雪音 -yukine- 

April 29 [Wed], 2009, 23:15
僕は何を間違ってしまったんだろう…―





 そんな感情が生まれるとはまだ知らない、冬のある日。

街はクリスマス一色。

・・・僕はこの景色が嫌いだ。



 何か切ない。

この景色で喜んでいるのは子供にカップルに・・・



毎年見かけるあの子・・・。



ずっと気になっていた。



何故、あんなに喜んでいるのだろうか。

何故、毎年ここに来るのだろうか。



 気になってしょうがない・・

・・・。



何故、僕はこんなにあの子が気になるのだろうか。



 たかが女の子。好きでもない。

目も合わせたことはない。



一体、何故・・・。



「可愛いワンちゃんですね!お名前は?」



 彼女の声が自然と耳に入ってくる。

・・・うるさい。



『〜♪〜♫「ななちゃんって言うんですか!なでてもいいですか?」



 クリスマスの音楽を無視して彼女の声が聞こえる。

一体僕の体はどうしてしまったのだろう・・・



「きゃあっ!!」



 ・・・目が合った。

悲鳴を聞いてしまい、ふいに見てしまった。



 どうやら犬に噛まれたようだ。



しかし、そんなことより何故目が合ったのか、

そこが気になってしょうがなかった。



噛まれて、僕を見る?

何故・・・?



「ごめんなさい!ななちゃん、何やってるの!」



「いえ、私のなでる場所が悪かったんですよ。」



彼女の目・・

よく見えなかった。



一瞬だったし、それに人ごみが邪魔で見えにくかった。



ただ、 目が光っていた。

・・・普通の何倍も反射して光っていた。



痛くて泣いていたのだろうか・・・



 この場を離れよう。

―と思った



けど、それを止めたのは彼女だった。



「あのっ・・・ 定期・・落としました?」



 この声・・・初めて間近で聞いた。

いつも聞こえていた声。



いや、聞いていた声。





「・・・ありがとうございます・・・」



「買い物帰りですか?」



「まあ・・・」



意味のない会話、話してもなんの得にもならない。



「あっ!」



「・・?」



「その写真立て!私も持ってます!」



 袋から少し出ていた写真立て。



「ああ・・ そうなんですか・・・。偶然ですね。」



 何故 会話が続く?

どうして終わらない。



「これからどこか行くんですか?」



「まあ・・ちょっと・・・。」



「私はこれから商店街に行くんです!パンを買いに。」



―僕も商店街に行くところだった。

どうする?・・・どうしたらいい・・・



「え、すごい偶然ですね、僕もですよ。」



はあ・・・ 言わなきゃよかった。

何を教えているんだ。



「え!そうなんですか!?じゃご一緒・・に行きませんか?」



「・・・」



どうやら彼女は人見知りではないようだ。

誰とでもすぐ仲良くなるタイプなのだろう。



「ダメ・・・ですよね・・」



「えっ、あ・・いいですよ?」



「本当ですか!?」



こんなこと ありえるのか・・・

会ったばかりの人と一緒に目的地まで歩く。



話が見当たらない。



「・・・」「・・・」



二人ともまわりのビルをちらちら見る。

つまらない。



「あ・・「あのっ」



 今まで黙ってたのに二人同時にしゃべりだす。

気持ち悪い。なんでこんなに偶然が重なる・・・?



「あっ・・どうぞ?」



「いえ、大したことではないので・・」



「商店街には何の用で行くんですか?」



「ティッシュとボールペンを買いに・・・」



「あ、じゃあ緑屋ですか!?」



「まあ・・」



緑屋とは、商店街で一番人気の百貨店。

何でも売っているから人気があるらしい。



「私も行きたいんです!大学ノートもうなくって。」



着いた。

ここで別れられる。



・・・あれ?

何故こっちへ来る?



文房具コーナーは逆方向。

あっちに売ってるはず。



「あの・・大学ノートって・・あっちじゃ・・」



「え?あ・・・あ!そう・・ですよね!あはは」



ぱたぱたと走っていった。



 僕は日用品コーナーへ向かった。

その時・・・



「きゃああああっ!!」



 彼女の声だ・・・


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