昔 (其の2) 

September 17 [Sun], 2006, 20:45
彼と出会ったのは、25歳の時。

前の恋に疲れきって、やっと回復して
もう、しばらく恋はいらないと思っていた頃。

彼のことは、それまでも噂だけは聞いていた。
同じ職種で、とても博識で、才能があって、面倒見が良くて…。
絶対にプラスになる人だから、機会があったら紹介すると
よく言われていた。


その日は、突然だった。

年上の友達の会社に遊びに行ったその日、
私は彼に出会った。

いつも忙しくて、なかなか会えない人だと後から聞いた。
会えるなんて、ラッキーだと。

帽子をかぶって、髪も少し伸びていた彼を
そこまでまっすぐ見つめることも出来ず、
何を話したのかも正直覚えていない。

自己紹介と、仕事で接点があるかもと言うことで連絡先を交換したくらいだ。


第一印象は、勢いがあって、少しコワイと思った。
友達にもなれないだろう、と。
言ってしまえば苦手だった。

まして、好きになるなんて、
あの時の私は、思いもしなかった。

昔 (其の1) 

September 08 [Fri], 2006, 21:59
「さくちゃん」と彼が呼ぶ。


その声が好きだった。

微かに甘くて、少しじれったいような。
彼の声が好きだった。
少しだけの笑顔。
彼の匂い。

あの時、確かに私は恋の中にいた。



できるなら、ずっと傍にいたかった。

ずっと、ずっと、彼の隣で過ごしていたかった。




だけど私は、その手を離した。


彼を好きな自分を手放した。


自分全てで、追いかける激しさよりも平和で静かな時間を選んだ。


だから今でも思い出す。


もしも今も一緒に過ごしていたら、私たちはどうなっていたのだろう。




あれほどまでに、もう私は人を好きにはならないだろう。

良くある言葉かも知れない。

だけど、私は、あんなにもひたすらに誰かを求めたことはなかった。
私のすべてが彼だった。

生まれたての雛鳥が、初めて見た誰かのように。
彼だけが私の世界を動かすことが出来た。



もしも、もう一度出会えたら。
その時、私は、どうするのだろう。
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