大小板

November 12 [Mon], 2012, 16:57
群馬県の名湯草津温泉、その温泉街の中心にある老舗旅館山本館。
この山本館の玄関に大または小と書かれた丸い札が掛かっています。
以前、ここに宿泊した時気になって女将に尋ねると、それは大小板というものです。
江戸時代、商家の軒や店内に掲げていたもので、大と小が裏表になっています。
大の月には大を、小の月には小を掛けますとのことでした。
そんなことを思い出したので、いろいろと調べてみると一般に旧暦と呼ばれる明治のはじめまで使われていた太陰太陽暦では、大の月小の月が現在の暦のように固定されておらず、毎年その並びが変化してしまいました。
江戸時代の商取引の多くは、盆暮れの年2回か、月末払いという掛け売りが普通だったそうです。
月末払いが多いということは、商人は月の終わりにはあちこちのお得意様を回って集金するわけですが、ここで月の大小を間違えると困ったことになります。
大の月を小の月と間違えた場合晦日が30日なのに29日だと勘違い客晦日は明日だ。
もう一度出直しておいで商人とほほ小の月を大の月と間違えた場合晦日が29日なのに30日だと勘違い客月の朔日から集金とは縁起でもない。
今月の晦日に出直してこい商人とほほ、とほほ二度足を運ぶパソコンで稼ぐだけなら仕方ないでしょうが、難癖つけられて支払いを踏み倒されたりしたら大事ですよね。
また、この時代は月の始めに行事があったり、月によって衣替えが行われたりするわけで、衣替えの日に着物を間違えると笑いものになってしまいます。
これは恥ずかしい中学の頃、夏服から冬服への衣替えの日に、夏服で登校した実体験のあるふつうのおぢさん談。
恥ずかしいだけならいいですが、武士が大事な行事の日付でも違えたら、腹切りものなんてことだってなかったとは言えません。
それで、こうした間違いをしでかさないように生まれたのがこの大小板。
大の月小の月の告知板です。
裏表に大小と書いたものや、文字の形を工夫して大の文字を90度回転させると小の文字に見えるようにしたものなどがあったようです。
大小板を今から見れば面白いものですが、こうしたものでも作らないと日付が分からなくなってしまう暦というのもなかなか大変でしたね。
西向く士だけで済む今の暦で助かった
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