労働時間制度改革

May 21 [Sat], 2016, 14:14
副題「ホワイトカラーエグゼンプションはなぜ必要か」ということで大内伸哉先生。しばらく積ん読になってましたが、読みにくいわけではなくこのたび読了。
大内先生は(そしてほとんどの労働法学者は)本質的に規制強化論者なんですよね。この本も半分ちょいはそういう話、絶対的な上限とか、インターバル規制とか。そしてホワイトカラーエグゼンプションは残りの半分、だけど…大内先生、理想主義だな...。
裁量労働制がなぜ使いにくいものになったのか。そして裁量労働制適用者がどれほど長時間労働をしているか。それを考えたらホワイトカラーエグゼンプションがそれより使いやすいものになるとも思えないしすべきともあまり思えない。いや、使いやすくすべきかもしれないけうれど、そのためには大内先生反対の年収要件が不可欠だと思うのです。
年収要件は、当然「年収が高いから労働時間管理はいらない」なんて理屈が立つものではない。けれど年収はある程度やはり交渉力の表徴で、これを言っていいかどうかはわからないけれど労働者の(労働力の取引に臨むに当たっての論理的・経済的思考)能力の表徴でもあると思うのです。「エリート」の表徴でもある。そして、外から見て明確で、かつ使用者の言い値になることもない。企画裁量も専門裁量も管理監督者も年収要件でエグゼンプション&健康確保措置に一本化すればいい、といいたいところなのですが、これもまた非現実的な理想主義だよな。
エグゼンプションとのバーターでなく、健康確保措置ができればいいんですけどね。


後書きに代えてショートショートが巻末に3つ。前2つは「労働者が残業代を当てにしている」ことを解決しなければ労働時間改革は困難、ということかと思いますが、最後がわからない。年収300万の労働者にエグゼンプションが適用される、それは私も含め反対派が本気で心配していることで、かつ、年収要件がなければ直ちに大いに現実化することだと思うのです。(年収要件が設けられればそこまでは下がらないだろうと思う。)年収要件なしにそれを防ぐには、裁量性並みに使いにくくなるしかない。先生はそうならないとお考えなのか、もう少し書き込んでもらいたかったなぁ。

国防/国難

May 06 [Fri], 2016, 10:05
(国難)
石破さんの文庫を2冊目。もう少し安保法の解説があるかなぁと期待したのですが、まあ文庫化は最近でももともとは野党時代の出版だから求め過ぎました。
これは与党とは、っていう話かな。でもいままさにこの本で過去について言われているように、安保法でも説明が届いている気がしないんだよなぁ...。

(国防)
上記を投稿してブログをチェックしたらば、1冊目の「国防」の記事が見当たらない。あれれ?ということで追加。
「我が国の軍隊がいかなる能力を持っているのか」について私も無関心すぎると言われればそれもそうかも。最新の、最新鋭のハイクオリティな装備だからと言って、いやだからこそ、「迎撃はできるけど(日本から他国の領土に正しく届いての)攻撃はできない(しないのではなくする能力がない)」ということはあるんだよなぁ。
知った上での議論って、どの分野でも大切なんだけど難しい。

私は赤ちゃん/私は2歳

April 04 [Mon], 2016, 22:00
小児科医松田道雄@1960's。今でこそ赤子主観の育児マンガなどもまま目にするところですが、この古さでこの斬新さ、もちろん医学的なところなど古いところも多いのですが、とにかく赤ちゃんも一個の独立人であるというその認識、それを広めようとする強い志、かわいいけれどしたたかな赤ちゃん、古くない!
「赤ちゃん」よりも「2歳」の方がより読みやすくおもしろいかな。嫁姑問題を書く小児科医、母-祖母の間隙に隙なく付け入る2歳の坊や、おもしろくないわけがありません。
そして、見開き2ページの小話の連続ですが、そのすべてにいわさきちひろの挿絵ですよ!アマゾンマーケットプレイスでこんなにも贅沢な買い物させてもらえるとは、まったくネットさまさまです。

若者を見殺しにする国

April 01 [Fri], 2016, 8:20
赤木智弘。ふと読んでないなと思ったときにマーケットプレイスにあったから。でもマーケットプレイスでは著者に売り上げ入らないんですよね。でもでも、そういうのも含めての「ネット時代」だから生まれた書き手なんだよね。ううむ。
さて著者に印税が入らない形で読むことがうしろめたくなる内容です。前半は同調し難くて読むのがちょっと辛かったですが、後半で解消。ああ、そういうことか、と思えます。安定労働者と不安定労働者の間に線を引く。そうせざるを得ない、そうしなければ見て欲しい集団を見てもらえないという現状認識。それは正しかったのだと思います。
格差は正当化されうるのか。「ハードワーク」にもあった問いに、答えは否。いや状況からしたら否、労働を見たら是。ひとを見たら否、というか。正社員と非正社員の働き方は違う、やってる仕事も違う、だから賃金が違う、だけど入り口でひとにはたいした違いはなかったのです。30年前だったらきっと正社員になれてた人々が、いまは何割も非正社員となってその程度の賃金のみを得る。
労働からは是とされる格差だからこそ解決策はそう簡単には見つけられない。この本のいう解決策だって策じゃない。ただ声を上げること、それは価値のあるあることで、即効薬はなくてもちょっとづつ雰囲気を変える力はあったと思うのです。

きみのためのバラ

March 30 [Wed], 2016, 8:30
池澤夏樹。(ほぼ)男と女の邂逅と離別の短編集。どこかの都会やヘルシンキ、沖縄メキシコなどなど舞台も様々、空気の温度と湿度が語りを読み手の皮膚のすぐ外にまとわりつかせます。邂逅から離別までの間、現実から少しだけずれた世界にいるような奇妙な感覚にすっぽりと取り込まれ、それが「心地よい」ほど単純ではないのだけれど、だからこそ惹きつけられる。青い薔薇のどちらかといえばシャープな表紙ですが亜熱帯の本です(そのどちらの感覚もがそしてそのギャップがまた魅力です。)。
P R
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