4月5日(日)昼
地下鉄を乗り継いでモンマルトルへ。
ここはとっても行ってみたかった場所。
「パリ旅情」の中の「パリの冬」という曲の中に
モンマルトルのだんだん道を一段一段登ってゆく……
というくだりがありまして。
今は冬じゃなくて春ですが、そのへんは想像で補いましょう。
さて、モンマルトルへは地下鉄のアベスという駅で降ります。日曜日だし、大勢の人が降ります。こりゃみんなの歩く方に歩けば迷うことはないと一安心。
この駅、地上に出るのに不安になるほど階段を登らされるんです。
もちろんエレベーターもありますが、人が多いので元気な私が乗るのも申し訳なくて、ひたすら螺旋階段を登ります。
地上に出てからはとにかく皆が歩く方へ。ケーブルカーもあるようですが、「モンマルトルのだんだん道」を歩きたい私は見向きもしませんでした。(笑)
淋しげな「パリの冬」の詩の光景とは違って、歩く人、歩く人、うきうき気分の観光客ばかり。もちろん私もその1人です。
階段を登りきると広場。

ところ狭しと似顔絵を描く人や描いてもらう人、絵を売る人であふれています。テレビの旅番組なんかを見ているようです。
するといきなり
こんにちわ、日本からですか?
と声をかけられました。
びっくりして見ると、それは日本人。似顔絵を描いている方でした。
私は似顔絵には用はないのですが、もしかしてこの人が昨夜Kさんが言っていた画家のTさんかも、と思い、思い切って尋ねてみました。
「あの、失礼ですが、Tさんでいらっしゃいますか?」
「いや、私はNと言います。」
あら、残念。でもNさんはちょっと待ってて、と広場を横切って、Tさんがいつもいる場所を見に行ってくれました。
「今日はTさん、来てないねえ、どうして?知り合い?」
私が簡単に事情を説明すると、Nさんもキムチはよく知っているみたいで、「Kさん、元気にしてる?」と逆に質問されてしまいました。
ちょっとの間、Nさんと世間話などして、モンマルトルのシンボル、サクレクール寺院を目指すことにします。
……すると
「Tさん、休憩中だったみたい、今戻ってきたよ!」
と親切にNさんが追いかけてきてくれて、Tさんのところに連れて行ってくれました。
かくしてTさんとご対面。といっても私だって昨夜名前を聞いただけの人だし、Tさんにすればなにがなんだか、ってところですが。(苦笑)
そこでもまた世間話や絵の話で油を売る私です。一人旅はこういうところが気楽ですね。
せっかくの出会いですから、絵を買うことにしました。好きじゃないタイプの絵だったら買いませんが、なんかいい感じの油画だったので。これがパリに来て初めての買い物らしい買い物でしょうかね。
小さいのしか買えませんが、キャフェのある風景の絵が欲しい、とかいろいろわがまま言いまして、飾ってあるやつだけでなく、奥からいろいろ出してもらいます。
一枚、ピンとくるのがあったので、それに決定。このモンマルトルの景色です。
どういう額にすればいいかも忘れずに質問。描いた本人に聞くのが一番ですよねえ。
絵を買ってくれたお礼に、コーヒーでもごちそうしましょう(そんなことしてたら商売にならんやん!)と言って下さったので、遠慮なくごちそうになることに。
頼んだのはエスプレッソ。そのままブラックで飲む私。
「ブラックで飲むんですか!」と少し驚くTさんに
「パリのエスプレッソは日本で飲むのより甘く感じるから。」
と言うと、ますます驚いたようでした。でも本当なんだもん。
話しているうちに、Tさんと親交のある、日本のシャンソン歌手の話になりました。もしかして……と思ってその方のお名前を聞いてみたら、東京の「パリ祭」で毎年お目にかかっていた方。お話しした事はありませんけどね。
うわ〜、こんなところでつながるなんて〜、と喜んでいる私にTさんは
「それはあなたも、彼女も行動する人だからですよ。じっとしていてもそんなつながりは出来ないですよ。」
そっか。犬も歩かなければ棒にはあたらないもんね。
この言葉が今回の旅で一番印象に残った言葉になりました。