レインレイン -赤3- 

November 18 [Fri], 2005, 19:00
「ただいま」
いつもの日常に反して、母より先に弟が帰ってきたようだ。私が皮肉混じりに「今日は早いじゃん」というと、不機嫌そうな顔をしながら自分の部屋に消えていってしまった。多分友達と喧嘩でもしたのだろう。あいつのことだ、そんな部類だと思う。

そろそろ夕飯の支度でもしようかと冷蔵庫をあけたが、良さそうな食材はあまりない。というか私の作れる料理のレパートリーの数からいって、無用なものばかりなのだ。
朝から カレーが食べたいと何となく思っていたのだが、悲しいことにタマネギとじゃがいもと肉が足りなかった。仕方がないので、母が先日セールだったので買いだめした冷凍食品で我慢することに決めた。メニューは たらこスパゲッティだ。

一通り 準備を済ましたら、弟を呼び出して2人きりで食事をしはじめた。弟と2人で食事というのも珍しいことである。かれこれ3ヶ月ぶりぐらいではないだろうか。
弟の 敦志は中学3年生で、私は高校2年。弟は受験期ということもあるのか最近はどうも毎日 ピリピリしている。思春期ということも関係しているのかもしれない。
私はもう完璧な大人という訳でもないが、敦志よりは少し先を生きている為、敦志のする行為や言動が 数年前の自分と重なることがよくある。そしてその様子に恥ずかしくなったりするのである。

レインレイン -赤2- 

November 17 [Thu], 2005, 2:07
少しの空腹を覚え、私は自分の部屋からリビングへと移動し、何か手頃な食料はないかと食品棚を見渡した。すると、ちょうどお隣さんから頂いた手作りクッキーが置いてあったので頂戴することにした。クッキーのほわほわとした歯触りと チョコレートの甘みが上手く絡み合っていて絶品だ。とてもうちの母には作れないだろう。母ははっきり言って料理があまり得意ではないのだ。
母はパートで家をあけていて、帰宅は7時過ぎ。弟は最近夜遊びに目覚めてしまったのでどうせまた10時頃帰ってくる。父はだいたい10時半頃に帰省する。

今日はその間何をして過ごそうか。母がスーパーの店員のパートを始めたのはつい2週間ほど前のことなので、未だに夜中に一人でいることに慣れない。そんな感情を抱く度に、自分は恵まれた環境の中で、知らず知らずのうちに暖められて育ってきたのだと思い知らされる。私は本当に、この家の娘に生まれてきて良かったと思うのだ。

「暇だな」と呟いてみた。雨はしとしと降り続ける。
ふと雨の様子が気になったので、白いカーテンの隙間から外を覗いてみた。
天から落ちる無数の棒が、地面にたたきつけられて弾け飛んでいる。
天気が悪い夜は、周辺が黒色の獣に覆われていると思う。動く対象物すら見分けがつきにくい。
時々人が通りかかり、その人がさしている傘の鮮やかさだけが、白黒写真の赤のように際立っていた。

レインレイン -赤1- 

November 14 [Mon], 2005, 15:43
雨がふると心おどる。このままずっとこの音色に包まれていたい。
そう願い、望んだ少女の瞳は、灰色に揺らいでいた。




6月24日。例年通りのじめじめした梅雨の季節。
空気はしけった煎餅みたいに嫌な感じで、この季節を好きこのむ人はあまりいない。
私もまた例外でなく、早く夏に、もしくは春に戻れと、毎日毎日祈っていた。
雨だと外出するとき傘をさす必要が出来る。私は傘のさしかたが下手なのだ。雨が身体に直撃し、とても煩わしく感じる。
そんな私はその当時ビーズのアクセサリー作りに凝っていて、ちょうどブレスレット作りに挑戦していた。細かい作業だが何かを作り上げていくのには快感を覚える。作業中に、狭い私の個室の窓に雨垂れがあたって音楽を奏でたが、特別耳を傾けるような気分ではなかった。

ふとにわとり型の目覚まし時計が喧しく鳴き声をあげた。4時を知らせている。
時計を止めたが、一体何故この時間にめざましがセットされていたのか不思議に思った。学校に行くために起きる時間は7時で、そのくらいしかめざまし時計なんて使用する機会はない。
4時に何かあって、私はその何かを忘れているのだろうか。それともただ物が触れてセット時間がかわってしまっただけなのだろうか。きっと多分後者であろう。

見当もつかない 

November 14 [Mon], 2005, 15:37
私は考えた。
常に生命の隣にいる「死」の意義を。


「死ぬ」とは、いなくなることだ。
心が消えることだ。

1人の人間がもう、動くことも、考えることも、話すことも、
泣くことも、笑うことも、怒ることも、 しなくなることだ。
脳細胞が死滅して、肉体が腐敗していくことだ。



…それは、悲しいことなんだろうか。
死は、恐れるべきことなんだろうか。


死の先には、きっと何もない。
幸せの国も、悲惨な世界も、多分ない。
あるものは、何もない。
まさに永遠の眠り。


 それは、怖いこと?


人は、生まれたときから「いつか死ぬ」という定めを受ける。
どんな偉大な人物も、いつかは死ぬ。
当然 この世界に存在した生物は、今生きているものよりも
死んでいったものの方が遙か彼方に多い。



 死、死、死


その先にあるのは、やはり無か。
生物は死ぬと、生まれる前と同じになるのだろう。
無の空間。何もない世界。



 無、無、無


しかし、あなたは実際に自分がそうなると、信じられるか?
本当に自分がいつかは死ぬと、考えがつくだろうか。
私は「死は必ず訪れる」ことは理解できても、
「いつか自分は死ぬ」ということが解らない。
全くもって 見当がつかないからだ。


自分が消え、どこかに行く。
何もない所へ、行く。
ただ、一面に 白紙の世界。



 もしかしたら、死は それほど怖くないのかもしれない。


だからといって、今は「死」を受け入れるわけにはいかない。
何故なら 私にはこの地でやりたいことが幾つも残っているからだ。
存在する限り 成さなければならない 義務を終えてないからだ。

それを すべて果たした人間は
もしかしたら白紙の世界に行くことを恐れないかもしれない。
この世界のどこかには そんな感情があるのかもしれない

見当もつかない、話だけれど。

雲と僕 

November 14 [Mon], 2005, 15:35



雲が分裂した。

四方八方に

弾け飛んだ。




団体行動に飽きて

逃げだす様を 絵描いてるようだった。




僕は笑った。

それから

羨ましいな、と

思った。

芽吹く声 

November 14 [Mon], 2005, 14:50
こんなに近くにいたのに気付かなかった。
いや、こんなに近くにいたから気付かなかったのかもしれない。
僕は君が好きだという、事実に。
だけど気付くのが遅すぎた。




帰ってこない人を待つのは
とても退屈ですね。

 帰ってくるから待っているのですよ。



もうすぐ春が訪れる。
そしたら沢山の花が咲く。
命も沢山生まれる。
それなのにあの人はこの季節が嫌いだという。
私には不思議でしかたない。
あの人は春の、何が気にくわないのだろう。
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