AISERU?2

June 04 [Mon], 2012, 19:06
これが私と彼の出会い。
複雑で深刻な出会いだった。
彼とは、森永 裕輔。
とてもかっこいい。
一秒だけでも森永くんに目をやると、
顔が自然に真っ赤に染まる。
つまり、天性のかっこよさ。

本題から離れてしまった。
話を戻そう。
みおりの口からでてきたのは、一つの画鋲。
それが何故か、なぜ口から出てくるのか、が
病院で大騒ぎになった。
ふと森永君に目を当てる。
静かに、「森のウサギ」というミステリー物の本を読んでいる。
片手には線を引くペン。
鉛筆を持っていた。
私は点滴を持って恐る恐る森永君に近寄る。
「な、何読んでるの・・?」
その時私は、重い重い病気にかかってしまっていた。
病院から出られないほどの。

点滴と、吐息、森永君のペンを本の上で滑らせる音だけが響く。
「・・森の・・ウサギ・・。」
「け、結構無口なんだね・・」
「うん・・俺、話せねえから。」
そのとき私は初めて知った。
森永君の下半身が麻痺していることを。
話によるととても重いらしい。
2年ほど入院するほどの麻痺の仕方らしい。


ガラッ


「あ、朝倉先生。」
「駄目だよ、お話をしちゃ。」
「でもっ・・俺、たまには話したいんです。コイツ、俺に話しかけてくれた。
すげえ嬉しいんです。」
こっちも赤面しながら”朝倉先生”という先生を見つめる。
鼓動だけが大きくなっていく。
『すげえ嬉しい』
それが私の心で何回も何回もビデオのように巻き戻されては再生されていた。
そしてみおりちゃんに目を向けると、
血まみれになった画鋲、みおりちゃんのうつむく顔が目に入る。
「みおりは大丈夫だよ。みおり、これでも何回も何回も出してるんだ。口の中から
いろんな物を。」
私はもっと知りたくなった。
みおりちゃんの事も、この病院の事も、
そしてなにより、

森永君の事を。

「なんか、知りたげだな?」
「みおりちゃん、口の中から何が出てきたの?」
「主に、針だな。」

ドクンッ・・・・・・

前の虐待されたときを思い出す。
口の中にたくさん変な物を入れられた。
ネズミの尻尾とかだ。
もちろん、画鋲は入れられた。
でもトイレで吐いていた。
もう私は餓死寸前だった。
「私みたい・・。」
「え?」
「私も、入れられたの、お母さんお父さんに。」
「ふーん。」
森永君は、机に本を置き、ペンのキャップをはめた。
「どうした?」
「森永くん、顔きれいだね。」

初対面でこういう事を言うのもなんだと思った。
だが抑えきれない言葉だった。

「よく言われるさ、俺がかっこいいだとかさ。俺、ただの馬鹿だし。」
「ううん、かっこいいよ。根はすごい優しいんでしょ?」
現在6歳の私にはそうとしか思えなかった。
いや、

そう思いたかったのだろうか。

みおりちゃんはうつむき、泣いていた。
そっとみおりちゃんの方へ走る。
「みおりちゃん・・大丈夫・・?」
「痛いから泣いてるんじゃないよ・・」
「え・・?」
みおりちゃんは小声でいう。
「・・・を取ん・・で・・・」
よく聞き取れなかった。
だからもう一度聞き返してみる。
「え?」
「裕輔を・・取んないでぇ・・」
「・・・・」
どうやら私は真っ青だったようだ。
みおりちゃんにそれを告げられてからは、
ベットで泣き崩れるしかなかった。
森永君とみおりちゃんのベットは、私を挟んでいる。
森永君、私、みおりちゃん、の順の並び方だ。
なぜ間が空いていたのかはわからないが。
「なんで、あいてるの。ここだけが。」
泣きながら聞く。
「まいは・・死んだよ・・」
「治れなかったの・・病気が・・裕輔を好きだったのに・・」
「!?」
「知らなかったの・・裕輔、鈍いね。まいはずっとずっと裕輔を見てたよ。
何回も何回も相談しに来た。それで私も・・好きになったよ。裕輔の事。」
「ごめん、俺、一目ぼれした奴いるから。」
最初で最後の告白だったようだ。
最初で最後の終わり方。
よほど辛かっただろう。
今の振り方はいくらなんでも酷すぎた。
醜い振り方だ。
私はそれでも二人の間を眺めることしかできなかった。
両方をみたってどちらかが笑うだけ。
正面を向いてぼーっとしていて、
どちらも笑顔にさせなかった。
平等が私の中でのモットーだから。
「誰がすきなの・・病室の中・・?」
「奇跡的に高校生になったら告白する。ずっと病院だろうけど。」
この三人は必ずしも残らなければいけない。
この深刻な辛い小さな病室という空間に。
震えるほど恐ろしいことが待ってるかもしれない。
でも、これはこれで楽しいかもしれない。
「そうだね。ところで、みおりちゃんは何の病気なの?」
ずっと心配だった。
なぜなら口から画鋲がでてくるような子だ。
どんな病気なのか、知りたかったのだ。
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