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今にも雨が降り出しそうな、重たい灰色の空。
俺は、この空が嫌いだ。
どうやら夜が明けて、すでに昼のようだが。
暗いままの空が、気味悪い。
時間ばかりが無駄に過ぎていく。
考えてばかりだ…。
あのまま、あの谷から出なければ良かったのか。
そのまま、海賊に攫われていたら良かったのか。
恋次を、巻き込んだ。
怪我までさせた。
「何処に居るんだ…。」
窓の下で膝を抱えるようにして考え込んでいた。
部屋には天蓋のついたベッドに、箱に詰めたままの高級そうな洋服がたくさんおいてあった。
興味はないが、かなり優遇されているのは分かった。
だが、恋次は居ない。
「いーちっごチャン!元気ー?」
「おはよう、一護君。良く眠れたかな。」
軍人らしい硬いブーツの踵を鳴らし、市丸は深い青、藍染はこげ茶の軍服姿で現れた。
服装が変わるだけで威圧感が倍増するものだが、一護は怯まない。
先に部屋へ入って来た市丸の襟元を掴んだ。
「恋次は…恋次は何処だ!」
「さぁて、何処やろねぇ…。」「てめぇら…!」
「よしなさい、ギン。安心しなさい、彼はいささか厄介だけども思ったより頑丈みたいだから。」
藍染はやれやれとでも言うような手振りをしながら、たいして気にもとめていないだろう。
「…ここは何処だ。」
「おや、まだ言ってなかったかな。軍の城塞だよ。」
逃げようなんて思わない事だ、と付け足す藍染。
だが、今の一護の中にはそんな考えはなく、恋次の無事が最優先だった。
同じように連れて来られたのなら、まだこの城塞の中なんだろう。
「一護君には見てもらいたいモノがあるんだ。…さぁ、来なさい。」
「はぁ?何処へ…!」
「一護チャン、これお願いちゃうんよ。も少しよぉ考えよ。な。」
反論は許さない。口答えなんか論外。
こいつらにとってはそうなんだ。
恋次がまだここに居るなら、俺が言う事を聞いていないと何をされるか分からない。
言われるがままに連れられ、簡易な作りのエレベーターに乗る。
一本の太いパイプの中を下へ下へと降りて行った。
最下層。
地下に潜るにつれて下がっていった気温は、息が白くなる程になった。
エレベーターを降りると、目の前一面の巨大な扉が視界を覆う。
まるで、国一番の銀行にも無いような鋼鉄の金庫だ。
重々しく光る扉には薄っすらと氷の膜が張り付いている。
藍染がカードキーを通せば、氷が軋み、ゴゴゴという重たい音をゆっくり響かせながら扉が開いていく。