『上海激戦十日間』(揚子江社発行)を読んでみた 

August 15 [Tue], 2017, 18:58
昭和十四年八月二十五日印刷
昭和十四年八月三十日発行
揚子江出版部発行

昭和十二年八月十三日の十四時付で「午後八時ヲ期シ、第三警戒配備ニツケ!」の命令が発令され、上海市街戦が勃発します。
一番激しかった初期の十日間を、上海特別海軍陸戦隊がいかに戦ったか各部隊の隊長より聞き出した内容を記した一冊になります。

上海特別海軍陸戦隊は、海軍の陸上戦闘を行う専門部隊になります。
戦闘開始の命令は17時付の模様。「全軍戦闘配置ニ就ケ、警戒ヲ厳ニセヨ」と大川内上海特別海軍陸戦隊司令官より下令されています。(「戦史叢書 中国方面海軍作戦<1>」朝雲新聞社)
たった300名の戦力で、ドイツ軍顧問より訓練を受け最新鋭武器を備えた精鋭部隊第八十八師団の2000名と戦って、日本人居住区を防衛しています。(「日中戦争はドイツが仕組んだ」阿羅健一著)
7月29日に通州で200人を超える日本人が惨殺されるという事件が起き、二の舞になるかもしれないという危機感があったこともあり、必死だったようです。それにしても本当に優秀です。

特に十六日は特に戦闘が激しかった様子が各部隊長の語る話から伺えます。
次々と兵たちが命を落としてゆくそんな状況で、誰もいなくなった市街地に取り残されたインコとカナリヤとエンゼルフィッシュを兵たちが保護し、しばしの間部隊でかわいがるなどということもあったようです。
エンゼルフィッシュは途中で手放したようですが(部隊長が寂しがったという記述が本書にあります)、カナリヤは日本領事館で飼われた可能性があります。イコールと断言はできないのですが、「松井翠聲の上海案内」にそんな記述があります。
(インコのその後は、不明です)

戦時中のこういうレポートを、すべて嘘だと決めつける方も多いのではないかと思います。表現が情緒的ではありますが、私はこの報告内容に嘘はないと思っています。
情緒的な文章が鼻につく人は、きっとスポーツ新聞すら読めないのではないでしょうか。

また、この本もGHQ没収図書です。
読んでみて戦争を是としている本とは思えませんので、管理人は没収されていることに疑問です。
何があったのか知らせることすら悪だったのでしょうか。日本人特有の『大事を取った』のかもしれません。それとも、GHQとのやりとりが面倒くさかったからなのかもしれません。
それにしても、十把ひとからげ過ぎです。
ぜひ読んでみてほしいです。読んだうえで、あなたの最終的な判断をしてください。

ちなみにこの戦いで、国民党軍の指揮官が乗る戦車(英国製ヴィッカース6トン戦車)を鹵獲してるのですが、その後海軍館に屋外展示されています。
その後、昭和十九年十一月二十七日に海軍館が空襲され、戦車は大破。その無残な姿を東方社のカメラマン関口満紀が撮影しています。(「東京大空襲 未公開写真は語る」(新潮社刊))
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