担当するケイン・岩谷ゆかり記者に聞いた。(インタビューは英語)
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ウォール・ストリート・ジャーナル日本版(以下WSJ日本版):アイパッド発売日にわれわれは何に注目すべきでしょうか。
ケイン・岩谷ゆかり記者:当日はアップルストアの前に列をなす人々のニュースや、アイパッドの使用体験、何が好きで何が好きではないか、といったことを書いたブログを多く目にするでしょう。
アップルが1月にアイパッドを発表した際、幾つかの点で不満が聞かれました。アドビの動画処理規格「Flash(フラッシュ)」に対応していないことがその一例です。ITに精通した人々は、アイパッドはアップルの携帯電話端末「iPhone(アイフォーン)」を大きくしたようなものであり、それほど面白くはない、と考えました。さらに、アイパッドはマルチタクス機能がありません。つまり、インスタント・メッセージ・サービスなどのアプリケーションをバックグラウンドで走らせることができないのです。こうしたことが実際の需要に影響するかは、いずれ明らかになるでしょう。
ITに詳しい人々がアイパッドにあまり関心を示していない反面、一般消費者がより強い興味を持っていることに個人的に注目しています。アイパッドを2台購入する予定の男性に話を聞きました。1台は叔母が使用し、もう1台は祖母が使用するそうです。2人にとってコンピューターのように見えない初めてのコンピューターで、直感的に使用できるため、何も教える必要がないので魅力的に感じているとのことでした。このほか、私の周りにはアップルのデジタル音楽プレーヤー「iPod Touch(アイポッド・タッチ)」の代わりにアイパッドを使いたいと思っている人もいます。
コンピューターで行なう作業がテレビの視聴、ウェブサイトや動画共有サイト「ユーチューブ」の閲覧、電子メールの作成、写真の共有などに限定されるのであれば、大型で高価かつパワフルなノート型パソコンは実際には必要ないでしょう。
WSJ日本版:アイパッドは携帯機器として人気を博すと思いますか。
ケイン・岩谷ゆかり記者:9.7インチ画面のデバイスを人々が持ち運びたいと考えるかどうか、いろいろな見方があります。携帯というからには、モバイル機器として表に持ち出すことが前提です。
一方、アイパッドが家庭内で携帯機器としていかに使用されるのか興味があります。日本人は家庭内での使用に価値を見出す可能性があります。多くの家庭はテレビを1台保有していますが、アイパッドがあれば、寝室でテレビを視聴できます。アイパッドは持ち運び可能な第2のマルチメディア機器のような存在で、こうしたところが強みとみています。
WSJ日本版:アイパッドの課題は何でしょう。
ケイン・岩谷ゆかり記者:アップルのスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)は、アイフォーンとノート型パソコン「マックブック」の中間にアイパッドを位置付け、アイフォーンを上回るものだ、と述べました。ただ、どのような点でアイフォーンより優れているのかまだ疑問に思っている消費者も多くいます。
例えば、アイパッドはアイフォーンよりも大きな画面を持っていますが、電話をかけることはできません。この点でアイフォーンより優れているとは言えません。マックブックの持つ柔軟性にも欠けています。マックブックはフラッシュに対応しています。この点ではマックブックに分があります。
ジョブズ氏はアイパッドを「魔法の機器(マジカル・デバイス)」と呼んでいますが、多くの人がどの部分が魔法であるのか考えています。
また、成功の可否は開発されるアプリケーションにも依存します。われわれは恐らく4月3日から、アプリケーションに関する多くの発表を耳にすることになります。時間が経つにつれ、よりクリエーティブなアプリケーションを目にするようになるでしょう。人々のアイパッドに対する認識を変えるアイデアが発表されるかもしれません。
99セントでテレビ番組を配信するサービスを開始できるかどうかも一つの注目点です。新聞社とのパートナーシップもあります。アップルとニューヨーク・タイムズは、新聞のあり方を変える可能性があるアプリケーションを共同で開発しているようです。成り行きを見守りたいところです。
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ケイン・岩谷ゆかり
ロイター通信のワシントン、サンフランシスコ、シカゴ、東京支局を経て2006年にウォール・ストリート・ジャーナルに入社。東京支局ではソニー、任天堂などエレクトロニクス業界を担当。2008年秋よりサンフランシスコ支局でアップル、パームなどの企業やビデオゲーム業界を担当。スティーブ・ジョブズCEOが肝臓移植を受けたことや、今年夏の発売に向けiPhoneの新機種を開発していることなどをいち早く報道している。
【3月31日13時12分配信
ウォール・ストリート・ジャーナルhttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100331-00000305-wsj-bus_all