パリ季記

2006年01月11日(水) 15時04分


雑誌「天然生活」で連載されていた「猫沢エミのパリ季記」。それに一部加筆・訂正をし、再編集された「パリ季記」が、先日出版されました。

30歳を過ぎてからフランス移住を決意した、猫沢エミさん
日本でミュージシャンやエッセイストとして活躍。「自分をごまかすのにはぴったりな東京でぬくぬくと歳を重ねることもできた」はずなのに、同時に「むき身で歩いている、貝殻のないアサリくらい頼りない生活」に不安も感じ、長年のパートナーの後押しもあって、思い切って移住を決めたのだそう。
パリで生活を始めてからの三年間がこの本に詰まっています。

私が猫沢さんの文章を好きなのは、彼女が、きれいなだけではないありのままのパリを書いていること。
パリに関する本は、とかく「おしゃれでみんなが憧れるパリ」を強調しがちですが、彼女の文章にはそれがありません。「これだけイメージと堅実が食い違う街も珍しい」と書いているように、彼女自身が経験したあらゆることが、正直にそのまま書かれています。
この本を読んで、パリに抱いていた憧れが半減する人もいるかもしれません。少なくとも「なんてパリって素敵なところなの!」と憧れを強くする人はいないはず。だけどそれでもこの本からは「パリの素晴らしさ」が伝わってくるのです。そしてこれは読んだ人にだけしか分からない気持ちなのです。
今までに読んだフランスに関する本の中で、一番好きになりました。

「顔を洗わない日はあっても、パリという言葉を口にしない日はありません。ここ数年」という名言(?)もあるほどパリを誰よりも愛している梶野彰一さんの装丁も素敵です。帯を取るとこんな感じです。

映画でお散歩パリガイド

2005年09月15日(木) 13時39分


7月に発売されたJeu de Paumeの新刊「映画でお散歩パリガイド」を、遅ればせながら購入しました。「北ホテル」から「ぼくの妻はシャルロット・ゲンズブール」まで43タイトル、それぞれの舞台になった場所を紹介しています。

先日まで鎌倉で「映画でお散歩パリガイド」展が開かれていたのですが、そのフライヤーがこの本の表紙と同じデザインでした。実はその絵の「Tour Eiffel」の綴りが違っていて「!?」と思っていたのですが、本の表紙ではちゃんと直っています。



パリに関する映画の本と言えば、同時期に出版された「映画気分でパリを散歩」も気になるところ。



鈴木布美子さんの「映画で歩くパリ」もとても詳しくて好きでしたが、こちらは残念ながら絶版になっています。

Bon Bon Voyage! 〜旅のお菓子〜

2005年05月13日(金) 16時38分
「いつ行っても、なんて美しいんだろう、
って思うのは、ポン・デザールの
上からの眺めだね。
このあいだも、
怖くなるような朝焼けで、
15歳だったらどうなっていたか。
こんな街があるってことが、
奇跡じゃないかな、
世界のどこを探したってありゃしない。
なにが凄いといって、恋をしたり、美しいものを愛する
感受性を育ててくれる。
他の都市は、感受性を持たせないように造られてる」

「行きたいところは、たくさんあるし、ぜんぶは廻りきれない。
そういうときは、流れにまかせることにしてるんだ、
恋だってそうでしょ?力んだって、どうなるものでもないし」

佐伯誠さんの文章をいつも楽しみにしています。
普段は忘れているのだけれど、飛行機に乗って座席の前の
ポケットに入っている機内誌「翼の王国」を手に取るたびに、
彼の連載を思い出して真っ先に探すのです。
どういうわけか今回は母とのおしゃべりに夢中で
4月号の連載を見逃してしまいましたが、
帰りはいつものように彼の文章を楽しみながら
ゆっくりと旅の余韻に浸っていました。

「窓からエッフェル塔が見えた。
ぶっきらぼうな、鉄でこしらえた、ノッポな塔。
それが美しいのか、美しくないのか、そんなことは問わない。
船乗りが、星をたよりに旅をするように、
パリに住んでいる者が、それのおかげで
なんとか荒廃しないでいられる標識みたいなもの。
なけなしの金で、パンのかわりに、ミモザを一束。
そんな気まぐれが、この街では咎められない。
貧しくとも、胸をそらして歩ける、たった一つの都市」