間話 

2007年01月21日(日) 10時30分
夜しか現れないなんて
本当に闇の世界の人みたいだって
あの頃よく思ってた

謎が多くて
よく分らない人

でもだからこそ惹かれていったのかな・・・




月が好きだと言った私に
『月は・・・下弦の三日月が好きだな』

とポロリと言った事をあなたは憶えているのかな


あれから毎日月を見上げてはその事を思い出して
『下弦の三日月・・・』と一人呟いていた私の事なんかあなたは知らないね

自分でも分らなかったの
それが特別な感情だって





恋心

気づくのはまだまだその


ずっと先




第四章 

2007年01月20日(土) 22時19分
:ねぇどう思う?

唐突に切り出した

:何が?

香代からけだるい返事が返ってきた

:例の彼だよ

:あぁ・・・あいつね。で、あいつが何だって?

:何かさ 香代と似てるところあるよね

:似てるとこ?似てないだろ

:んー・・・何だろう。何て言ったらいいか私も分らないけど・・・
 何か二人とも妙に冷め切ってるとこがあるというか、どこか諦めてる感じがして

:へぇ 別に冷めてるつもりはないけど

:私からはそう見えるって話。香代だって人間づきあい面倒だとか思ってるんでしょ?

:実際めんどくね?

:そうゆうとこだよ。彼も。不器用なのかな。ねぇ、何で彼はわざわざあの世界に行くのだと思う?人間嫌いっぽそうなのに
 
:現実がつまんないからじゃない?あの世界は嫌いなら関わらなきゃいいし、顔も見えないしお手軽だからね。

:でもあの世界だって一応は人との交わりを要するよね?彼にとってあの世界はつまらなくない世界ってことかな。少なくともあの世界に足を運ぶって事は。

:じゃない?

:・・・淋しいのかな?

:さぁね。あいつの考えてることなんか分んないよ。まぁ、面白いやつだとは思うけどね

:うん・・・ただあの人は一体あそこで何を求めてるんだろう


香代―私をあの世界に誘い彼と引き合わせた友人は、彼についての私の良き相談相手でもあった


彼が求めているもの


まだ分らない
けれど確かに彼は何かを求めている


殻をつくりながらも欲するものがある
それがあるからこそ彼はあの世界に足を運ぶのだろう




:彼が欲しいもの・・・?








私は一人闇の中
迷ってしまったようだった


第三章 

2007年01月20日(土) 21時01分
話を重ねるうちに分ったこと

彼は素直じゃない

ひねくれているって言ってもいい

おまけに人の好き嫌いが激しい








好き・・・というよりはどんなに上を言ったところで
普通といったところだろうか
その時の私は彼が『普通』より好む人なんているのかどうかさえ疑ったほど

そう、ともかく普通か、普通以下か
その区別がはっきりしていた


嫌いな人間に見せる冷たい態度と言葉
興味の無いような
うんざりした応対

そのような光景を見るたびに
胸が痛んだ

人が人を嫌う時とは
何て悲しい瞬間なのだろうか
嫌うならまだいいのかもしれない
『どうでもいい』と判断してしまったら
おそらく彼の中でその人の存在は跡形も無く消えてしまうのだろうから


胸がきしんだ
もし『自分』がそうなってしまったら?
怖かった

近づけば近づくほど
彼に嫌われないようにと
そう考えて頑張ってる自分もいることに
私は確かに気づいていた



しかし彼は相変わらず話をしてくれた

そのたびに思った
これから先どんなにこの距離が縮まろうとも
彼はそれでも誰にも本心など打ち明けはしないのだと

打ち明けてしまったら、それはきっと彼の弱さになる
プライドの高い彼がそんなことを許すはずがないだろう

ありのままの自分を見せない
弱さを見せることが無い

彼にとって周りの人間とは『敵』なのだろうか?




そう思った瞬間に頭の中に浮かんだ
どこまでも続く闇と

その遥か遥か奥にうずくまる『彼』


私はその時ゆっくりと

見たこともない闇に
自分から入り込んだ


それは私が

そんな闇ですら
泣きたくなるぐらい





愛しいと


そう思ったからだった

第二章 

2007年01月20日(土) 3時27分
架空の世界
虚実が交差する
そんな蜃気楼のような
おぼろげな世界

現実の世界にだって信じることの難しさは知れている
ましてやこの世界に『信じる』という言葉にどれくらいの価値があるというのだろうか

顔の見えない世界
嘘が軽くつける
誰もかれもが面をつけているような感覚


自分を偽り
他人を騙し

また

偽られては
騙される



そんな光景は
日々繰り返されていた


私は友人に誘われてその世界に踏み出した
すぐになぜだか悲しくなったことを今でもよく覚えている

楽しさの裏にあるもどかしさや
どうしようもない隔たりと
苦しみと
悲しみと
癒えることのない傷

空気のように身近にありながら
触れることのできない痛み


見えることの無い痛み

ただ分るのはそれは確かに存在するという事


面という名の防壁の奥・・・更に奥



深い深い闇


その闇を抱え
声にならない悲鳴に
無言の光を求めている









彼もその一人だった

第一章 

2007年01月20日(土) 2時53分
私、17歳
彼、16歳







少し自惚れていいなら
あの頃のあなたは私に対してはどこか物腰が柔らかかった気がする





年下なのに年下とは思えない口調ばっかで
まるで私がバカな事をするのに『付き合ってくれていた』という感じ
私を出し抜くのなんか得意中の得意で、私が勝てたためしなんか一度もない

いつも私の一歩先をいってる
一枚上手ってやつで
そんな風にやりこめられてばっかだった

私はそれが悔しくて何度も何度も立ち向かっては返り討ちにあっていた
そんな私を彼は「学ばない変な奴だな」くらいにしか思っていなかったかもしれない
でもそういう言い合いの中では彼は何となく楽しそうに見えた
時折見せる珍しい素直な一言とも言える言葉が、
私をそう思わせた


そんなバカっぽいやりとりが、たわいのないやりとりが何より好きだった
私の話に付き合ってくれていると言う事は
少なくとも私と話すことは嫌いじゃないらしい

その事が最も私を嬉しくさせていた

そうやって穏やかな日々が流れていく

そしていつからか、私は彼と話すことを心待ちにするようになっていた
きっとそれが特別な感情に変わった瞬間

当時私はそんな自分の気持ちに気づくはずもなく
これから自分にどんな運命が待ち受けているのかも知らず
ただただ彼と話す事だけを楽しみに毎日を過ごしていた






どんな出会いであれ、どんな惹かれ方であれ
そこが架空の世界だとしても
今でも私はあれを本当の恋だと思っているよ


あの時あなたに惹かれたから今がある




それならあの瞬間に感謝しなくちゃいけないよね


プロローグ 

2007年01月20日(土) 2時25分
気づいたときには『好き』だった
フィルター越しの出会いとも言える中で
私はあなたに恋をした
今でも不思議だよ
あんなに真っ直ぐにあなたを思えた自分に

何度あなたに突き放されても
好きでいられる根拠の欠片も無い自信が
あの頃あったからかもしれない


なんでこんなに惹かれたのかな







最初の印象は、そう、まるで毛を逆立てた猫のような
闇にぽっかり浮かんだ月のようなイメージ


気まぐれで、手を出せば引っかいてきそうな
それでいて月のように冷たくて、周りのことなんかどうでもいいような、そんな振る舞いなのに
だけどいつも闇の中
どこか淋しそうで

深い深い悲しみの「青」で溢れていた



何重にも張り巡らされている『誰にも近寄らせないバリアー』の奥に、更に固い殻に包まれているあなたがいる






それを感じていた
それが始まり

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