stay 

February 20 [Wed], 2008, 0:34
気付けば、彼女の手にはいくつかの引っ掻き傷。
師走のはじめに、彼女は子猫を飼い始めた。

彼は彼女の白い肌に、深々と爪が入り込んだであろう
赤い線の痕をそっと指でなぞる。

「これ、痛そうだな。」

「引っ掻かれたその時はね。
ちょっと出血しちゃったかな。とってもおてんばな子なのよ。」

そういうと彼女は、ふふふと何かを思い出すように笑った。

「頼むから、あんまり傷を増やさないで。
せっかくのきれいな肌が台無しになっちゃうよ。」

彼はそう放った唇を、優しく彼女の腕へ導く。
そしてそのまま、彼女のおでこに軽くキスをした。


今夜はとても冷える。
ベッド横の窓から見える星の少ない夜空のキャンバスは
どこか物悲しげで、寒さを余計に際立たせる。


今朝干した毛布は、陽の匂いが染み付いてふかふかしている。

それにくるまりながら横になる2人。

照明を消し、BGM代わりにテレビをつけると、
ちょうど今夜は今年一番の冷え込みになるとニュースでやっていた。


どうりで寒いのねと言いながら、彼女は自分の脚を彼のに絡めながら、
彼にしがみつくように寄り添う。

そして彼も、自然と右腕を伸ばし、彼女に腕枕をしてやる。


いつものポジションになったと分かり、彼女は彼から隠れるようにして微笑み、
テレビの音に耳を傾けながら目を閉じた。


しばらくして、彼が彼女のほうへ視線をやると、
彼女が眠りについたことに気が付き、
優しく包み込むように腕枕をしている手で
彼女の頭を撫でた。

そしてその表情は、誰にも見せないようなやわらかい笑みでいっぱいだった。



朦朧とする夢うつつな意識の中で、
彼女は自分の頭を撫でる彼の指先を、心の底から愛おしく感じていた。


再び目を開いたら、この愛しい想いを彼に伝えよう。
だけど今は、もう少しだけ眠っていたい。
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