VOCA2009
April 07 [Tue], 2009, 1:28

2009.3.15~3.30に開催された上野の森美術館で行われたVOCA2009。VOCA展は1994年から推薦委員が選んだ若手作家に出品を依頼するという形で毎年この時期に行われている展覧会。時代の平面表現を垣間みる事のできる貴重な展覧会と言えます。私は最終日に観覧しましたが、やはり今年も興味深い内容となっておりました。
個人的な意見になりますが気になった作家さんを挙げていきます。
田尾創樹さんは以前から正体不明の作家として気になっていましたが、今回実際に拝見して感じたのは作家の個人的文脈が希薄であるという事。それは、コピー&ペーストのような感覚で図像がアイコン化されそれぞれが本来の意図を消失している点で言えると思います。ただし、面白い点はそこではなく、その図像がウォーホールのような誰もが慣れ親しんだものではなく、身の回りの変哲もないものであろう品や、特定できない人物、慨視感はあるが微妙に変更された図が使われている点だと感じました。確かに何かが消失しているのに、田尾創樹という人物は存在感を消したまま確実に大きな個性を放っている。不思議な感覚を覚えました。好き嫌いはありそう。
藤田桃子さんの絵は、まずその迫力に圧倒されました。グロテスクで強烈なマチエールですが、どこか荘厳さを覚え、神や人知を超えた存在をさせ感じます。
佐藤修康さんの絵画は原始的で、感情的に見えるし、実際にそうなのだろうと思いますが、ただ、色を無造作に
塗り付けているのではなく、何かわからないものが確かに描かれている、それは呪術に使うお供え物のように思えてきて、その儀式が行われた痕跡を見ているような感覚を受けました。
今回の展示で佐藤さんの対局にあるのが樫木知子さんであったような気がしました。超越したものに委ねる佐藤さんの方法とは逆に樫木さんは完璧な画面を追求した技法の極み。その技術を駆使して作られたアンニュイな世界観は他に追随を許さない完成度を実現しています。
視覚体験を超えてもはや感覚に直椄に訴えかけるような、風能奈々さんや三瀬夏之介さんの作品は、空間と平面の狭間に入り込んでしまったような不思議な体験や、何千年もの夢に旅だってしまったような、精神世界へと見るものを連れ去ってしまう魅力がありました。風能さんの素材に対する意識や卓越したセンス、三瀬さんの把握しきれないほどの世界感と手数が、作品をそれほどの領域にまで高めているのだなと感じました。
福永大介さんの絵画は、「変」という印象。明らかに変な構図で変哲もないモチーフが描かれている。にもかかわらず、これを単に構図の良くない絵として見ていいのか。絵画における常識の構図からズラす事によって絵画の在り方について問い直す意味で重要な部分をついている作品なのかもしれません。
今回のVOCAを観覧して感じた事は原始回帰ともとれる呪術的なプロセスを経て何か本質を露にしたり、目に見えない超越的なものに対する信仰を表現した作品が増えているのではという事です。それは以前のネットの普及による図像の在り方が変質し、フラットになっていく社会における表現の時代を越えて逆方向に向かう動向とも取れますが、平面の一部の作品を見ただけですし、確かな事は言えません。しかし、これからの平面表現において意義のある展覧会だった事は確かですし、これから美術がどんな動きになっていくのか楽しみにさせてくれる内容でした。
淺井祐介さんの超紀元的な絵画も魅力的でしたし、池谷保さんの絵の具そのものと交信しながら更新されていくような印象のペインティングも大変良かったです。
VOCA2009
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