エロイカより愛をこめて 31巻 

2005年02月20日(日) 0時07分
東西冷戦構造が変化し、国民国家が揺らぐ今日、エロイカはその主題を失って迷走しているような気がしてしまった。
当巻には番外編3編が収められているのだが、いずれもムカシのようにイカれた話ではない。
作者が良識的になったといえばそれまでだが、あの浮世離れしたナンでもありのトーサクした世界を愛するものとしては、ちょっと淋しい気がしないでもないような…。

もっとも、今の世界情勢が、あのように破天荒なスパイモノ(?)を許容出来ない状況にあるというのも一因かもしれない。
あの頃は冷たい戦争だったが、今では非常に分かりやすい暴力の連鎖である。
スパイナーよりも、ピンポイント爆撃である。
スパイが国の命運を背中にしょって暗躍した時代は、最早過去のものとなってしまったのかもしれない・・・。

フィガロの謎(『パタリロ』) 

2005年02月13日(日) 8時21分
もうかれこれ長い間、ずっと疑問に思っていることがある。それは他でもない、『パタリロ』におけるフィガロの存在である。

何故バンコランとマライヒは、パタリロによく似た子供を育てているのか?
ホントにマライヒが生んだの?? どうやって???

それほど熱心な読者ではないが、新幹線や飛行機にに乗るとき、退屈しのぎにまだ読んでなさそうなあたりの白泉社文庫を買うコトだってある私は、フィガロぼうやが出てくるたびに、いったい、『パタリロ』の何巻を読めば、この真相が分かるのかと、ずっと思い続けては忘れ・・・を繰り返していた。

しかし、先週タマタマ買った白泉社文庫40巻で、その真相はどうやら、白泉社文庫35巻に収録された「イスタンブールにて」を読めばわかるらしい・・・というところまで辿り着いた。
しかし、難関はそれだけではなかった。ここいらには、『パタリロ』の文庫を全部並べて売っている本屋というものがないのだ。お取り寄せとかナンとかというほど熱くも無いが、それなりに興味はあるにもかかわらず、ここいらでは、たかが『パタリロ』の文庫35巻に遭遇すること、これこそがまた困難なのだった・・・。

“フィガロの謎”は、いま少し続きそうである。

かなしーおもちゃ 

2005年02月12日(土) 11時09分
ここ最近、ココログにログインしようとする度に、なんとなく複雑な感傷にとらわれる。
そこには今、『かなしーおもちゃ』というココログブックス第2弾の広告が掲載されている。

カリスマ歌人枡野浩一が主宰する短歌投稿ブログ「かんたん短歌blog」の傑作選。

短歌で『かなしーおもちゃ』というのは、あまりにあまりではなかろうか・・・。

「啄木だったら、ダンゼン『悲しき玩具』よ! 『一握の砂』よりももっとセツなくって、もう、ナミダだぁ〜!」

掃除時間、腐ったようなゾーキン片手に教室前の廊下でワケのわかっていない文芸評論が繰り返されていた頃、結核という病が、ミョウにウツクしいもののように感じられた少女時代のあれやこれやとともに、啄木の『悲しき玩具』は、わたしのこころの奥底の、ヒトに覗かれたらちょっと困るトコロに沈澱している。「かなしーおもちゃ」というコトバには、そんなわたしのヘドロの底をかき回す作用がある。
『悲しき玩具』と『かなしーおもちゃ』、この2つの言葉は、その表層こそ違えど、わたしの頭の中で認識レベルに変換されたときには、ほぼ完全に一致してしまう。
だからこそ、未来永劫封印しておきたいような、ちょっとヒトに言いたくない思い出がわらわらと騒ぎ始める、その触媒になってしまうのだが、それとともにもう一つ、なんともやりきれない思いがある。

「こんなん、パクリやん! ええんかい、これで・・・」

これはわたしの、啄木が、赤い血を吐きながら搾り出した『悲しき玩具』に対する、必要以上の感傷がもたらすココロの疼きなのだろうか・・・。

ピカソ、その瞳を愛して 

2004年12月22日(水) 14時38分
山美文庫から待望の新刊が出た。タイトルは『ピカソ、その瞳を愛して』。

 本書は、ケンモッチーヌ・ラズーサの異色の短編小説であり、ピカソ最後の恋人(妻)ジャクリーヌが、そのヒロインである。

 少女ジャクリーヌは、ある画廊の前で、数人の友人たちと共にピカソの画いた女性と出会う。ピカソが描くのは、常に彼が愛する女性である。老画家の恋人に好奇の眼差しを注ぐ少女達・・・。それは単に、その構図や色の奇抜さばかりが彼女たちをその前に引き寄せたのではなかた。

 それはやがて、ピカソという天才の絵筆を触媒としてジャクリーヌにも受け継がれる。ジャクリーヌの前を通り過ぎていく様々な色をした瞳は、その眼差しを彼女の上に注いで思い思いにその感想を述べ、そして通り過ぎていく。その瞳を見つめ返すもう一人の瞳。

 ジャクリーヌは、今も世界中でいくつもの瞳と邂逅し、その反応を楽しんでいるのである。奥にはピカソとの愛の物語を秘めて・・・。

 本書は、来年1月6日から山口県立美術館で開催される「ピカソ展 幻のジャクリーヌ・コレクション」の広報を目的として書き下ろされたものである。装丁や広告スペースの使い方等、細部にまでディテールにこだわった本書を、ここでお見せできないのはザンネン至極。ストーリー以外にも楽しめることが多い。わたしをして一番喜ばしめた箇所は、おくづけの一番最後に小書きされた、「乱丁・落丁本は、申し訳ありませんがご了承ください。」の一文であった。 現在無料配布中なので、見かけた方は、是非手にとってご覧いただきたい。
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» フィガロの謎(『パタリロ』) (2005年05月29日)
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