死人の館 −5−

November 23 [Sun], 2008, 11:13
「あれ?橘?」

「なんで新沢がここにいるのよ」

今日は日曜日で、こんな日に学校に来るのは部活動の生徒だけ。
確か新沢彰は部活動には入っていないはずだった。

新沢彰は、中一の冬に引っ越してきた不思議な男の子。
美しい容姿から転校直後は女子が騒ぎ立てたが、
異性はおろか同性とも全く関わろうとしないその性格に
今はみんな一線を置いている。

あずみとゆうまとは一年の時にクラスが一緒で、
彰が唯一心を開いた相手だった。

「お前、行かなくてよかったのか。今日。
3組のやつらはみんな見送りに行ったんだろ」

「うん。私はいいの」

そう、いいんだ。
約束したから…ゆうまと

「ふぅん…
うまくいったのか、お前ら」

「何が?」

「何でもない。こっちの話し」

そう言うと彰はゆっくりあずみの隣に腰かけた。

「キレーな空だなぁ。
あ、飛行機雲」

彰が空に向って指をさした。
耳を突き抜ける飛行機の音。

「あれに乗ってたりするのかな、あいつ」

「それはないよ。
朝一の便らしいから」

「ふーん…」

飛行機の音が大きくなる。

「あれ新沢、電話鳴ってない?」

「ほんとだ。音がうるせーから気付かなかった…
もしもし?
あ?なんだよ…音がうるさくて聞こえねーよ!
テレビ…?今外なんだけど…

あ、切れちまった。なんだったんだよ…」

「なになに、どうしたの?」

「わかんねーけど、とにかくテレビつけろって。
橘の携帯テレビついてる?」

「あーうん。ついてるよ」

そう言ってあずみは携帯を開いた。

「何チャンつければ―」

あずみの顔から笑みが消え、表情が無くなった。

不思議に思った彰が携帯を覗き込んだ。

ドラマの再放送の上に、緊急速報のテロップが見えた。

「………!
これって…まさか…!」

テレビの画面が急に切り替わる。

<<着信中 みゆき>>

あずみの手から携帯が落ち、同時にあずみも崩れた。

<<あずみ…あずみ!?
今…ニュースで…飛行機が…
けんたと…ゆうまの乗ってる飛行機が…!>>

あずみは空を見上げた。
―飛行機の、音がする。
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