9か月

July 02 [Mon], 2012, 16:34
大人になれないヤッピーのおとぎ話

 ヒュー・グラントはなぜ誘惑に負けてしまったのか。
いちばん知りたいのは、この点だ。
彼ほどの役者かなぜ9か月みたいに凡庸な映画に出演したのか。
監督はホーム・アローンやミセス・ダウトのクリス・コロンバス。
さすがにヒットさせるコツは心得ている。
かし、この作品でまた1人、個性ある俳優がハリウッドの「商品」になってしまったかもしれない。
グラントの出来は決して悪くない。
しかし、長いまつ毛をしばたかせたり、シャイな英国人風に言葉をつかえたりするのも、やりすぎれは下手なパロディーにしか見えなくなる。
 グラント扮するサミュエルは、ポルシェを乗り回す小児精神科医。
サンフランシスコでヤッピー生活をエンジョイしていたところ、5年越しの恋人レベッカ(ジュリアン・ムーア)から妊娠を告げられてパニックに陥る。
彼の逃け腰ぶりにうんざりして、レベッカは家を出て行ってしまう。
最後にはグラントも生命誕生の奇跡に感動し、親になることの素晴らしさを実感する。
だが、お涙ちょうだいのドラマとドタバタ喜劇の間をせわしなく行き来するこの映画は、自己満足的なヤッピーのおとぎ話にしか見えない。

【1995.12.6】
監督 クリス・コロンバス
主演/ヒュー・グラント   


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