結婚2

September 12 [Wed], 2012, 23:51
メールを送信して、時計の秒針が一周もしないうちにアパートのチャイムがけたたましく鳴らされた。
取るべき判断は、無視。
チャイムの音が断続的に続き、ドアを叩く音がユニゾンで聞こえる。
さてお茶でも淹れるかと立ち上がろうとすると、今度はベランダから自分を呼ぶ声がする。

「しのちゃん?しのちゃんいるの〜?」

隣室の知り合いの気の抜けた呼びかけ。この時間にいるとは珍しい。
誰も居ないと思っていたからこそ無視の判断を取ったのに
急ぎベランダに出て呼びかけに応じる。

「はい。いますよ。すみません、うるさくして」
「ああ〜。いたんだ〜。気にしないで大丈夫だけど。
チャイム鳴らしてるのは、だぁれ?しのちゃんの元カレ?」
「・・・元といいますか・・・まだといいますか・・・っていうか俺男なのにさらっとカレとかいわんでください」

隣人に迷惑をかけた自覚があるが、煮え切らない返事をしてしまう。
チャイム男と自分の関係を隣人に説明するには小一時間必要だし、
話をすることで自分が冷静になり、関係を見直してしまうかもしれないことが少しだけ怖かった。

チャイムは変わらず断続的に鳴っている。
しのの携帯電話も着信を続けている。
ドアも叩かれ、しのの名前を呼ぶ情けない声もする。

右手でチャイムを鳴らし、左手でドアを叩き、しのを呼びながら携帯をかける。
愛の成せる業なのか、必死の所業なのか。
しのは扉の前にいるであろう、つい先日までは何よりも愛しかった男の面影を思い出しながら
隣人の差し出したタバコを受け取り思いっきり吹かした。


話は、三日前にさかのぼる
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