鼻先 

October 14 [Fri], 2005, 2:04
その夜はカズの家に泊まった。
運転できる人がみんな飲んでしまったからだろうか。
それとも
そもそも私を泊めるつもりだったのか。

ともかく 心をすっかり開いているわたしにとって
泊まることはまったく抵抗がなかった。
何人か一緒に泊まるわけだし。
いや 酔っていたので 何も疑いをもたなかったのかもしれない。

憶えているのは
酔いつぶれて横になった私を
誰かがお姫様ダッコをして布団に休ませてくれて
飲み会はまだまだ続いていたけれど
だんだんまどろんでいって
そのうち
誰かが私の隣に横になったような気がした。

夜中 起きたときには
灯りが消え
みんな寝静まっていた。
横になった私の鼻先に
ヒロの寝顔があった。
私の背後にも誰かがねていて
みんなをそうっと跨ぎながら
お手洗いにたった。

ああ 今日はココに泊まるんだ

と思って
また
もといた場所へ横になった。

詫びと ヒロと 

October 13 [Thu], 2005, 23:52
ある日 Pメールが鳴った
「ヒロPHS 070********」

訊いてもいないのに ヒロの番号を知らせるカズメール。
何なんだろう。
私の誕生会に 関係のない女をよんだヒロだよ?

訳がわからないけれど まだ登録件数の少ない電話帳に登録してみた。
なんといっても カズの兄だし。
何か連絡を取ることだってあるのかもしれない。


それから数日後 別の夏のある日
大学から歩いて帰っていた私のPHSが鳴った。

ヒロだ。

ヒロ「ハロー?」
私 「・・・ハロー・・・どした?」
ヒロ「さっき、仕事帰りに通った道で お前をみかけてさ」
ヒロ「声もかけたのに気づかないから w」
私 「そうだったの?考え事してたしわかんなかったよ」
ヒロ「今日もうちで飲むよ 来るでしょ?」
私 「どうしよっかなー・・・」
ヒロ「迎えの車出すし。来てよ」
私 「あぁ〜・・・・・・わかった」

結局 この間の一件の文句も言えないまま、
勢いに流されて行くことにしてしまった。


いつもは迎えにくるのはカズの役割だったのに
その日はヒロが迎えに来た。
そこもなんで?と思ったし
まだ2人で話したりしたことがなかったから
緊張した。
いっぱいいっぱいの会話のなかで
憶えているのはヒロが髪を短く切った変化だけ。
なんとなく 短くなった襟足を眺めていた。



たぶん その日の飲み会は
私の誕生会なのにイロイロあったことを
彼らなりに詫びているつもりらしかった。
おごりのお酒と
ケニーの手料理
飲んでいるうちに楽しくなってきて
嫌だった想いも帳消しになった気がする。

誰のための宴 

October 12 [Wed], 2005, 22:43
私は誕生会というものをしたことがない。

そのような文化が私の生活になかった為
それまで誰かに祝って欲しいなんて思ったことはなかった。


この夏、誕生日の晩、
サプライズで エリカとマサシ、タケル(マサシの友人)が
アパートにケーキを持ってお祝いに来てくれた。
出会って間もない私をこんなにしてくれるなんて、
友達ってなんて素晴らしいのだろうと思った。

しかし、私の誕生日はそれだけでは終わらなかった。
さらに数日後の ある雨の降る夜、
サプライズで カズのアパートでも誕生日会が催された。

うす暗い部屋に通され
バースデーソングをみんがが歌うなか
ケーキのろうそくを吹き消すよう急かされた。
ケニーの手料理
トシヤのギターと歌
みんなからのプレゼント・・・。

私はそんなにしてもらえるほど みんなの人気者でもなかったのに。
涙が出るほど嬉しかった。

ただ単に みんなで騒ぐ口実が欲しくてやったことだと
なんとなくわかってはいたけれど それでもやはり幸せだった。



みんなはまだトシヤと私をくっつけたがって
ロマンチックな曲を歌うようトシヤにリクエストしていた。
私は 気持ちがわかっていたけれど
そんなつもりはないので 勝手に手酌で酔っていた。

企画者のカズトは 本当はエリカを呼びたかったようだけど
既に私のお祝いを済ませていたからか
エリカは来てはくれなかった。
カズトの気持ちを知っているマサシが
エリカと一緒に私のお祝いを内緒でしたのが気に入らなかったのか、
雨の中 一人とびだしていってしまった。

ヒロは 仕事あがりに 途中参加の形になったが
疲れていたせいか 飲みすぎてすっかりつぶれてしまった。
酔っ払っているヒロを訪ねて
見知らぬ女の人がアパートにやってきた。
ヒロといちゃいちゃし始めたその彼女は 子供もいる人妻だった。

いろんな人の想いがすれ違い
最終的に波乱含みになってしまったその誕生会は
私の人生のなかで
いまでも 最高で最悪な誕生会になった。


その夜は
宴の喧騒のなか
窓の外の 雨に煙る街灯の灯りを
ぼうっと眺めながら
杏露酒を口に運びまどろんでいた。

何も考えられなかったのか
何も考えたくなかったのか

新しい人間関係 

October 11 [Tue], 2005, 1:26
カズ兄に出会って間もない頃
ほぼ初対面のカズトと一緒にトシヤのアパートに遊びに行ったことがあった。
トシヤのアパートはシンプルで何も遊ぶものがなく、
うだうだお互いの話しをする流れになった。

どんな話しの流れだったのかはよく憶えていないのだけれど
私は 時々死にたいような衝動に駆られたりする話しをしてしまった。
出会った間もない男2人に。

今 思えば そんなことを初対面の人に話したら
相手がカウンセラーでもない限り
ひかれるに決まっていると思うのだが、
2人 (というか主にカズ)は良くきいてくれた。

そして 長々と話し合った。
ひとしきり話したら なんだか打ち解けていた。
そうして カズは仲良くしてくれるようになった。

放っておけなかったのかもしれない。

カズは
よくアパートで誰かを呼んでは飲んでいた。
さみしがりやだったのだろうか。
私も 「女っ気が欲しい」という理由で何度か呼ばれた。
そこでバイト仲間や大学の仲間とは別の
新しい仲間ができた。

カズの兄ヒロトと、料理人のケニー(日本人)だ。

ヒロトはカズ兄とは全くタイプの違う人だった。
クールで いつも表情が読めなくて、
喩えるならGacktみたい。

ケニーは体がガッシリしていて逞しい「漢」って感じ。
でも繊細で 料理が好きでおいしい料理をよくみんなに作ってくれた。

ケニーとカズは親友らしく(家も近い)よくカズの家に来ていた。
ヒロトはカズと2人で暮らしていたけれど
ヒロトは社会人で働いていたので今まで会ったことはなかった。

私と カズと ヒロと ケニー
この4人で暮らす時間が 次第に多くなっていった。

この気持ちはなんだろう 

October 10 [Mon], 2005, 1:03
♪この気持ちはなんだろう♪
という歌いだしの曲があった。

この歌を歌っていた頃、もっと恋とか愛とか好きなんていう感情の定義は明確な気がしていた。

だけど
カズト達と出会って わからなくなった。

たとえば カズト

兄妹?
慈しみ
親友
カタワレ
親しみ
生きる喜び
嬉しさ
楽しみ
尊敬
失望
諦め
愛おしさ
懐かしさ
暖かさ
近くて遠い距離
思わせぶり
せつなさ
不確か
先行き不安

カズに想う

この気持ちは

なんだろう

思惑の違い 

October 09 [Sun], 2005, 4:34
私は女として見られていなかったのかもしれない。
それとも カズト達の友人の誰かとくっつけようという策があったのかもしれない。

わたしとカズトは本当に誰よりも仲が良かったのだけれど
お互い恋愛感情は持っていなかった。
カズトは出会った当初は彼女がいて、
さらに出会ってすぐに一緒のバイトだったエリカのことを気に入り
猛烈にアタックしていた。

私はといえば、みんなに出会った当初、
優しくてしっかり物のマサシのことがお気に入りだったが
既に彼女がおり、どうすることもできなかった。
逆に全く興味のなかったトシヤに一瞬好意を抱かれたらしく、
みんなで行ったカラオケで二人きりにされてしまったことがあった。
暗い照明のカラオケボックスに二人きりで取り残されたとき、
もう 本当にあのときは泣きたいほどくやしかった。

私は自分の好みでもない男性とくっつけられそうになることが多々あった。
そんなことをして本当に成就するんだろうか。
少なくとも 私は自分の意思で動けず、
周りの協力を得ないといけないような男となんて付き合いたいとは思わない。
行動力も、意思も、決断力もない男に なんで惚れるんだ?
なのに そういう男に限って
なぜか私に好意を抱いて周囲の協力を得て囲い込みに入られてしまうことがあった。

「せっかく協力してやったのに」
なんて恩着せがましいことをいう輩が未だにいるのだが、
結局は面白がっているだけなのだ。

そうして私は最終的にカズトの思惑と全く違う相手との恋におちることになる。
最後にはカズトも・・・。

近くて遠い存在 

October 08 [Sat], 2005, 3:55
もう一つカズトが違っていた点は
人を笑わせたり、喜ばせることが大好きだったこと。

私の住んでいる土地の男性というのは
県民性なのか
あまり 面白くない。魅力的でない。

それは、この土地の人にユーモアを受け入れる心の余裕がないからではないかと内心思っている。

冗談なんか言おうものならこの土地の方々は
思春期の女子中学生がお父さんの駄じゃれを白い目で見るくらいの冷たい反応を返してみせる。だから面白いことなんて言う気がないのかもしれない。

だが、私は本当にクダラナイことが大好きだ。
毎日小ネタを話してくれるカズ兄が楽しみだった。

カズ兄はその当時、付き合いのあった仲のよい友人達みんなに
私を紹介してくれた。
お陰で 間接的に友人が増えていった。
友人みんなを招いて私の誕生日パーティを開いてくれたこともあった。
今考えたら 彼女でもない私をそんな風に紹介してくれること自体
特別な存在だったと考えられるかもしれない。

そんな風に私を自分の側に置いてくれる一面もあったが
カズトは 自分の生まれ育った環境についての一切を話してくれたことがなかった。

私は自分の子供時代のことだとか
情けないエピソード、家族についてのコンプレックスだとか
すべてについて余すところなく話してきた。

でも カズトは自分の出生についてや
親のことなんかを一言もはなしてくれたことはなかった。
そこだけが唯一 壁を感じていた。

いろんな人の話の端々を繋げて予想できそうだったのは
両親が離婚したらしいこと
子供のころ遠い土地からこの田舎へ引越したらしいこと
親があまり家にいないことが多かったこと
だろうとおもう。

どこかに影を感じさせるカズトを案じていたけれど
年下の単なる友人でしかない私に
それを聞く権利などなかった。

異性の親友? 

October 07 [Fri], 2005, 3:30
私は 短期アルバイト仲間のなかでも
よくカズトと遊んだ。
でもはじめて会ったとき、
カズトは私と仲良くする気などさらさらなかったと言う。

仕事にイキイキ頑張っている姿を評価されたのか
はたまた カズトがお気に入りだったエリカに近づくための布石だったのか
未だによくわからないのだが

何だか気に入られて 
家に行ってはプレステをしたり
ご飯を一緒に食べたり
語り合ったり
酒を酌み交わしたりしていた。

カズトは その後私が出会う全ての男性と、違っていた。

何が違うのか
はっきりと分析しきれないのだが
一つは 内面的に中性的であるように思えた。
乙女キャラみたいなものとは全く違い、
男気もあり、責任感もあった。
では どんなところが中性的なのかといえば
女を差別するようなところが全くないところ
ロマンチストであるところ が
中性的なのだと思う。

カズトと語り合うことも多かったが
経験上、
男というのは あまり 女の話を真剣に聞くことが出来ない。
そして レスポンスも 女の期待したものを返すことはまずない。
なぜかといわれれば「男だから」で片付けたがる。

それは男女の脳の構造上しかたのないものだ、ということを私もしっている。

でもカズトは男女中立の立場で物を考えたがり、
真剣に話しを聞き、
自分の意見を誤解や偏見の無いよう、細心の注意を払って語る。
話す内容に、女性的な優しさ、甘さ夢見がちな点も多々あった。
そんな点に親しみを覚え、私との心の距離を縮めて
「親友」と言っても過言ではないほど仲良くなれた。

理想の兄キ 

October 06 [Thu], 2005, 3:15
カズトはたぶん
この話しをするなかで 最もよく登場するであろう人物だ。

本当の兄貴みたいな人で、実際こんな兄が欲しかった。

カズトは 実際は3人兄弟の末っ子なんだとか。
感情的だったり 理論的だったり 哲学的だったり
とにかく楽しい人だった。

ロマンチストで
泣き虫で
説教好きで
家族想いで
心配性で。

この人に出会っていなければ
今の私はなかっただろう。

確実にターニングポイントだった。

私はこの人が大好きだ。

それは
恋だったのか
家族愛のようなものなのかもわからない。
ただ 漠然としているけれど強い絆と愛情を抱いていた。

一生離れないと思っていた。

PHS 

October 05 [Wed], 2005, 19:41
友人が出来た当時
私は携帯端末を持っていなかった。
それまで必要なかったのだ。

友人ができて
はじめてPHSを購入しようという気が起きた。
せっかく誘ってくれても家にいなかったら連絡が取れないなんて。
気力のなかった私を救ってくれるような友人の存在。
蜘蛛の糸を掴むような思いでPHSを手に入れようと思った。

エリカに頼んで一緒にPHSを買いに行った。
手のひらに収まるほどの小さな電話。
電話の機能とPメールのシンプルな機能。

電話って恋愛における重要なアイテムなんだろうか。
それは未だにわからない。
ただ 何かにすがりたかった。
彼らとの距離を離してはならないと思っていた
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