『まぼろしハワイ』(よしもとばなな/幻冬舎文庫) 

2010年08月12日(木) 23時04分


「まぼろしハワイ」「姉さんと僕」「銀の月の下で」の3編を収めた中編集。
まことにばななさんらしい世界。こまぎれの時間をやりくりして読むのに、ちょうどいい長さなのも嬉しい。
どれも、家族を失った人物が主人公。読んでいて辛いけれど、こんなふうに浄化していくしかないんだな、と教えられる。

3編の中で、一番艶っぽいのが「銀の月の下で」だと思う。大人の恋のはじまりそうな空気がイイし、広田さんのセリフもいちいちイイ。こんな風に始まる恋は楽しそうだなぁ。

「なんかさ、もしかして、今、僕たちに何もなければ、また会える、そんな気がしない?(略)気が合いすぎると理屈抜きで発展しにくいね!」(p229)

「運命の裏をかきつづけるんだ」(p231)


帰省 7/31〜8/2 

2010年08月01日(日) 6時55分
夫の実家に帰省。
孫連れなので、おじいちゃん、おばあちゃんが大変よろこんでくれる。

陣馬の滝というところに連れていってもらいました。
富士山の湧水の小さい滝があるところ。水遊びをする人や、水を汲んで帰る人たちで大賑わい。




ベビ子も足をつけさせてみたが、水が冷たすぎたようですごいイヤな顔をされてしまった。。。

オルセー美術館展 

2010年07月29日(木) 6時02分
新国立美術館にて開催中のオルセー美術館展へ。



ドガ、ゴッホ、セザンヌ、ルソー…どっかで観たなぁ、という有名どころの作品が多数!
セザンヌ、モネはどの作品も無難に美しいと感じさせるけれど、やっぱり圧倒的な印象を残したのはゴッホの『星降る夜』だなぁ!



ゴッホはこの構図で、星の光と、ランプの灯の違いを表現しかたったんだって。
近くで観ると絵具の厚み、生々しい筆遣いに圧倒される。ゴッホの絵には、表現に対する執念をすごく感じる。ただ美しいだけの風景画で済まされない、表現したい風景に対する狂気みたいなもの。
なのに、遠くから見るとその狂気は影をひそめ、どこまでも透明感のある星空が心をとらえる。「銀河鉄道の夜」を思わせるような…「二十億光年の孤独」を思わせるような…気の遠くなるような宇宙の孤独につながる星空。

ルソーの『戦争』『蛇使いの女』も圧巻。とくに『蛇使いの女』、あのサイズをあの密度で描かれると、こちらまで熱帯の湿度が伝わってくるよう。酔わせてくれますな〜!
あれはやっぱり、実際の熱帯ではなく、資料を元に想像を膨らませて描いてるところが幻想的でいいんだろうなー。観ながら眠りにつきたいと思わせる絵。

意外なところでは、クノップフの絵があったなー。
ベルギー王立美術館で観た『愛撫』が大好きで。今回観たのは、なんてことない女性の絵だったけど、『愛撫』の人物に似た感じの、クノップフ独特の幻想的で耽美な空気を感じさせる顔だったなー。

あと、今回初めて知って印象に残ったのが、モーリス・ドニの『木々の中の行列』。


ベルギーの修道院の庭を思い出すの、木が全部斜めに生えていて、なんともえいない静謐な空気が漂ってた庭。
手前にいるのは少女たちで、木々の奥に描かれているのは、やっぱり天使なのね。ナビ派の”ナビ”はヘブライ語の「預言者」で、象徴主義的な一派であるらしい。
森の奥で、戯れる天使たちの姿を目撃したような心地にしてくれる絵。
思わずハガキやクリアファイルを買ってしまったヨ。またどこかで会いましょう。


新国立美術館の嬉しいおまけ。
B1のミュージアムショップで、グレゴリー・コルベールの写真集を売っていた!!
2007年にノマディック美術館に見に行ってから、ずっと心を離れなかった作品だったので、再会できてとても嬉しい!
大きい写真集はあいかわらず高くて手を出せなかったけど、小さい方だけお買い上げ。
またどこかで観たいなぁ、グレゴリー・コルベール!!!



祈りあう人と動物…。美しい静寂。

『いちばん危険なトイレといちばんの星空 〜世界9万5000km自転車ひとり旅U』(石田ゆうすけ/幻冬舎文庫) 

2010年07月18日(日) 22時50分


7年半かけて自転車で87か国をまわったという著者が、”世界でいちばん○○な国は…”という視点で綴る旅エッセイ。
漠然と”世界で一番よかった国は?”と言われると答えられないが、たとえば”世界で一番トイレでイヤな思いをした国は?”とか”世界で一番怖い思いをした国は?”という具体的な質問だったら答えやすい…ということらしい。

良い思い出も悪い思い出も綴られているけれど、やっぱりチョット悪い思い出くらいのほうが、読んでいて面白いかな(^_^;
とくにタイトルにもなっている”世界一危険なトイレ”や、”世界一不気味な通り”、”世界一メシがまずい国”は強烈!

7年半(その間、一度も日本に帰ることなく!)旅をした著者が、こう語っているのが印象的。

「旅が長くなればなるほど、言い方を変えれば、毎日変化だらけの日々がつづけばつづくほど、感受性はすり減っていくように感じられる。(略)大切なのは、景色も人もつねに変化する旅という行為ではなく、何ひとつ変わらない日常からでも、つねに新しい変化を見つけ出す力ではないだろうか。」(p274)

そ、そうかぁ。日常を大切に生きることが大切なのね…長きゃいいってもんでもないのね…。



サハラ砂漠でのエピソードはとても幻想的で、締め括りにふさわしい素敵なエピソードでした。

「これだけ空漠とした”無”の世界では、もしかしたらすべての感覚が崩れだすのだ。そして、脳は常識の枠から解きはなたれ、際限なく自由になる-」(p307)

なんとなく、『星の王子さま』の最後のシーンを思い出しました。あれは確か、サハラ砂漠の話なんだよね。



というわけで、とても満足だった1冊。

しっかし、初夏の叶えられない旅心を癒してくれる1冊になるはずが、よけいに旅心に火がついたよ〜(>_<)

本屋で自分探し 

2010年07月17日(土) 22時28分
産休・育休に入ってもうすぐ1年になる。

ベビが生まれるまでは頭を使う気などさらさらなく、好きなことだけをして過ごした(だから臨月なのに新大久保に行ったりしたし、重たい写真集買って持って帰ろうとして、店員さんに「配送にしましょうか…?」と言われたりした。ありがとう、モ○ザのお姉さん…)。
ベビが生まれてからは、頭を使う余裕はまったくなくなった。正直言って、新聞を読んだりニュースを見たりすることすら、十分にはできてない。
そうこうしているうちに、さすがに頭がぼんやりとしてきて、単語は思い出せないわ、最近の事件や出来事は知らないわ、こりゃまずい、世間から取り残されてるよ私…!と危機感が募り始めた。

で、本日その焦りがピークに達した。
もういてもたってもいられず、ベビ子の面倒にも身が入らない。

「あたし、”なにかしなくちゃ”病なの!本屋で自分探ししてくる!」

言い捨てて、ベビ子を夫に任せ、家を出た。

さんざん迷った挙句、資格試験のテキストと問題集を買う。職場復帰のリハビリになりそうな試験で、やっと具体的な目標ができてほっとした。
おうちに帰って、さっそくテキストを開いた。ここ数年、稀にみる吸収量だった。なんか久しぶりに、勉強って快感だな、と思って、女性が教育を受けさせてもらうことが難しかった時代、念願かなって進学した女学生さんは、こんな気分だったのかな…と思った。

まぁ、いつまでこの集中力が続くかわかんないんですけど。