冬を旅した〜男と女〜

February 15 [Wed], 2012, 1:06
コンサートのプログラムのごあいさつにも書きましたし、このブログをご愛読のみなさまならご存知の通り、私はタローでの無伴奏合唱バージョンの冬の旅を歌ったことがこの歌曲に取り組むきっかけになったのですが、

最後までついて回ったのが「女性が歌うの?」という言葉。
「女性が歌うなんて珍しいから聴いてみたい。」「女性が歌うなんてイメージが壊れるから聴きたくない。」これ、どちらも言われました。

でも女性歌手が歌う冬の旅のCDだってたくさん出ていますし、そんなに珍しいことではないと私は思っています。もっとも私もこの曲を深く知るまでは、自分で歌ってみようなんて全く考えませんでしたから、まあ、いいんですけどね。


昔、ウィーンで往年のバス歌手、ワルター ベリーのマスタークラスを受けたときのこと。ちょっと聞いてみました。

「女性が男性の曲を歌われることについて、どう思われますか?」

「メゾならいいと思うよ。僕の前の奥さんは冬の旅を歌ったんだしね。」


ベリーの前の奥さんと言えば、クリスタ ルードヴィヒです。そしてそのルードヴィヒの伴奏者だったのがチャールズ スペンサー。




あのときにベリーにした質問が、ここに結びついた、というのがなんとも……人生って面白いなと思います。


で、実際歌うにあたっては……これが男の歌だという事は一切考えずに歌いました。誰かに拒絶され、疎外される苦しみや悲しみって、男も女もありませんもん。
主人公の青年の気持ちを想像して、なんてことはなく、あくまで私自身の感情を素直に表現したつもりです。


こんな冬の旅があってもいいですよね。

冬を旅した〜リハーサル〜

February 14 [Tue], 2012, 0:08
今回は今の自分の力は出し切った、と思えるコンサートでした。


リハーサルは二回しかありませんでした。「周遊」シリーズで一通り本番にのせた曲ですが、歌曲というものはピアニストと一緒に作り上げて行くものです。ですからピアニストが変われば表現も変わって当たり前。


たった二回のリハーサルで何が出来るか。不安でたまりませんでしたが、よく考えたら世界のチャールズ スペンサー氏に本番を含めて3回、冬の旅を伴奏してもらえるのです。自分の決意表明を兼ねてオットに「楽しもうと思うねん。だって、スペンサーの伴奏で歌えるんやもん!」と宣言。


初めのリハーサルは先週の月曜日でした。時間は2時間。


すべての曲を通しながら、アドバイスを短く、的確に出してくれます。私は全身をアンテナにする気持ちでどんな”気配”も全部感じ取ろうと務めました。

素晴らしいピアニストというのはたとえば次はピアニッシモにする、とか、リタルダンドがかかる、とかいうのは音を出す前に「気」で分からせることが出来ると思います。

必死……でしたが、思わぬところで歌詞が落ちたりして、ちょっとしょんぼり。
「初めての伴奏と歌って新しいことがいっぱいあったんだから間違えても仕方ないよ。」と慰めてはくれましたけど。(苦笑)


その録音を聴きながら、私が歌う冬の旅の表現を練っていきました。


4日後、金曜日。

「今日はどう進めたい?」と聞かれたので

「曲間のタイミングも含めて、本番のようにやってほしい」

とお願いしました。

本番を聴かれた方はお分かりだと思いますが、曲と曲とをつなぐように、間を空けずに演奏する箇所が何カ所かありましたし、一部の終曲の孤独と二部の頭の郵便馬車もほとんど空けません。

そのタイミングで通すとまた見える景色が違うんですね……。


そして私は本番のように、いや、本番以上の120%で、とにかく自分から出て来るものを出し切ってみようと。限られた時間、そうすることが一番無駄がないと思ったのです。

私などが世界の一流のピアニストをつかまえてこんなことを言うのはおこがましいのですが、こういう気の交流、魂の交流がなくして何が音楽でしょう。


終わったらもう精魂尽き果てた感じです。彼の伴奏から「見える」景色の移り変わり、面白さ。確かに目の前に菩提樹や、不思議な光、立ち並ぶ墓標が見えて来るのです。そこから受けるインスピレーションをどう声にするのか。


結局、2回とも予定の2時間は使わずにリハーサルは終わってしまいました。でもそれで足りないとは思いません。音楽に言葉はいらない、ということを強く実感したリハーサルでした。

冬を旅した

February 13 [Mon], 2012, 1:33
廣澤敦子メゾソプラノリサイタル 歌物語第6巻 「冬の旅」
無事に終了しました。




ご来場頂いた皆様、応援していただいた皆様に感謝です。
また落ち着いてじっくり書きたいと思います。

冬を旅する

February 09 [Thu], 2012, 22:23
今回の「冬の旅」のリサイタル、恒例の曲目解説がないなあ、と思っていらっしゃる方、いらっしゃるんじゃないでしょうか。

何度も書こうとはしたんですけど、私にしては珍しく書けないのです。

ご存知のようにいつも私は専門的な解説というよりは、その曲に興味を持っていただけるようなエピソードや、自分の思いを中心に書いているのですが(専門的なことは楽譜を参照したり、実際にその音を聴いてみないと分からないことが多いですからね。)
曲目解説を通じてこの読者のみなさんとコミュニケーションしているのだと思っています。

しかし……この冬の旅というのは「コミュニケーションを拒絶する」曲なのです。
http://yaplog.jp/mezzoatsuko/archive/1922

なのでどうしても心を開いてこのブログにあれこれ書くと言う事が出来ませんでした。
タローで無伴奏合唱版を初演した時にはそれでもあれこれ書いています。やっぱり合唱の1パートを歌うという事で客観的に曲を眺める余裕があるんですよね。でも今とは全然思いが違うなあ。

月曜日はスペンサー氏との初合わせでした。

「さあ、始めよう」ではなく

「さあ、冬を旅しよう!」という言葉で始まりました。

世界の名歌手と共演されて来た方なので、しっかり踏ん張って全力で表現しなければ「ついていくのがやっと」になりかねません。

ピアノからはいろいろな音が聴こえてきます。風の音、葉擦れの音、犬の鳴き声、手回しライアーの唸り……これが一台のピアノから出る音なのかと驚くばかりです。


明日も合わせがありますが、明日は私から


「冬を旅しましょう!」


と言ってみるつもりです


廣澤敦子メゾソプラノリサイタル歌物語第六巻「冬の旅」

■2012年2月12日(日)14:00開演
■兵庫県立芸術文化センター神戸女学院小ホール
■4,000円 

■ピアノ:チャールズ・スペンサー

〜シューベルト作曲「冬の旅」全曲〜

感謝!

January 27 [Fri], 2012, 23:15


六回に渡ってお送りしました、歌物語 冬の旅“周遊”コンサート最終回、無事に終了いたしました。

私の苦手な夏から始めてしまったので、はじめの三ヶ月ほどしんどかったのです。でも回を重ねるごとに、つまり気温が下がっていくのにしたがって体力的には楽になっていきました。分かりやすい私です。

そして、プログラム作りなど、パソコン仕事も回を重ねるごとに腕を上げられたのはうれしい副産物(笑)

お越しいただいた全てのお客様、そして共演者の皆様、スタッフの方々、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

この小さなコンサートシリーズ、ちょっと気に入ってしまいましたので、次回は4月から新シリーズをお送りします。またそれは後ほどお知らせするとして‥

次は2/12のリサイタルです。

いやその前に‥


明日はメサイアのアルトソロです。気持ちを入れ替えて頑張りマッスル (あ、この表現久しぶり・笑)

いよいよ最終回!

January 26 [Thu], 2012, 11:30
8月の暑いさなかにスタートしたこのシリーズ、いよいよ最終回です。

大変だったような、楽しかったような。でも自分が目指すお客様との一体感のあるコンサート、それが実現出来て満足です。

冬の旅より
村で、道しるべ、宿屋、勇気、三つの太陽、辻音楽師

そのほか、冬に聴きたい曲満載でお届けします。

ピアノは織田寛子さんです。

入場料1,500円(お茶、お菓子つき)

場所は北堀江の「堀江アルテ」
http://www.facebook.com/pages/%E5%A0%80%E6%B1%9F%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%86/127504927351713
地下鉄長堀鶴見緑地線「西大橋」か、四つ橋線の「四ツ橋」から至近。結構便利な所です。


ランチ前のひととき、いかがですか?周辺にはお洒落な街、堀江だけあってランチ出来るところも多いですよ。


さあ〜これからプログラム作らなきゃ!多めに作ってお待ちしています!

20年ふた昔

December 23 [Fri], 2011, 23:15
「歌物語」冬の旅“周遊”コンサートの第五回目。無事終わりました。



ギターの柔らかで繊細な音色にインスパイアされることも多く、前回のアコーディオンにつづきピアノ以外の楽器と共演する面白さを十分に楽しみました。

クリスマスなので、家にあるクリスマスグッズをありったけ持って来て飾り付け……と言いたいところですが、そもそもクリスマスグッズなどあまりない我が家。



でもこんなの飾ってみたりして。クリスマストレインとでも言うのでしょうか。ちなみにこれはオットの模型ではなく、おもちゃですよ。


コンサートの中のトークでもお話したのですが、今年で私が演奏活動をはじめてから20年です。
10年ひと昔×2……。さすがにこれはあっという間だったとは言いません(笑)
細々ながらここまで続けられたのも支えてくれた家族、そしてみなさんのおかげです。 

私が声楽をはじめたきっかけは、中学生の時に出会ったシューベルトの歌曲だったんです。以来これまであまりぶれずに愚直に歌曲を歌ってきたつもりですが、それでもこの節目の年にシューベルトのこの偉大な歌曲集にに挑戦するということはなんだか原点を見つめ直す機会を与えられたような、そんな気がしています。


来月はシリーズ最終回。そして2月はリサイタル。いよいよ見えてきました。









明日です!

December 22 [Thu], 2011, 10:56
あっというまに1ヶ月。(今回は1ヶ月空いていませんけど。)

あしたは「歌物語」冬の旅”周遊”コンサートです。



ギターは西尾純平さん。
彼のプロフィールに冬の旅をギターで伴奏した、とあったのを覚えていて、お願いしたのです。
ギターソロもお願いしちゃいました。

お菓子はまたまたレアールご提供。http://blog.goo.ne.jp/leshalles

ギターの音色でほっこり、プードルをも癒す私の声(笑)でまったり、おいしいお菓子でにっこり、そんなクリスマスイブイブはいかがでしょうか。

お待ちしています。


開演11時
堀江アルテ
http://www.facebook.com/pages/%E5%A0%80%E6%B1%9F%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%86/127504927351713

入場料1,500円(お茶、お菓子つき)

後半戦!

November 27 [Sun], 2011, 1:15


周遊コンサート4回目、無事終了!

6回シリーズですから後半戦に突入ということになりいますね。

今回は10月の超多忙から抜け出て、「燃え尽き症候群」と闘うことになってしまい(苦笑)それが精神的には厳しかったです。心というものは不思議ですね。

そんななかで……。

だんだん暗譜がラクになってきたように思います。不思議ですが。詩の捉え方が掴めてきたというか。しんどくないとは口が裂けても言いませんけど(苦笑)

でも今回、実は初めて楽譜を見て歌ったのです。(いつも後半の日本の歌は楽譜を見るのですが、冬の旅は暗譜と決めています。)


これには深い(そうでもないか)ワケが。


前日、例によってプログラムを作っていたのです。でも最近Macの調子がどうもよろしくない。聞くも涙、語るも涙の悪戦苦闘をする羽目になり、かなり遅くまで起きていなければなりませんでした。

そして、このコンサートは11時始まり。リハーサルだ、なんだかんだで、6時前には起きなければならないのです。


というわけでほとんど眠れていない。


さすがに頭の芯がジーンとしてます これでトークしながら暗譜で歌うのはコワすぎるな、と思い、楽譜を見ることにしたのです。不覚。


さて、今回アコーディオンと歌ったことでさまざまな気づきがありました。一番大きな気づきは「疲れ」についてでしょうか。今日歌ったDas Wirtshaus 「宿屋」。コラール風のとても美しい曲です。

アコーディオンの音色に耳を傾けながら歌っていてふと、“彼”の“疲れ”に思いを馳せたのです。長く旅をしてきた彼の精神的な疲れ、そして身体的な疲れ。
それまで私はこの曲のレガートは、何と言いますか、もう少しピンと張ったイメージでした。でもそうじゃないんじゃないか。

実際、全曲通して歌うとなるとこの曲は24曲中、21曲目。歌い手である私も「疲れて」いることでしょう。

ではどういうレガートになるのか。

そんなことをアコーディオンのどことなくほのぼのした音色、独特の音の立ち上がりの遅さから教えてもらえたように思います。

次回はギターと。今度はどんな気づきがあるのでしょう。楽しみです。

明日です!

November 25 [Fri], 2011, 11:39
歌物語 冬の旅”周遊”コンサート 〜アコーディオンとともに〜
場所は「堀江アルテ」 午前11時開演。入場料は1,500円です。
<リンク:http://www.facebook.com/horiearte >http://www.facebook.com/horiearte

佐野真弓さんをお迎えして伴奏をアコーディオン編曲で歌います。

アコーディオンの音色から思わぬ気づき、またインスピレーションが得られたのは大きな収穫です。
後半は憧れのシャンソンに挑戦!むふふ。


この歌も歌います。


冬の旅より〜休息・霜おく髪・嵐の朝・宿屋・辻音楽師
パリの屋根の下、白い恋人たち
あざみの歌、夜明けの歌、学生時代など歌声喫茶風に.


約1時間半足らずの小さなコンサート。終わったらお洒落な堀江でランチはいかがですか?
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