Triple Emotion1話 

July 01 [Sat], 2006, 16:00
一月の初頭、ここは福岡の少し田舎…。

「矢口先生!転校生、先生のクラスで良いでしょうか?」

朝急に校長先生が少年を連れて話しかけて来た。

「はい♪もちろんです。君、名前は?」

女性は少年に向かって話しかけた。

「諏訪…託間です。」

少年は緊張してるような話し方だった。

「(…諏訪?)…私担任の矢口真里。よろしくね♪」

矢口は諏訪に向かって笑いかけた。少年は恥ずかしそうに頷いた。そして二人は教室に向かった。

ガラッ

「はい!席について!」

教室に入って矢口は生徒達を叱った。そして諏訪に席を教え座らせた。

「今日、転校生の諏訪託間君が来ました♪みんな仲良くしてあげて。
虐めちゃ駄目だよ!んじゃHR始めます。」

紹介はさらっとしていた。このクラスは約15人しかいなかったので丁寧に紹介する必要が無かった。
個人で交流するのが1番だ。

「諏訪君!」

家に帰ろうと道を歩いていた時いきなり女の子が話しかけてきた。
返事を声にする間もなく女の子は話してきた。

「私の名前は田中れいなけん!よろしく♪」
「あ…諏訪託間です。よ…よろしく。」

諏訪は嬉しかった。初めて女の子に話し掛けられたのだ。
田中れいな、この子は諏訪の二個前に座っていた背の低い女の子だ。
いかにもヤンキーっぽい服装であり、とても可愛い女の子だったので諏訪は顔が赤くなった。

「諏訪君はどこからきたっちゃ?福岡のこんな田舎の学校に来るなんて珍しいとね!」
「愛知…父さんの仕事の関係で。でも五年前まで東京だったから標準語なんだけどね。」

諏訪は自分自身に驚きつつ話していた。
まさかこんなに可愛い女の子の前で普通に喋れるとは思ってもいなかったのだ。嬉しかった。

「おうれいな!早速転校生と話してると?流石友達作るの好きな女けんね!」

後ろを向くと諏訪の斜め後ろに座っていた男だった。

「佐々木ぃ!?なんとぉ?転校生に自己紹介とかするのは常識っちゃけんよ!」

れいなは男に向かって話し始めた。その顔は凄く嬉しそうだった。
その風景をキョトンとしながら見てた諏訪は…(俺の時と田中さんの態度が全然違う…もしかして…?)と思っていた。そんな事を考えていると…

「諏訪!俺は佐々木って名前やけん。仲良くしてな!なんて呼んだら良いと?」

突然佐々木が声をかけてきた。

「あ…あぁ。託間で良いよ。佐々木で良いよな?」

諏訪は少し動揺した声になっていた。

「佐々木とれいなは幼なじみみたいなもんっちゃ!家族ぐるみで仲良しけん♪」
「そうなんだ。あっ…俺ここ曲がるから。」
「れいなはまっすぐ♪また明日とね♪今日も疲れたっちゃ!お疲れいな!バイバイ☆★」
「託間!またな。今度皆で遊びに行くと!」

そういって佐々木とれいなは駆け出した。

「幼なじみ…か」

諏訪は小さな声で呟いた。数日後、諏訪は矢口先生に呼び出された。

「突然ごめんね。転校してきてもう一週間だけど…どう?もう…慣れた?」
「は…はい。田中さんとか佐々木とか仲良くしてくれて…嬉しいです。」
「そっか。ひとつきいてもいい?…諏訪君、身内に…諏訪雅俊さんって人いない?」
「(雅俊…えっ…兄さん!?)い…いません。」

諏訪はとっさに否定の言葉が出ていた。

「人違いか…。髪の質とか諏訪君凄い似てるからさぁなんか関連があるのかなと思って」

サワッ。 突然矢口は諏訪の髪に触れ顔を近づけ、下を向いて泣きはじめた。

「矢…口…先生?あ…その人となにかあったんですか?俺で良ければ話ききますよ…」

矢口は首を横に振った。

「なんでもないの。本当ごめんね。」

矢口があぁ言ってから普通に日々が過ぎて行った。
そんな時バレンタインデーと呼ばれる日が諏訪達にきた。

Triple Emotion2話 

July 02 [Sun], 2006, 16:50
3月5日この日は諏訪の合格発表の日であった。
諏訪は先生に合否を伝えに学校に行った

「矢口先生。う…受かりました。」
「本当?良かった!これでやっと話せる。」
「???に…諏訪雅俊って人の事ですか?」
「ううん。私の想いを。諏訪君に。」

矢口は真剣な顔だった。諏訪はきょとん顔でいた。

「私ね、先生やめるの。…友達にスカウトされて、別の事を始めるの。それで…」
「辞めちゃうんですか…中々会えなくなるんですね…これから。なんか残念です。」
「…好きなの。」

矢口は急に口ごもった。

「えっ?」

諏訪はなんの事か判らなかった。

「諏訪託間君が…好き。四月から…矢口と付き合ってくれますか?」
「ふへ!?」

諏訪は思わず不思議な声を発した。

「…返事は卒業式でいいから。じっくり考えて良い返事…待ってるね。」

矢口はそういって部屋を出て行った。

(…先生が…俺を?好…き?嬉しいけど…こういうのって…ありなのかな…?)
「諏ー訪?どうしたと〜?」
「…うわっ!れ…田中さん!びびったぁ…」
「それはこっちの台詞っちゃ!こんな公園でなに百面相しとーと。あ…もしや!」

そう、諏訪は驚いて公園で悩んでたのだ。

「…高校は合格しました。」
「なんだ。落ちて沈んどと思ったっちゃ!」
「俺だって悩む事ぐらいあるよ…いろいろ」
「ふーん。諏訪もしや…れいなに告っときながら好きな女でも出来とー?」
「…ヤキモチ?」

不思議とその言葉が出た。

「ばっ…違うけん!れいなまだ佐々木の事諦めてないっちゃ!
だから…卒業式に告るっちゃから…だから諏訪…応援してくれると?」
「…別に良いよ。ただし条件があるんだ。」
「条件?なにっちゃ?」
「俺は…卒業式まで…れいなの恋が実るまで…
れいな好きって気持ち、終止符打てないから、話さない。卒業するまでは話さない」
「え…あ…卒業するまでって?」
「友達の関係でもないってこと…話したら佐々木になにか言いそうになってしまうから」
「卒業したら友達やれる?終止符着いても…友達やれる?
れいな…佐々木以外に初めてなんだっちゃ…友達…初やけん。ダメ?」

この言葉を発した時のれいなの顔は凄く可愛かった。
真剣に悲しそうな顔だったので諏訪はまたドキッときた。

「あぁ。それでれいながいいんなら。」

諏訪は笑顔で答えた。れいなが幸せならそれでいい。
笑ってるれいなを見る為だったら、フラれても自分は友達でいいと思った。

「…ありがと。(諏訪が初めてれいなをれいなって呼んだっちゃ♪嬉しいとぉ。)」
「…こっちこそサンキュー。なんか…少し吹っ切れた。んじゃ!卒業式に会おうな。」

諏訪はそういって公園を後にした。次の日かられいなと諏訪は別行動し始めた。

卒業式当日。

「諏〜訪〜君!卒業おめでとぅっちゃ。」
「…!なんだれいなか。君って言うから誰かと思った。れいなもおめでとう。」
「へへっ喋るの久しぶりっちゃね。」
「れいな!託間!どこいっとぉ探したと。」
「佐々木!こっちも探してたんだよ。お前…ひとりか?珍しい…彼女はどうしたんだ?」
「あ〜あいつとは…別れた。ふったんだ。」
「マジ!?なんで!?」

二人同時に尋ねてた

「…好きな人が…見つかったけんと。」
「…」

れいなは黙ってる事しか出来なかった

Triple Emotion3話 

July 03 [Mon], 2006, 16:55
高校1年になった諏訪・れいな・佐々木はそれぞれ別の高校に入った。
七月。放課後…諏訪は部活に行った。

「なぁ…諏訪、お前、彼女いたりする?」

諏訪が携帯を触っていると部活の先輩の鈴木が話しかけて来た。

「彼女?いるわけないじゃないですか。」
「んじゃ女友達はいる?」

(女友達…)諏訪の頭にれいなが過ぎった。

「まぁ…親友っぽいのがひとり…います。」
「まじ!?紹介して!可愛い?どこの子?」
「残念でした。彼氏いるんですその子。」
「なんだよぉー。誰かいねぇ?」
「でもその子女子高だから友達で彼氏いない人結構いるかもしれない。」

諏訪はわざと小声で喋った。

「頼む!その子に頼んで!男子校じゃ女見つからんけん困っとっちゃから…諏訪頼む!」
「耳いいですね。今日会うから頼んでみますよ。年下かもしれないですが良いですか?」
「サンキュー頼んだぞ♪」

そして待ち合わせ場所のレストランにて…

「託間ー♪こっちっちゃよぉ♪」
「…高校入った途端託間って言うなよ。」
「いいやんいいやん親友なんっちゃから♪」
「あれ?今日佐々木は?」
「佐々木…クラブで忙しいっちゃから…。」

れいなの声は沈んで聞こえた気がした。

「なに沈んでんだよ。喧嘩でもしたか?」
「んなわけなか!」
「そんな必死にならなくても(笑)れいな今日部活は?なに入ってんだっけ?」
「ダンス部ーJPOP系のね。週3だから今日は休み。託間は卓球だったっけ?」
「うん。それで…相談事なんだけど…さ。」

諏訪は学校で鈴木と話してた内容をれいなに話そうとした。

「れいなの友達で彼氏いない子とかいる?」
「なーに、託間彼女欲しくなったとぉ?」
「俺じゃなくて…先輩が誰か紹介して欲しいらしいんだけど…だめかな?」
「んーその先輩のメルアド教えてくれん?明日同じ部活の先輩に聞いてみると。」
「ありがとう。頼むよ。」

次の日…放課後、部室にて。

「鈴木先輩、頼んだんで。俺の友達にお前のメルアド教えておいたのでよろしくです。」
「………」
「鈴木先輩?なに硬直してるんですか。」
「今…らしき人からメ…メールが…きた。」
「おぉ。相変わらずれいなは早いな。」

[初めまして、れいなちゃんから教えて頂きました。あさ美って言います。中学から女子高なのであまり男性には慣れていないんですがよろしくお願いします。あ…ちなみに高二でダンス部です。]

メール内容は丁寧に書かれていた。内容から少し緊張が伝わって来た。
鈴木は即メールを返そうと内容を考えていた。

…一方れいな達は学校の帰り途中だった

「お…送っちゃったよぉ…どうしよう…」

あさ美が震えた声で友達と喋っているれいなに話し掛けて来た。

「あ♪送ったと?大丈夫大丈夫♪託間の友達なら悪いやつじゃないと。安心しちょ♪」
「え?あさ美誰かとメールしてるん?」
「れいなが今日親友の友達紹介したと。愛さんもする?紹介するとよ?」
「私はいいよ。今は男に興味ないから。」

愛は冷たくれいなにかえした。

「愛はいいよ。女子高なのにモテるんだから。こないだまで彼氏いたじゃん。」
「羨ましい?絵里、男なんて一緒にいなきゃ浮気するもの。特に共学行ってるやつはね」
「…そういうもんなんですか?れいな…彼氏共学だから…離れると不安と…。」
「私の彼氏の場合はだよ?」

れいなは不安な顔をしていた。

「大丈夫だよ、れいなちゃん。愛の歴代の彼氏は根っからの遊び人だったの。ね、愛?」
「余計な事言わんでよ、絵里。あの人は違うよ。
あの人は…私が本気で愛してた唯一の人なんだからね。悪口言わんでよ。」
「ごめん…」

愛は話に参加してこないあさ美のほうをみた。あさ美を見るとあさ美は道の真ん中に棒立ちしていた。

「あさ美、なに硬直してんの置いてくよ!」

愛は硬直してるあさ美を叱った。

「ふゎゎゎゎ!」

ビクン!(三人ともビクッと肩をあげた)

「な…どうしたと?あさ美さん!」
「メ…メールが返って…返ってきた…」
「うそ!?」

[初めまして。鈴木です。俺も中学から男子校だから安心してください。俺は高二の卓球部です。
あさ美さんのが勉強するだろうね。あさ美さんの学校頭いいって噂ですから。
だから、邪魔にならないようにメールします、よろしくお願いします!]

「へーどう思う?絵里。」
「んーあさ美にはちょっと軽そう?愛は?」
「こんぐらいが1番じゃない?あさ美には」
「絵里、愛ちゃん…どうすれば…いいの?」

あさ美がおどおどした態度で二人にはなしかけた。

「大丈夫だよ、あさ美。私たち全力で協力するから♪心配いらないって。」
「愛に任せたら恋愛成功するかわかんないけどねー(笑)」
「絵里には言われたくないんだけど?」
「あさ美、大丈夫だからね。」
「れいなも協力するとよ!託間の先輩っちゃから託間にちょっと聞きだしとっからね。」
「ありがとう…三人とも。」
「ほら、わかったら早く返事書く♪」

愛は歩きながらあさ美に微笑みかけていた。
このあさ美のメールが原因で愛に驚きのことが起こるとは誰も思いもしなかったのだ…。

Triple Emotion4話 

July 04 [Tue], 2006, 17:00
「あさ美最近どうなの?メールしてる?」

数日後の放課後絵里があさ美に切り出した。

「鈴木君?一日おきにしてるけど数通で終わるよ。全部向こうから送ってくる感じ。」
「一日おきぃ?それあさ美から送ってくるのを待ってるんじゃないの?ねぇ、愛。」
「絵里の言う通りだよ。待ってるよそいつ。」
「でも私メールの内容思い付かないし塾あるからどうしたらいいかわかんなくて…」
「相手の顔は知ってる?」
「うん。一応…。会おうとか言われるけど」

あさ美は戸惑っていた。

「会えば良いじゃん。本性解るよ?」
「…愛ちゃん一緒に会ってくれる?お願い」
「え…?…だって私彼氏いないもん、どうしたらいいの?
2対1なんて嫌だよ?ちょっと…れいなちゃん、協力してあげてよ。あんたが紹介したんでしょ?」
「でもれいな彼氏今忙しいっちゃけど…託間なら良いと思うとよ?聞いてみようか?」
「託間って親友の子?」
「ちょっとメールしてみるっちゃ♪」

れいなは早速諏訪にメールした。

…一方諏訪は…

〜♪

「ん?れいなからメール…。先輩!あの人と会うんですか?あさ美さんだっけ…?」
「…そう、託間一緒に会ってくれんとぉ?」
「ちょっと待てよ、んなの無理だろ!」

〜♪ (託間携帯が鳴る音)

「もしもし託間ー?」
「ダブルデートってどういう事だよれいな。俺鈴木がやってる人とその友達しらんよ?」
「だーかーら♪れいなと☆」
「はぁ?」
「いけんと?いやって言う訳なかとね?託間、れいなの事最近まで好きだったとね?」
「佐々木になんて言うつもりだよ。」
「なんとかするっちゃから安心しとぉて♪」
「わかった…。知らないよ俺は…。」

プチッ

諏訪は溜め息をつきながら携帯を切った。

「先輩…付き合いますよ。ただし俺はなにも出来ないっすよ?こんな形の彼女いなかったし…。」
「ありがとう諏訪!助かったよ!」

数日後、ダブルデートの前日…

「明日…佐々木は了解してても俺はなぁ…」

託間は久々れいなに思いを告げた公園に座って悩んでいた。

ピタッ。(諏訪の顔に冷たい物が当たった)

「……冷たっ!?」

諏訪は冷たさに驚いて前を向いた。

「や…矢口先生!?お久しぶりです!」
「なに沈んでんのー託間くん?はい、ジュース♪先生の奢りだからね。」
「…ありがとうございます。沈んでるわけじゃないんですけど…」
「明日ダブルデートでしょ?もしかして…まだれいなへの気持ち、吹っ切れてないの?」

矢口は諏訪の横に座った。

「吹っ切れてますよ。だからこそ佐々木に悪い気がして悩んでるんです。」
「…そっか…託間くんは偉いね」
「え…?」

矢口は諏訪に背中を当てて座った。

「私なんてまだ雅俊への気持ち吹っ切れてないもん。もう五年もたつのになー。」
「雅俊…雅兄の事好きだったんですか?」
「五年前…私がれいなと会う前。まだ高3の時だったんだけど東京にいた時、
雅俊がうちの高校に引っ越ししてきたの。」
(兄さん俺達と入れ違いだったからなぁ…)
「一目惚れだった。だけど雅俊は…」

矢口は遠くを見つめて言った。

「今雅俊が付き合ってる彼女に一目惚れしてた。二日ですぐわかった。
叶わないと…そう思った。けど…私は雅俊を応援することにしてなにも伝えずに過ごしたなー。
それでもう五年もたっちゃった(笑)笑えるよね。」
「…笑わないですよ。矢口先生の純愛なんですから。雅俊兄も馬鹿ですよね、
矢口先生の事逃すなんて、勿体ないことしてるなー。」

諏訪はなぜか必死に矢口を励ましていた。

「ありがと…あーあ、託間君と会ってたら良かったな。絶対好きになってた…。」

矢口は立ち上がり諏訪のほうを向いた。夕日をバックにした矢口は輝いてみえた。

ドキッ

諏訪は矢口の顔をみて胸の鼓動が高まった。(七歳差って…犯罪かな?)
矢口は少し泣きそうな顔で下唇を少し噛んだ。諏訪の目はいつの間にか矢口の唇に行っていた。

「それじゃあまたね。明日楽しみなよー。」
「矢口先生あの…おれ−−−−」

パー!ガコンガコン!

電車の音に遮られ、諏訪の言った事は矢口に届かなかった。

「ん?」
「…お…お気をつけて…さよなら。」

諏訪はかけだしていった。

(…俺今なに言おうとした!?先生に恋願望抱きかけてた…やべ。)
「託間君!あの話実は真剣だからね!」

矢口が走り去ろうとする諏訪にむかって叫んだ。

「へ?あの話ってなんですか?」
「…三月に言った事、れいなが騙しっていったけど…本気にしてくれても良いから…私」
(三月に言った事って確か…!?)

諏訪の心は混乱していた。矢口は優しい口調で告げた。


「諏訪託間君が好きです」



と…。

Triple Emotion5話 

July 05 [Wed], 2006, 17:10
「諏訪託間君が好きです」

矢口にそう告げられた諏訪の心は混乱していて諏訪はベットの上で天井を見つめていた。

(先生が好きって…俺を好きって…嘘じゃないんだよな…?でも立場からしたら…?
俺と先生は七歳差でしかも相手は先生で…。)

諏訪はカレンダーをみた。
明日の日付にはダブルデートの日と印がしてある。
諏訪はそのカレンダーを見つめ携帯を取り出した。

(明日のデート、キャンセルしよう。
自分の気持ちがわからないくせに相手のひっつけ役になんてなれるわけない…)

「もしもし?」
「もしもしれいな?託間だけど…」
「あ…託間?珍しいとね、どうしたとー?」
「悪いれいな…俺明日ダブルデートパス。
先輩にも伝えておくけど多分先輩も誰かに頼むだろうかられいなそいつとしてくれ…。」
「パスゥ?じゃあれいなも替わって貰う。」
「それはあさ美さんに失礼では?」
「だって…佐々木が許さないと思うっちゃ」
「佐々木なら許してくれたんじゃ…」
「託間なら許すっていっとっちゃから。」
「わり。ちょっと明日は考えごとしたくて」
「まぁ良いと…。託間、明後日は暇?」
「明後日?まぁ…暇だけど…なんで?」
「…ちょっと付き合って欲しいっちゃけん」

ドキッ 

諏訪は胸の鼓動が再び高くなった。

「つ…付き合うって?」

託間は少し緊張し、どもっていた。

「明後日は佐々木のバスケ部の練習試合っちゃ。託間、一緒に見に行ってくれん?」
「あぁ…佐々木の。別に…良いよ。」
「良かった。」
「大丈夫か?なんか…不安そうな声…?」
「大丈夫っちゃ♪場所はメールで言うと♪」
「わかった。じゃ、また明後日。」

プチッ

諏訪は携帯を置いてベットに再び寝転んだ。

(はぁ…れいなへの気持ち吹っ切れてないよな自分…でも吹っ切れてないからって…
姉の矢口先生を好きになっても良いのかな?ダメだよなー。)

コンコンッ!(扉を叩く音)

「託間、入っても良いかな?」
「んー雅兄?良いよー」

部屋に入って来た雅俊は諏訪の椅子に座った

「なに?相談?」
「ん…託間お前矢口のこと好き?」

ギクッ! 

諏訪は目を泳がせていた

「す…好きだと思う。今日告られた…。」
「…そっか。ま…お前ならいいや。」
「なんだよその言い方…」

諏訪は雅俊の言いたいことはわかっていた。
雅俊は窓の外から空を見上げていた。

「…雅兄、ホントに良いと思ってる?」
「いいんだ…矢口がお前に告白したんなら」
「俺はまだ受けるって決めてないよ雅兄。」
「受けろよ。好きだろ?」
「なんで戦おうとしないんだよ、雅兄。」
「…戦うって…」
「先生のこと、好きなんだろ?なんで俺に譲ろうとするんだよ。」
「それが矢口の選んだ結果なんだろう…?」
「俺…雅兄には矢口先生への想いの強さ負けてると思ってるから
雅兄が好きって言えばひくつもりでいる。ホントに好きなら…俺は」
「矢口はお前を選んだんだ!想いに答えてやってくれ。もう…傷付けたくない。
あの時のように後悔もしたくないし後悔させるのはいやだから…。」

雅俊は少し頭を下げていた。

「あの時のように…ってどういう意味?」
「……」

雅俊は椅子に戻って諏訪の目を見た。

「…俺は転校初日二人の女性が目についた。
それが彼女と矢口…初めは彼女も矢口も友達としてやってけるって思ってた。
けど…遊ぶにつれ矢口の中身に弾かれて行った。けど」
「…矢口先生とくっつかなかったのか?」
「先に今の彼女から告白されちゃって…。」
「受けたんだ?」
「好きだったから。彼女のこと好きだった」
「それじゃ…矢口先生は…」
「………」
「そんな…両想いだったのに…嘘だろ…」
「矢口に告白されたこと…一度あるんだ。」
「へ!?」
「メールでひょんなことからだった。どうすれば良いかわからずに俺は…矢口に返事をかけなかった。
そうしたら矢口は…。」
「……?」
「両親の離婚が決まって…福岡に…ここに引っ越しちまったんだ…。」
「引っ越し!?あ…れいなか…。」
「それで恋に発展もせずに終ー了ー。」

雅俊は椅子から立ち上がってドアのほうに行った。

「…託間。」
「…?なんだよ。」
「矢口の告白を受けるかは、お前の矢口への想い次第だ。俺に…遠慮…絶対すんなよ。」
「わかった。もう少し考えてみるよ。」

雅俊は部屋を出て行った。

(雅兄も矢口先生も…良い恋してるんだ。
れいなへの想いを吹っ切れないんなら俺は矢口先生からの想いを受けるわけにはいかないんだ…)

「俺…どうしたらいいんだろ…?」

諏訪は小さな声で呟いていた。

(明後日にはれいなと会う…その時になにかわかったら…
その時になにか変われたら…矢口先生の想いに答えよう。)

Triple Emotion6話 

July 06 [Thu], 2006, 17:15
今日はあさ美と鈴木が初対面の日…。

「なんで私がデート付き合ってんの…?」

昨日急にれいなに変わってほしいと言われた
愛が待ち合わせ場所で少し怒った声になって愚痴をこぼしていた。

「ごめんね、愛ちゃん。でも絵里が無理だっていうし愛ちゃんしかいなくて…。」
「いや、あさ美のせいじゃないんだけど…」
「愛ちゃん男の人苦手だもんね。」
「だから女子校なんです。」

愛は投げやりな口調になりながら前を向くと高校生ぐらいの男の子が立っていた。

「あのあさ美さんですか?鈴木ですが…。」
「あ…鈴木…君ですか。あれ?お友達は?」
「もうすぐ来るはずなんだ。ごめんちょっと待って貰って良いかな?えと…そちらは…」
「あさ美の友達の愛です。よろしく。」
「鈴木です。今日はよろしくお願いします。あ!いました…金城!こっち!こっち!」

鈴木が友達の金城を呼び寄せた。

(金城…?…剛…?)

愛は悪い予感がした金城が近づいてくると愛は予感的中という感じで目を背けた。

「わり…鈴木。遅れた、もう挨拶すんだ?」
「……剛……」
「…金城くん…!?」
「あさ美さんと…あ…い…?」

あさ美は戸惑いながら愛をみた。

「え…お前達知り合い?」

鈴木は意味がわからず動揺していた。

「昔ちょっと…。」
「あさ美、悪いけど、私…帰るわ。」
「ふええ?ちょっと待ってよ愛ちゃん!」

愛は立ち去ろうとした。すると金城は愛に向かって叫んだ。

「…待てよ。お前、友達の…親友のデートの付き添いなんだろ?見捨てるつもりか?」
「あんたなんかといるんなら帰るほうがマシなの。あさ美ちゃん、本当ごめん。」

愛はスタスタ歩いて行った。するとあさ美が愛の腕を掴み愛を引き止めた。

「愛ちゃん…お願いします…今回だけ…人助けだと思ってお願い!
…ね?ひとりは無理だよ…金城君への想いは解るけど…お願い!」
「あさ美ちゃん…。」

愛は金城を見て溜め息をついた。

「…無理だよ。今回ばかりは…」
「いつまでも金城君を引きずるつもり?」
「…解ったよ。あさ美の初めてのデートだもんね。凄くイヤだけど…解った我慢する。」
「愛ちゃん…。ありがとっ♪行こっ。」

愛はいやいや金城に並んで歩き始めた。

「あさ美さんは普段どうしてるの?」
「塾とかいったり友達と遊んでます。」
「あ…じゃあ男と遊んだりするの初めて?」
「はい…だからこういうの緊張しちゃって」
「大丈夫、リラックスしていいよ。」

あさ美と鈴木が楽しく喋っているときも愛は拗ね顔だった。

「なにムッとしてんだよあ・い・さ・ん♪」
「もぉーその呼び方辞めてって何回言ったらわかるの?…あんたと会いたくなかった…」
「大丈夫♪大丈夫♪俺新しい恋走り始めてるから。もう愛のこと傷付けないよ。」
「…新しい恋?」
「愛も良く知ってる。絵里って子知らん?」
「絵里…?やめて、お願い。あんたなんかに絵里は渡せないの。絵里は私の大切な親友。
剛に絵里は絶対合わない。剛みたいな人に絵里は絶対似合わない。」
「なに?妬いてくれてるの?」
「…そういうわけじゃないけど…」
「…じゃあほっておけばいいじゃんか。」
「だって…だって剛が…」
「俺がなに?」
「…剛がどんな奴か私が1番良く知ってる!長年片思いしたのに…
ほんの少しで終わった恋…その辛さ…愛おしさ…私が1番よく知ってる。
絵里が剛を好きになっても私が絵里に剛よりいい人見付けてあげる。
絵里がどんだけ剛が好きになってもそれだけは…絶対に許さない。
それだけは止めて。お願い…絵里に私と同じ思いさせたくないの…わかって…」
「愛…。」

愛は半泣きで金城に頭を下げていた。

「俺はそんなに愛を苦しめていたのか?」
「……っ。」
「ごめん…俺は愛を…これからは苦しめないようにするから…絵里さんは諦める…。」

愛は急に胸辺りに手を当てしゃがみ出した。

(…もう、はなさないで…)

「愛!?あさ美さん!愛が…愛が…!」

愛の異変に動揺した金城があさみに声をかけた。
その声を聞いたあさ美は愛の元へと駆け寄って愛を腕の中に抱きしめた。

「愛ちゃん?どうしたの?発作?」
「…気持ち悪い…あさ美ちゃん…助けて…」
「鈴木君、金城君…ちょっとお茶しない?」
「あ…うん。喉渇いたしな。」

(もう嫌だ…こんな自分…忘れたいのに…)

「愛ちゃん、大丈夫だよ。ちょっと休も?」
「触らないで……やめて!」

あさ美は愛を強く優しく抱いた。

「大丈夫。あさ美だよ。大丈夫。」
「…あさ美…ちゃん…。」

あさ美は愛がくつろげそうな場所を選び苦しそうな愛の手を引いてお店に入った。

Triple Emotion7話 

July 07 [Fri], 2006, 17:30
「ごめんね、あさ美…迷惑かけて。」

落ち着いてきた愛が目の上に乗せていたタオルを取り、あさ美に素直に謝った。

「気にしないで。私が無理言わなければこんな事にならなかったんだよね。」

少し沈んだ声であさ美は答えた。

「私、まさか金城君がくるって思わなくて…鈴木君に聞いておけば変えてもらえたのに」
「あさ美のせいじゃないって。」
「大丈夫…?」
「…格好悪いでしょ、私」
「そんなことないよ。」
「格好悪いよ…いつもは強がって…クールですごしてる風にしてるくせに
たった一人の男の子への吹っ切れてない想いで興奮してその上友達の大事なデートぶっ壊してる…。
本当…格好悪…自分に嫌気がさす…。
「それほど金城君の事好きだったんだよ。」
「んな事ないよ。私は…」

「知ってるよ…。」

「……なにを……」

愛が冷たく突き放そうとした。

「愛ちゃんがどんだけ金城君のこと、好きだったのか私や絵里が1番知ってる。
一年半愛が真剣に金城君に片思いしてたときや実ったときの嬉しそうな顔、
悩んでたときの顔…たった1年で別れた時の泣き顔、ずっと落ち込んで1週間
学校休んで…愛ちゃんが辛かったこと私と絵里が1番知ってる。」

「うそだよ…。」
「うそじゃない。」
「………………。」

愛は手に持っていたタオルを再び目にあて上を向いた。タオルの横からは愛の涙が流れていた。
あさ美はそんな愛を見て微笑でいた。

「あさ美さん」

金城があさ美に話し掛けて来た。

「あの…俺もう帰ります。あさ美さんの初デート、邪魔しちゃってごめんなさい。」
「金城君、ごめんなさい。付き合わせてしまって…楽しめなかったでしょう?」
「いや、俺こそごめんなさい…。」

金城は頭を少し下げてから立ち去ろうとした

(私にも…なんか言ってよ剛…じゃないと私…ふっ切れんで剛への想い…もうふっ切りたいの。
これ以上迷惑かけたくない…。)

「愛。」
「…なによ…?」

愛はタオルを当てながら答えた。愛は本当は優しく言いたいのに強がって突き放す。

「俺の最後の気持ち…聞いてくれるか?」
「言って…言って私の気持ち抑えさせて…」

愛は目をつむったまま剛のほうをみた。

「俺…愛のこと嫌いになったから別れたんじゃないんだ。愛が俺の事凄く愛してくれて嬉しかった。
初めて存在価値を見出だせた。だから、俺みたいなちゃらちゃらしているやつなんか愛には合わないと思ったんだ。愛には絶対良いやつがいる…そう思って…。だけどお前と別れて他のやつと付き合っても…お前ほど俺を愛してくれたやつはいなくて、いなくなってから愛の大切さがわかって…やり直したいって心底思ったんだ。なんていうか」
「…………」
「俺には愛が必要なんだ。って思えた。だからもう一度俺とやり直してくれますか?」
「…ごめん、剛。それは出来ない。」

愛は言い放った。

「私はもう剛と付き合う気はないから。」
「愛ちゃ…ん。それで良いの?」
「俺のこと嫌いになったってわけか…。」
「好きやよ。まだ好き…でも…。」

(また剛と付き合って傷つきたくない…)

「来週日曜日。丘の公園でまってる。」

そんな愛を見て金城は突然言い出した。

「行かない。」

愛はきっぱり言い切った。

「少しでもまだ俺を好きだったら来てくれ。夕方5時から8時まで俺は待ってる。」
「行かないって言ってんじゃん!」
「信じて待ってる」
「今更無駄なの。やり直しは出来ないの!」
「待ってるから。じゃあ…またな。」

金城はその場を立ち去って行った。

(もう遅いの…。遠距離恋愛は出来ない…)

「あさ美。」

愛があさ美に声をかけた。

「ん?」
「しばらくひとりにしてくれる?」
「…わかった。」

あさ美は静かに、愛から離れ鈴木の座ってる席に向かった。

「…!もう大丈夫…ですか?」

あさ美が席につくと鈴木が声をかけた。

「すみません、なんか…愛ちゃんの事情に巻き込んじゃって…。」
「いや、こちらこそ。」
「…………」

二人はしばらく沈黙が続いた。

「…愛さん。」
「え?」

鈴木がいきなり言葉を発した。

「優しくて格好よくて良い友達ですね。」
「あ…ありがとうございます。」
「それに比べて金城は…」
「金城くんを悪く言わないでください。」
「…え?だって…」
「金城くんは…いい人だと思います。」
「…ホント?」
「思いやりのある人です。だって…。」

あさ美は向こうで横になっている愛をみた。

「愛ちゃんが好きになった人なんですもん」
「…あさ美さん…」

あさ美は少し照れながら微笑んでいた。

「俺もあさ美さんにそう思われるような男になれるかな…?」
「え…鈴木…くん?」
「あさ美さんに好きになって貰いたいです。これからまた会って頂けますか?」
「……」

あさ美は俯いて考えていた。しばらくして…

「はい。私なんかで…よかったら。」

あさ美はお辞儀をした。

こうしてあさ美と鈴木の初対面は終わった。愛は金城とまた一緒になれるのか?
明日はれいなの恋が変動する…。

Triple Emotion8話 

July 07 [Fri], 2006, 17:35
翌日…れいなと託間のデートの日

「託間ー♪こっちっちゃー!遅いとー!」

れいなの少し怒った声が広場に響いた。

「早いなれいな…ってか睨むなよ恐いから」
「れいな待つのは嫌いって言ったっちゃ。」
「ごめんて、ちょっと戸惑って…。」
「まぁいいと。はよ行かな試合始まっと!」

れいなと諏訪は走って佐々木の学校に入っていった。
行ってみると佐々木は試合をし終えたところだった。

「あー今休憩時間か。佐々木ん所行くか?」
「う…うん。い…行く。」

(男なんて一緒にいなきゃ浮気するもの。特に共学行ってるやつはね…)

れいなの脳裏にこの間愛が言ってた言葉が過ぎっていた。

(どうしよう…佐々木が浮気していたら…れいなはどう反応したら良いとぉ?)

「佐々木ー!」

れいながタオルを手に持ち佐々木に声をかけたとき…

「佐々木くんお疲れさま♪はい、タオル♪」
「あ、ありがとう。疲れたー。」

佐々木にタオルを差し出したのはれいなではない女の子だった。

「………(佐々木の横に女の子?)」

れいなはもちろん放心状態…頭の中には愛が言った言葉だけが流れてくる…

(男なんて一緒にいなきゃ浮気するもの…)

佐々木を見て男子レギュラーがれいなの横で小声で喋っていた。

「まーた出たぜ…久住っちゃ。佐々木には彼女いるって解ってるくせに孟アタック…。」
「あー女バレーのレギュラーと?まだ中学1年生だからいじめあってるって聞いたけん」
「佐々木はスポーツ推薦だから人気っちゃ」
「久住はスポーツ推薦でもなく入ってうまいわけでもないらしいがコネでレギュラー。」
「なにそれ…久住ん家金持ちだもんなー。」

そんな話をしていた男子二人がれいなのほうを見て、立ち去って行った。
その二人により隠されていたれいなと諏訪はそのお陰で佐々木の前に現れた。

「……えっ!れいな…と託間…!なんで?」

(…やべっ!れいなの手…タオル!?)

佐々木はれいなのタオルを見て久住に渡されたタオルを突き返した。

「…佐々木…その女の子は…誰と?」
「あー久住さん。中等部の人だよ」
「佐々木…」

諏訪は咄嗟に佐々木の胸倉を掴んでいた。

「違うっ…託間!誤解だ!」
「誤解ってなんなんだよ!」
「この人はただ…俺はれいな…」
「ただとか言い訳すんなや…!」
「託間!もう…良いと、佐々木…佐々木も男やけん…
側に女の子がいたら佐々木のこと好きな子も…きっと出来ると…いいと…。」

ダッ! れいなは駆け出した。

「れいな!…佐々木…追い掛けないのか?」
「…試合が…」
「俺が説得するから後でちゃんと謝れよ。」
「頼んだ、託間。」

諏訪はそう言って体育館をあとにした。

「れいな…」

諏訪は学校の中庭でへたりこんでいるれいなに声をかけた。

「あのさ、れいな…佐々木は決して…」
「わかっと。さっき男子が喋ってたの聞いてそんなことぐらい知っとーと。」
「じゃあなんで飛び出すんだよ。」
「そうするしかなかったっちゃ。でも…」

れいなは立ち上がり諏訪を見た。

「でもいつか佐々木がれいなを見捨てて新しい人と付き合うかもしれんから不安けん…」
「れいな…佐々木を信じろよ。ずっと幼なじみ…やってたじゃないか。」
「れいなの親がそうだったっちゃ…。」
「え…?」

れいなの声は沈んでいた。見兼ねた諏訪は違う話しに切り替えた。

「れいな。俺…れいなに言わなきゃいけないことがあるんだ。」
「なん…?」
「俺、矢口先生に告白されたんだ。」
「…真里姉ちゃんに!?」
「受けるかどうかはわからないけど真剣に考えようと思ってる。
矢口先生を嫌いってわけじゃないし俺も新しい恋がしたいから…。」

れいなは凄く慌てた顔になった。

「お願い託間!受けんで…!真里姉ちゃんの彼氏になったりしないでくれん?」
「雅兄が矢口先生のこと好きだけど…雅兄次第で俺は矢口先生の告白を受けるつもり。」
「やめて!お願い…真里姉だけはやめて!」
「どうしてそんなに否定するんだよ?」
「真里姉ちゃんは…れいなの家庭を壊したっちゃ…。れいなのパパとママを引き裂いたっちゃ…
パパとママは子供の頃からの仲だったっちゃ…真里姉のママせいでれいなの実の姉も…
真里姉たちのせいで出て行ったと…。れいなは前の家族が大好きだったのに!
だからお願い!託間まで…消えないで…。」
「…泣くな。」
「佐々木のこと…信用するから…」
「あれ?さっきいた人たちですよね?」

れいなと諏訪が話しているとある女性が話し掛けて来た。

「さっきの…佐々木といた女の子!」
「はい!佐々木君かっこいいですよねー優しくて♪今度遊ぶ約束しちゃったんですー♪」

ドキンッ!

れいなに衝撃が走った。

「佐々木と…あなたが遊ぶ約束…?」
「はい♪」
「れいな?」
「佐々木のバカ。」

れいなはそれだけ呟いて学校から出て行った。

Triple Emotion9話 

July 08 [Sat], 2006, 17:40
(佐々木のバカ…れいなには忙しいって言っとっちゃくせにあの人と遊んでるけんね…)

佐々木の学校からの帰り、れいなは半泣きしながら家に帰ろうとしていた。

「あっれー?れいなちゃんじゃん?」
「…にゃ?あ…絵里さん。こんにちは。」
「さん付け良いって言ってるじゃーん?どうかした?目…赤いよ?」

れいなは黙ってしまった。

「…絵里ん家にくる?一人暮しだから誰もいないし…おいで。」
「にゃーぃ。」

れいなと絵里は絵里の家に向かった。

「座って。今日カレー作ってんだ♪さっき材料足りなくて買ってきたの。一緒に食べよ」
「いいっちゃか?悪いっちゃ…。」
「大歓迎♪一日じゃ食べ切れないし♪」

絵里はそういって台所に向かった。
れいなはその間、顔に冷やしたタオルを乗せながら寝にはいってしまった。

「れいなー!起きなさい!ご飯出来たよ!」
「ふにゃ…れーな寝てた?ごめんなさい…」
「良いよ♪泣き疲れちゃったんだね(笑)」
「にゃに?その笑み。」
「なんでもなーい♪さ、ご飯食べよ♪」

カチャッ…カチャッ

「へー彼氏に女友達?そんなことで喧嘩?」
「…そんなことやない…です」
「ん?なにが?」
「別れる…もううちらは終わりやけん…。」
「そんな…ただの女友達でしょ?れいなにだって男友達のひとりやふたりいるでしょ?」

れいなは首を振りカレーを食べていた手を止めスプーンを置いた。

「久住っていう女の子が佐々木にタオル渡したとき…佐々木…
れいなと付き合ってから一度も…一度も見せんくなった笑顔見せてた…それで佐々木の気持ち…」

(れいなに向いてないってわかったっちゃ)

「別れても後悔しない?」
「れいなに恋人なんて…無理な話だったと」
「なんで?れいなモテるじゃない。」
「罪人だから。」

れいなは絵里の目を見つめた。

「罪人…?」
「家族をばらばらにしたんはれいなっちゃ…あん時頼まなければ…お姉ちゃんは…。
れいなの実の姉も…れいなに愛想尽きていなくなったと。きっとそうっちゃ!」
「それは絶対ない!」

絵里はれいなが怒鳴っていたより大きな声で叫んだ。

「……さんはれいなのお姉さんはそんなこと有り得ない…れいなを嫌いになるわけない」
「なんでそんなことが言えるとぉ?絵里はなんも知らんっちゃ!れいなの気持ちなんて」
「誰のお陰であの子と会えてると思う?」

ドクンッ!

「あ…」

れいなは目を見開いていた。

「1番悲しんでるのはあの人だよ。あの事件のときれいなを怒った?誰かのせいにした?
してないよね?あの人は…絶対違うのに自分のせいにしたんだよ…れいなのことかばってたじゃん!
なのに…裏切り者にするの?」
「ご……め……んな…さい…。」

れいなの目から涙がこぼれ体は震えていた。
絵里はその姿を見て目をつぶった。

「トキって…残酷だよね。」
「…………」
「同じトキを生きてるのにひとりひとり違う状況で違う環境がある。
一秒なにかやってしまうともう取り戻すことが出来ない絶え間無いトキ…。
一瞬が運命を変える…いいほうにも悪いほうにも変わっていく…。」
「…かけがえのないのがトキっちゃ…。」
「一瞬が運命を変える。」

絵里はれいなの目をじっと見つめ言葉を強調するかのように繰り返した。

「だったらあの子の運命を取り戻せるんじゃないかな?良い運命へと…。」
「…あ…!」
「頑張ろ♪絵里も協力する。」

れいなは頷いた。

「でも佐々木の想いは…」
「…ね、れいな。今目を開けてる状態で男の人を思い浮かべて。
その後目を閉じてみて…そのとき誰を思い浮かぶ?」

れいなは絵里の言うとおりにやってみた。

「浮かんだ人…それがれいなの好きな人。」
「………え………」

れいなは驚いた顔になった。

「誰か浮かんだ?」
「浮かんだけど…ありえにゃい…。」
「意外な人だったんだ?」
「…うん…。」

カチッ。

れいなはしばらく考えて携帯を開いた。

「もう9時か…。んにゃ?9時ぃ!?」
「れいな、どうしたの?」
「帰らんと!怒られるっちゃ!絵里さん今日はありがとうございました。」

れいなは出していたものを鞄にしまいドタバタと玄関に向かった。

「送ろうか?夜…危ないし。」
「大丈夫、すぐ近くっちゃから。ありがとうございました。ご飯美味しかったとぉ。」
「彼氏のことちゃんと考えなよ。後悔したって無駄なだけだからね?」
「はい♪んじゃまた来週ー!」

れいなは帰って行った。

あの子・あの人?れいなが悩むあの出来事とは?
れいなのまぶたの上に浮かんだ人物とは?

Triple Emotion10話 

July 09 [Sun], 2006, 17:45
「もぉー宿題やだぁー。数学ありえないし」
「ありえなくない!私教えてあげるから。」
「やっさしーあさ美。私絶対教えないね。」
「愛ちゃん…それ数学苦手だからでしょ?」
「ふふっ…それもあるけど。絵里にだし?」
「愛先輩、それちょっと酷くないですか?」
「もう先輩呼ばわりしないでいいってば。」
「でも愛ちゃん先輩に代わりないじゃん?」
「まぁ…あさ美よりひとつ上だけどさ…。」
「それに絵里より二個も上ですもんねー。」
「…まーね。でも今は同じ学年じゃんか。」
「いろいろあったもんね。愛ちゃんも私も」

夏休みに入って二週間目の7月末、
愛・絵里・あさ美の三人は絵里の家でぐだくだ喋りながら宿題をしていた。

「今日は?れいなちゃんこないの?」
「れいな?もうすぐ来ると思う。さっきで今向かってるってメールきてた。」

ピンポーン!

「あっ…きたかな?はいっていいよぉ!」
「あっつーい!絵里ぃ?愛ぃ?久しぶりー」
「亜弥先輩!?」
「そんなに驚かなくてもいいじゃん…!」
「突然こられたらビックリするのが普通…」
「…そう?今までもこうしてたじゃん?」
「これだから亜弥は変わってるの…。」
「ちょっと愛…それどういう意味!?」

ピンポーン!

「あ…今度こそきたかな?」
「なにその言い方。人を邪魔扱いですか?」
「こんにちにゃー!」
「きたきた♪れいなちゃんいらっしゃい♪」
「…え?」

リビングに入った瞬間れいなは固まった。
視界に入ったのは亜弥だった。

「亜弥さん!?お久しぶりっちゃ…。」
「れ…れいなちゃん!?うっわー久しぶり」
「れいなを…覚えててくれたとぉ?」
「忘れるわけないじゃん!」
「良かったっちゃ。ありがとです。」
「元気にしてた?」
「はい。亜弥さんも元気そうですね…。」
「愛たちと一緒の高校だったんだー♪」

(亜弥さん、ひとりっちゃか…)

れいなが悲しそうな顔をしているのを見かねた愛は小声で亜弥に話し掛けた。

(「亜弥あの人は?一緒じゃない?」)
(「へ?あのひ…」)

愛は真顔で亜弥を睨んだ。亜弥はその顔を愛の言いたいことがみてわかった顔をした。

(「あーえーあー。連れて来れなかった」)
(「お願い、亜弥…連れて来て?」)
(「でもくるかな?あの子頑固だし…。」)
(「だから亜弥に頼んでるの。あの子亜弥の言うことなら聞くんだから。」)
「了解!ちょっと待っててー明日になるかもしれないけど頑張ってみる♪」
「わ!バカ、声でかい!」
「亜弥さん!」

ビクッ。

愛と亜弥はれいなの声に驚き焦った。

「お願いします…会いたいっちゃ!」

れいなは亜弥に頭をさげた。

「戻ってきて欲しいと…謝りたいっちゃ…れいなが悪かったですって…お願いします。」
「れいなちゃん…頭あげて?私…れいなちゃんに頭下げられるほど偉い人じゃないから…。
それにれいなちゃんは悪くないよ…。」
「会いたいんです…会わないと夢が…。」

れいなはそれでも亜弥に頭をさげた。
亜弥はそんなれいなをみていてもたってもいられない感情が込み上げてきた。

「れいなちゃんの夢はうちらの夢だもんね。あのことも話さなきゃだし、行ってくる!」

亜弥は再び絵里の家を駆け出していった。

「良かったね。れいなちゃん。絶対亜弥が連れてくると思うから安心していいよ。」
「ありがとうございます。」
「もう6時じゃん。お腹へったー。」
「6時?夕方の6時…絵里、今日何曜日?」
「日曜日だけど…どうかしたの?あさ美。」
「日曜日の…夕方…6時…?」

愛はその場に立ち尽くし震えていた。

「…愛ちゃん!」
今日日曜日は…午後5時に公園で金城剛が待ってる予定だった。

「早く行かなきゃ!金城君帰っちゃうよ!」
「もう遅い…1時間もすぎてる…きっと…」
(行かせなきゃ…ホントに縁が切れちゃう)

ピルルルルッ。

「もしもし。鈴木ですけど…あさ美さん?」
「鈴木くん!は…はい。え?ホントですか?わかりました!すぐ行かせます。」

プチッ。

「愛ちゃん!まだ金城くん公園いるって!」
「私は…行かない。」
「引きずらない?もう諦めちゃうの?」
「金城さんを…好きじゃないんですか?」
「だって振ったのは私だもん!私が一方的に…意見も聞かずに、振ったんだもん…。」
「…っ!愛先輩!」
「絵里…ごめんね…臆病な先輩で。」
「亜弥先輩との『約束』破る気ですか!?」
「………!?」
「頑張ろう!って…お互い辛いけど信じてればいつか叶うから。
振られたことを後悔させてやろうって。約束したじゃないですか!
願いが通じたんですよ?」

バンッ。

愛はドアを勢いよくあけ、走って行った。

「うちらも行くっちゃね!」
「うん。行こう、二人とも。」

れいなたちは愛を追って走りだした。

愛と亜弥の約束…みんなの夢…亜弥が連れてくるあの人…
少しずつ謎はとけていくはず…愛は金城と結びつけるのか…?
P R
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