003 動物

October 27 [Sun], 2013, 6:40
003 動物

〈小話〉

『君はウサギみたいだから、あいつらも構いたがるのさ』

僕もそう思うけどね。
猫のような笑い方の彼は、唇の片端を器用に吊り上げる。
いかにもわざとらしい笑い方だった。

寂しくなると死んじゃうってことか、嬉しくないね、そう言って私は目の前の彼を睨んだ。

―――

「――とまぁ、そんなことを言われたんだよ」

そういうと、彼女はその綺麗な顔を歪ませて噴出した。失礼な奴。

「あんたは寂しいくらいで、お空に逝くはずないわよ。彼らもよく見ていないわね、こんなシタタカな野良猫みたいな子。」

それに加えて、あんた何匹ネコ被ってたわけ、と彼女は付け加えた。

「シタタカな野良猫って、なんだよ、失礼だな。それに普通にしてたはずだけど」

でも、そうかもしれない。誰にも飼われない、否、飼ってもらえない野良猫。

「あんたの猫かぶりは無意識よ。ちょっと後ろでお上品に大人しーく笑ってんのよ、慣れてないやつに対しては。
 その点慣れてる奴には、皮肉めいて我儘で、飽きたらいなくなって、時々いきなり顔を出す―――」

「そんなの知らないし。それに君とかにはちゃんと、イイコで懐いてると思うんだけど」

彼女が言い終えるのを待たず、拗ねるようにそう言ったのに、

「それはあたしらがあんたを飼ってるんじゃなくて、あんたがあたしらを飼い慣らしてるからでしょ」

まあ、見た目は逆だけどね。彼女はフイと顔を逸らして、新しい煙草に火をつけた。


飼われるも飼い慣らすも、それはただの言葉遊びだ。
けれど彼女たちはいつもそう言って、私の傍から一定以上離れようとしない。
だからきっと、私のウサギの部分が満たされているんだ。

「あ、照れてる。かーわいーい」

「はいはい、どーもありがとー」




002 予感

October 26 [Sat], 2013, 6:52
002 予感

〈小話〉

その昔、付き合っていた人がいた。
その人は、僕が当時抱えていた罪悪感のような感情や、取るに足らない劣等感を、確かに薄れさせてはくれた。

ただ、この人と人生を共にすることはないだろうと、最初から予感していた。
予感というより、諦観だったのか。

執着は確かに、次第に芽生えた。別れた時も確かに、かなしいと感じた。
でもそれは、百貨店で偶然気に入って買ったマグカップを、ある日突然床に落として割ってしまった時のような、そんな仕方のなさを含んだ、代替可能のものに対する悲しさだった。

『恋愛抜きなら、なかなかいいのにね、君』
かつて思春期のはじめに投げられた言葉は、どうしてか今もこびりついて消えない。

恋が叶ったことはない。
それは僕が何もしなかったからだ。
突然の好意を受け取ったことはある。
ただ、それを大切にすることは、僕にはできなかった。

これからも、僕は誰かに好意を抱くだろう。それは確信だ。
けれどこれから先、誰かと並んで歩くことはあるだろうか。
予感も何もない。




001 本

October 25 [Fri], 2013, 6:16
001 本

本との付き合いは長い。それこそ、肉親の次くらいに。
親が買い与えてくれた本のほかにも、生家にはあふれかえるほどの蔵書があった。
それは主に祖父と叔父のものだったが、海外著名文学集からズッコケ三人組まで、種類は実に様々だった。

小学校にあがるまでは、絵本や知育本、児童向けの簡単な物語。
小学生になってからは、日本や海外の児童文学、推理小説、SF小説。
中学の頃には、それに加えてライトノベルや詩集を読みふけり、
高校に入ってからは、更に漫画と恋愛小説が大量に増えた。

本を読むのが、好きだ。
嫌いになることはない。

ただ、本を読んだ後の感想や、いわゆるレビューというものを書くのがどうしても苦手だ。
夏季休暇に出される読書感想文の課題も、いつもぎりぎりまでやらなかった。
夏休みが始まる前に、もう本は読み終わっていたのに。

書こうとするたびにつまづく。
その本の、文章の表面しか見ていないのかもしれない。
その本を読んでみたいと思えるような文章を書いてみたい。

自分の納得できる言葉で、自分の思ったように文章を書きたい。
きっと、きちんと理解できないで使っている言葉が多すぎる。

魅力的な文章へのあこがれは尽きない。



ノラリクラリ

October 24 [Thu], 2013, 6:54
1年半振りの更新になりました。

1年半も間が空くと、その間に様々なことがあるものです。
思うところがあったので、今までの記事を一旦非表示にしています。
ご了承を。

今年の3月末からドイツにて留学させていただいています。
早いもので、滞在期間も残り3ヶ月強となりました。
以前住んでいたという割には語学力も乏しく、のらりくらりと生きている感が否めません。
それでも、この国は私にとっては住み心地が良く、大事な土地なのだと感じています。

今後の予定としては、このブログでお題に沿って文章を書こうかな、という感じです。
予定は未定。

では、待て、次回!







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