そして世界はまた回る。 

August 15 [Mon], 2011, 9:50
〈登場人物〉
ペソ
マチ
ドクター(博士)



***

ペソが本を読んでいる
マチが楽しそうに入ってくる

マチ「ペソ!」
ペソ「マチ。どうしたのさ」
マチ「えへへ〜」
ペソ「嬉しいことでもあった?」

マチ頷く

ペソ「当ててやろうか。卵焼きが上手く焼けた」
マチ「ううん、違うよ」
ペソ「じゃあ、ツバメの雛が孵った」
マチ「はずれ〜」
ペソ「じゃあ何さ」
マチ「ふふーん、ドクターがね、今日から外に出ていいよって」
ペソ「ホントか!?」
マチ「うん、うん!9月から学校にも行けるし、買い物も自分で行けるよ!」
ペソ「凄いじゃないか。じゃあ今日は早速出かけるのか?」
マチ「ううん、今日はまだ洗濯物と夕飯の準備が出来てないから明日にするの」
ペソ「そっか…でもまあマチはおっちょこちょいだから慌てて出掛けたら迷子になりそうだもんな」
マチ「酷ーい」
ペソ「あはは、でも良かったじゃん。明日どこ行くんだ?」
マチ「決めてないんだ、まだ」
ペソ「へえ、珍しい。マチのことだから動物園とか水族館って言うかと思った」
マチ「そりゃ行きたいよ。でも、ドクターが連れて行れていきたい場所があるんだって」
ペソ「ドクターが?」
マチ「うん、だから決めてないの」
ペソ「ドクターが外出ってのも珍しいな…」
マチ「あ、何読んでるの?」
ペソ「ん、これか?吸血鬼の話」
マチ「吸血鬼?」
ペソ「吸血鬼の男が人間の女の子に恋するんだ」
マチ「恋愛小説?珍しいね」
ペソ「たまには読みたくなるんだよ」
マチ「でも吸血鬼って人間の血を吸うんでしょ?」
ペソ「そう。それだけじゃない。吸血鬼は日の光を浴びると溶けてなくなってしまうんだ。だから夜しか外に出れないんだ」
マチ「……私みたい」
ペソ「あはは、マチは確かに日にあたらないから白いね。もしかしたら発光するかも」
マチ「そんな白くないもん」
ペソ「でもさ、マチは吸血鬼じゃない、だって明日からお日様にあたりにいくんだ。そうだろ?」
マチ「…そうだよ、明日から外に出れるんだよ」
ペソ「(不安そうなマチの頭を撫でて)明日、俺もついてくよ。ドクターの用事が終わったら、一緒に動物園に行こう」
マチ「…うん、……うん…」

ヤカンの噴く音が奥から聞こえる

マチ「いけない。火つけっぱなしだった。コーヒー淹れてくるから待っててね。おやつはって言ってもサンドイッチしか作れないけど」
ペソ「マチのサンドイッチは世界一だもん。楽しみにしてるね」

マチ嬉しそうに、去る
反対から白衣を着た男が現れる。ドクターだ。

ドクター「いいねえ…若いって」
ペソ「……いたんですか」
ドクター「趣味が盗聴と監視カメラの設置なもんで。一部始終見てました」
ペソ「最低ですよ」
ドクター「いいじゃん、減るもんじゃないし」
ペソ「減りますよ、純情さが」
ドクター「そうやって大人になるんだよ」
ペソ「つくづく薄汚れてますね。ドクターを心底信頼しているマチが可哀想だ」
ドクター「そりゃあ信頼する他ないからさ。あの子の兄だからね」
ペソ「……いつになったら言うんですか、それ」
ドクター「言うんだよ、明日。出かけた先でね」
ペソ「………」
ドクター「あーあ、マチ怒るだろうな。でも僕だって仕事ばっかりで妹に寂しい思いさせるくらいなら兄なんて名乗らない方がいいと思ってさー。それより頼れるペソ君に頼った方がどれだけいいか」
ペソ「兄がいた方がよっぽどいいですよ。むしろ、ここまで引きずったならもう言わないでください、マチが可哀想です」
ドクター「……そうなんだけどね、どうしても明日じゃなきゃいけないんだ」
ペソ「…どうしてですか?」
ドクター「マチの引取先が見つかったんだ」
ペソ「………え?」
ドクター「前から言ってただろ?マチはいずれはどこかのホスピタルに入るって」
ペソ「ま…待てよドクター、それって…」
ドクター「勘違いしないでくれよペソ。あの子は病気じゃない………最初からね」
ペソ「……は?」
ドクター「ただ日光を浴びちゃいけないのは事実だった。彼女は確かに軟弱だったんだよ、昨日までは」
ペソ「じゃあ何で病院なんかに」
ドクター「ホスピタル、だ。勘違いしないでくれ。そこらの病院で治療を施すのとはワケが違う」
ペソ「……ドクター?」
ドクター「……僕は、ドクターじゃないよ」

回想。マチとドクターがいる。ドクターはここでは博士。

女「製造番号2658、通称マチ。起動開始スタンバイ」
博士「これでやっと、ずっと一緒にいられるね…」
女「起動開始します」

マチが目を開けて動きだす。少しぎこちない。

マチ「……あなたは?」
博士「…僕はドクター。宜しく、マチ」
マチ「まち?」
博士「君の名前だよ」
マチ「…宜しく、ドクター」

場面が変わる。買い物袋を持ったマチが横たわっている。寄り添う博士。

博士「マチ…マチ…」
女「核部に異常あり。強い紫外線によるモーターの損傷。再起動プログラムを検索中」
博士「マチ…また僕を置いていかないでくれ…」
男「博士、3日もそのAIにつきっきりです。そろそろ…」
博士「うるさい!!僕の…僕のマチだ…」
女「再起動プログラム開始。紫外線ケアオペレーションシステムを開始します。所要時間約26280時間」

ドクターがいる。そこへペソがやってくる。

ペソ「話ってなんですか、ドクター」
博士「君に頼みがあるんだ。僕の妹…、マチの友達になってやってほしい」
ペソ「俺がですか?」
博士「病気持ちでね、外に出れないんだ。年も近いし、お願いしてもいいかな」
ペソ「……わかりました」

回想終了

ペソ「……ドクター?」
ドクター「…ああ、ごめん。昔を思い出してて」
ペソ「ホスピタルってどこなんですか?」
ドクター「…AI再開発プロジェクトの最高機関。通称ロボットの病院だよ」
ペソ「……じゃあマチは」
ドクター「彼女は立派な未熟な僕の『妹』だよ。今までのAIの中で最高の出来だった。それをお偉いさん方に目をつけられて、おもちゃにされるのさ。核媒体を取られたら、もう僕のマチじゃない」
ペソ「………」
ドクター「ペソ君、連れてってやってくれよ。マチを、動物園に。やっと外に出れるようにプログラムされたんだ。もうマチともお別れなんだ」
ペソ「ドクター、吸血鬼の話知ってますよね」
ドクター「ん?ああ、知ってるよ」
ペソ「最後、どうなるか知ってます?」
ドクター「………」

そこは研究室。ペソ、ドクターがいる。

女「製造番号2659。再起動プログラムオペレーションを開始します」
ドクター「始めてくれ」

ペソが動き出す。ペソが動く度に奇怪な機械音がする。

ドクター「…気分はどうだい?」
ペソ「……不思議な気分です」
ドクター「そうだろうよ。人が変われば視界も変わる。『僕たち』は、ずっと君をそういう目線から見ていたんだ」

博士の白衣から見えるのは製造プレート。もう霞んでしまってナンバーも見えない。

ペソ「………」
ドクター「マチは、あと1314000時間後に帰ってくる、それまでここを頼んだよ」
ペソ「……はい」
ドクター「…僕が人間だったなら、君をこんなふ…うに…は………」

ドクターが倒れる。ペソ、ドクターに駆け寄る。動かないドクター。ペソ、ドクターを抱え込む。暗転。

女「製造番号2658、通称マチ。再起動プログラムオペレーションを開始します」
ペソ「始めてくれ」

ペソ、眠っているかのようなマチに歩み寄り、撫でる。マチ、目を覚ます。

マチ「……あなたはだあれ?」
ペソ「俺はペソ。君のお兄ちゃんだよ」
マチ「ねえ、ペソ。私、あなたとどこかで会ったかしら」
ペソ「(首を振る)ねえ、マチ。今度生まれ変わったら一緒に動物園に行こう。植物園にも水族館にも、そしたらまたサンドイッチを作ってくれる?」

深く頷くマチ。沢山の機械音。ブザー音。爆発音。炎と一緒に消えていく、マチとペソ。その笑顔はどこかぎこちなく寂しい。

男「吸血鬼と人間は、最後に人間が吸血鬼になることで二人の恋は結ばれた。しかし、彼らは結ばれたその日にローマの地に赴き、自らを日に当て消滅させた」

沈黙。誰もいない研究室。

女「再起動プログラムオペレーションを開始します」

そして世界はまた回る。





《あとがき》
あ、最後のタイトルですごめんなさい
ロボットものが昔から好きなんですごめんなさい
ややこしい話でごめんなさい
リア充燃やしてみたかっただけですごめんなさい
もっと長文が書きたかったですごめんなさい
3時間位で書いたんで駄文知らねえですごめんなさい



………楽しかった(´ω`*)
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*また、このブログサイトは通告せず突然閉鎖する場合があります。


ご了承ください。
以上を踏まえて、しがない妄想に付き合ってくださる方ようこそ、劇部の国へ!



ゲキブの国(本編)に関する諸注意

一、閃きで書き始める為、所要時間が6時間もないのをほぼ無修正で掲載するので、本筋は変わりませんが、通告なく内容が変わったりする場合があります。
一、上記にあるようにほぼ無修正なので長文になり、読むにはそれなりの覚悟が必要です
一、古いものから話が順につながっています
一、面白くありません
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