美大物語 

2005年07月13日(水) 11時55分

既に花の散った桜の木下に、アイツは居った。葉すらまだ十分に出てへん枝ばっかの樹を見上げる横顔が、見た瞬間に俺の網膜に強烈に焼きついたんや。
忘れかけてとった血が逆流するような高揚感に、手とかちょっと震えとって足も竦みそうで、爪痕が残るくらい強く掌を握り締めた。ただ、描かなアカン、てそればっか頭の中でグルグルしてて。

『なぁ、あんた。モデルになってくれへん?』

気付いた時には声を掛けとった。

『あーん?』

訝しげな声振り返ったアイツに、二度目の衝撃。横顔じゃ気付かんかったアイツの目ぇは、この世のもんとは思えん綺麗な蒼やった。
堕ちる、思うた時にはもう堕ちとって、人間はなんて後悔ばっか繰り返してく生き物なんやと、神さんを恨んだ。


それから二年。
未だに蒼の呪縛から逃れられんで、付き合いの分だけ片想い歴も随時更新中。
自分でも阿呆やと思うとる。男が男に一目惚れ、とか世間一般様から言わせたらイジョウもええとこや。まぁ、世間にどう思われようとそんな事は端からどーでもええことやねんけど。

「よお」
「…」

ガラリ、と開けた引き戸の先には

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