恋文の日 

2007年05月23日(水) 20時48分
今日は恋文の日(5・23の語呂合わせ)らしいですね。
ということで突発ダテサナ文更新です。
暗い話ですが、幸村死後…かな、と思ってます。今構想してる長文の番外編的な感じで書きました。大坂夏の陣後ですね。
史実の伊達さまは筆まめだったらしいですね、晩年にもお小姓に向けてマメに文を送ってるようですし(笑)

本文のイメージはBUMP OF CHICKENの「天体観測」より。
いや、歌詞の一文を引用しただけなんですが…。

コイブミ. 

2007年05月23日(水) 20時46分
宛名の無い手紙も 崩れる程重なった


コイブミ.
copyrighted(c)Mizca MIQ.


ふう、と嘆息ひとつ。
彼は手にしていた筆を置き、たった今したためたばかりの文をしげしげと眺める。
書かれた内容は、他愛も無いことばかり。
今日は遠乗りに出かけたの、側近の小言が煩かったの、領内で造らせた酒が殊の外よく出来たのと、まるで日記の如く細々と綴られている。

思えば彼と文の遣り取りをしていた頃もそうだ。己の文は何枚にも及んでいて、我ながら筆まめに過ぎると苦笑をしていたのに対して、彼の方は素っ気無くも一枚きり、『そちらも御変わり無きようで誠に重畳云々』などという堅苦しい文がしたためられていた事などザラだったような気がする。
けれど、たった一枚の文に彼がどれだけ苦心して臨んでいる事か。慎重な筆遣いや所々止まる蹟からもそれがありありと見てとれて、堪らなく幸せな気持ちになったものだ。

今も文箱の中に大切に納めてある、彼からの文。
いつも一言、本心から書かれているであろう末尾の言葉。

『文だけではなく、政宗殿とお会いしてお話したい事が沢山あるのです』

ああ。俺もあんたと会って話したい事が山程あるんだ。

齢はとったが元気でやってる。
家の事も領内の事も、心配事はそう無い。

ただ、ひとつ、今でもお前の事を思い出す以外は。


墨の乾く頃合を待って書いた文を折り畳み、無造作に書棚に仕舞う。
其処には 真田幸村殿 と宛名を書けないままの文が、行き場の無い想いを溜め込むように崩れ落ちそうな程重なっている。
 

may i was dream of you. 

2007年05月20日(日) 0時47分



ふわり、と風が舞う。
宵の匂いを湛えた春の風は、まだ少し身冷えを誘い、幸村は知らずと身を竦ませた。甲斐は山に囲まれた地である故に春が遅いのだろうか、と思いを巡らせながら。
旦那、と耳慣れた声が背後に聞こえる。
「まーたそんな薄着で。いくら丈夫だっても、しまいには風邪ひくよ?」
声の主──最も忠実な彼の戦忍は、肩書に似合わぬ人懐こい笑みで近くに寄ってくる。
手には羽織り物。面倒見の良いこの男は、彼が病になど罹らぬよう気を払っているのだ。
濃い紅色のそれを幸村の肩に着せ掛け、彼は言った。
「そろそろ帰りますよ。夕餉の時間だ、今日は昌幸様とご一緒するんじゃなかったっけ」
「解っておる。帰るぞ、佐助」
「はいはい、っと。
それで旦那は、何に思い耽ってたのさ?」
似合わない小難しい顔しちゃってさ、と茶化す言葉も添えつつというのが彼らしい。くすりと笑い、幸村は首を横に振った。
「別に何も考えておらん。思い耽っていたように見えたのなら、佐助の考え過ぎでござる」
「ほんとー?旦那はおつむりが弱そうに見えて、結構考え始めたら止まんないタイプだからさぁ。心配なのよねーオレとしては」
「全く、お前はいらぬ事ばかりを…。さぁ佐助、早く帰るぞ」
軽く苦い顔をして踵を返し、彼は屋敷の方角へと歩き出した。
向かう先の空は深淵の紺。とっぷりと暮れた陽だけが、空の淵に残る、焼けの色。
あぁまるで戦場に於ける彼の色だ、と佐助は思った。馴染み溶けぬ、と言うより、強さ故に輝き消えない、深紅の色。戦装束を纏った紅蓮の鬼の色だ、と。
「佐助…?」
口を噤み立ち止まった佐助を、不思議そうに幸村は振り返る。
焼けた空と、紅蓮。
重なり合い、まるで溶けてしまうのではないかと。
「…佐助、何を…っ」
刹那、過ぎった思考を振り切るように彼を背中から抱きしめた。
主従の枠を越えた振る舞いだとは重々解っている。道端でこんな事をして、彼が目一杯混乱し怒るであろう事も。
けれど。
「ごめん…旦那、ごめん」
溶けて消えてしまいそうな気がしたんだ。
そう呟くと、彼は困ったような顔をする。
「そんな訳無いだろう、小難しい事を考えておるのは佐助の方ではないか」
「…うん、そうだね。ほら、オレ様旦那より繊細だし」
「某より、は余計だ。
…大丈夫だ。某は消えない、こうやって佐助が留めていてくれるからな」
ぽん、と回された佐助の腕を軽く叩き、彼はそう言って笑った。

さぁ、帰ろう。

紅に照らされた山桜が、家路へと誘うように舞う夕の事だった。








画像からイメージ膨らませて書いた文章ですよー。リハビリなので構成甘いのは見逃してくだたいorz
ちなみに画像は4月頭の京都旅行のときの!もう春の話は書き納めかな...。

 

2007年05月15日(火) 17時17分
長文の一時保存・投下用にブログ借りてみましたー。
とりあえず文章サイト作るまではここがメインの活動になるかと。
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