『ボルベール(帰郷)』

October 16 [Tue], 2007, 0:08
'07.10.06 『ボルベール(帰郷)』@ギンレイホール

2本目。こっちの方が見たかった。ペネロペ・クルス主演、ペドロ・アルモドバル監督の映画。母子3代に渡る女性の因縁と絆の話。

「失業中の夫の代わりに家計を支えるライムンダ。彼女の留守中、娘のパウラが自分は実の父ではないと襲ってきた夫を殺してしまう。同じ頃、焼死した母が故郷の村に現れたとの噂が流れて…」という話。アルモドバル作品はいつもそうだけど、見ていて楽しい話ではない。見終わってもいい気分ではない。登場人物達は死もしくは性に関して秘密を持っている。被害者でもあり 加害者でもあったりして複雑。どの人物も辛い現実を生きている。でも、それがスペイン独特の原色の風景と、ラテンの曲の哀しくも力強い音色に乗って描かれると、妖しい強さを発して引き付けられてしまう。

前作『バッド・エデュケーション』とは逆に、今回は女性の話。女の哀しさ、そして強さを描く。2作は全くリンクしていないので、比べるのは変だけど、前作はほとんど女性が出てこない。今回は逆。もちろん出てはくるけど重要ではない。そして2作を見て思うことは「やっぱり女性は強い」ということ。

途中から想像はついてたけど、ライムンダの人生は重い。いつもおどおどしている姉はライムンダを気が強いと言うけど、強くもなるだろう。でなければ生きていられなかったはず。そして娘パウラの存在。彼女の存在がまた辛い。1番辛い運命なのはパウラかもしれない…。

ボルベールっていうのは映画の中でライムンダが歌う曲。実際ペネロペが歌っているのか不明だけど、このシーンはいい。ひょんなことから映画の撮影隊のために、友人が閉めたレストランを開くことになる。このエピソードもいい。ライムンダの肝っ玉ぶりが分かるし、なによりレストランをきりもりしている姿が生き生きしていていい。打上げパーティーの場でライムンダが子供の頃歌手を目指していた事が分かる。彼女の歌を聴いたことがないという娘のために久しぶりに歌うのが「ボルベール」 ラテンの曲は哀愁があり力強い。それがライムンダの人生に重なる。そして姉ソーレの車の中で息を潜めてその姿を見つめる母。彼女がこみ上げる涙を抑えきれない姿が素晴らしい。

ペネロペ・クルスが美しい! 前からキレイだとは思っていたけど、アクが強すぎると思っていた。でも、この映画ではその個性がピタリとはまった。ライムンダはその過去を知らなければ、ちょっとヒステリックな女と思う人もいるかもしれない。強さと危うさが同居しているとたまらない魅力になるけど、強さの方が前面に出ている。でも、それは自分と娘を守るため。その感じがペネロペの美しく強い、でも哀しい表情で演じられると痛々しい魅力となる。そしてペネロペの演技は素晴らしかったと思う。常に潤んだ瞳が全てを物語る。英語の映画に出ている時には強いスペイン訛が気になるけど、スペイン語の少し早口な言葉が彼女の強さを引き立てる。

母イレネ役のカルメン・マウラも素晴らしい。姉ソーレの所にいる時はコミカル(オナラエピソードや、ロシア人のフリとかおかしい(笑))で奔放な女性なのかと思わせたが、彼女の口からライムンダの過去が分かった瞬間にボルベール(帰郷)の真の意味が分かった。そして彼女がこれから生きていく道。そのつぐないの決心が素晴らしい。彼女の罪もまた哀しい。姉ソーレ、隣人アウグスティーナみな女性が哀しく、それぞれの逞しさ強さがあり素晴らしい。コピーに「女たち、流した血から、花咲かす」とあるけれど、まさにこの映画のイメージカラーの赤が血を思わせる。もちろん血を流してるのは女の方。いろんな意味で血を流す。そういう女の業を感じる。それがスゴイ。

アルモドバル作品はいつも映像が美しい。ライムンダが一時的にオーナーになるレストランも素敵だし、街並みもいい。夫のお墓となる湖も美しいし、なにより故郷の風景がいい。素敵だけどすべてどこか哀しげ。やっぱり上手いと思う。彼の作品はいつも主人公達の背負っているものが重くて、哀しくて、でも意外にずるかったりして・・・。とっても人間くさいけど押し付けがましくない。見終わっていい気持ちになるかというとそうではないし、どれも重いテーマでもズッシリ疲れてしまうわけでもない。人によって好き嫌いはあると思うけど、私はやっぱり好きなんだと思う。

アルモドバル作品の中では『オール・アバウト・マイ・マザー』(こちらもペネロペ出演作)の次に好き。とにかくペネロペ・クルスを見るだけでも見る価値あり。私はレズっ気は一切ありませんが、あのウルウルした瞳と、華奢な体に巨乳! 完全に男目線になってしまった(笑) ペネロペなくしてはありえない映画だと思う。こんなに作品と女優がリンクするのも珍しいかも!


『ボルベール(帰郷)』Official site
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カンヌ映画祭で最優秀脚本賞と最優秀女優賞を受賞し、各映画賞を席巻している珠玉のヒューマンドラマ。母として、娘としてのままならない人生をたくましく生きる女性たちの生き様を描き上げる。監督は『バッド・エデュケーション』のペドロ・アルモドバル。主演はアルモドバル監督と『オール・アバウト・マイ・マザー』以来の顔合わせとなるペネロペ・クルス。アルモドバルらしいビビッドな色彩の中で展開する人生賛歌を堪能できる。[もっと詳しく]

女たち、母親たちは、流した血から、花咲かす。

アルモドバル監督の前作「バッド・エデュケーション」(04年)は、かなりショッキングな作品だった。
少年時代、寄宿学校時代の、性的虐待からくる三角関係が、現実シーン、回想シーン、映画内映画シーンが織り交ざって、複雑で高度な物語構成になっている。
主人公を演じたガエル・ガルシアが、サハラという妖艶な「女性」に扮したのも、話題を呼んだ。
ショッキングだったのは、これがアルモドバル監督の半自伝的映画であったからだ。
「オール・アバウト・マイ・マザー」(99年)で息子を失った母親を、「トーク・トゥ・ハー」(02年)で昏睡状態に陥った女性に愛を捧げ...
サーカスな日々  September 12 [Sat], 2009, 4:32
べド口・アルモドバル監督(「オール・アバウト・マイ・マザー」)の作品。展開は結構ハチャハチャでコメディであり、殺しや出生の秘密、胸の谷間などがまぶされつつ、カメラ・アングルも意外にオチャラケも混じってる。が、馬鹿だなあというより、家族の繋がりや母性など女性の強さも感じられる作品で、単にコメディを観たというより、「いい」作品を観たという満足と余韻が得られ、カンヌで評価されたのも頷ける作品でした。フラメンコ(アレンジでのタンゴ)の歌など哀愁溢れる音楽も印象的。公式サイト<第59回カンヌ国際映画祭>主演女優賞は「ボルベール」の出演女優全員に - : AFPBB NewsAmazon.co.jp: Volver [Original Soundtrack] ボルベール〈帰郷〉@映画生活
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しぇんて的風来坊ブログ  August 24 [Mon], 2009, 1:38
≪ストーリー≫
10代のころ母親を火事で失ったライムンダ(ペネロペ・クルス)は、失業中の夫と15歳の娘パウラ(ヨアンナ・コバ)のために日々忙しく働いていた。ある日、火事で死んだはずの母親が生きているといううわさを耳にする。そんな中、肉体関係を迫ってきた父親を、パウラが殺害してしまうトラブルが発生し……。(シネマトゥデイ)

これも見たくて見たくてたまらなかった映画。
ペドロ・アルモドバル監督の色彩感覚と、ペネロペ・クルスの存在感が絶妙。
女は強い。でも脆い。
深く考えさせれる映画です。
あー、それにしてもペネロペは少しふっくらしてるほうが好みだなw
これは役でだいぶ詰め...
ナマケモノの穴  December 30 [Tue], 2008, 22:43
原題:Volver
真夜中寝ている父親を刺し出血性ショックで死亡させた15歳中3少女の進路希望は薬剤師、またも勉強しろ!のプレッシャー?・・これは女性賛歌の物語・・



墓石も綺麗に磨いて、こんなにお墓場が華やかで賑やかなんて初めて見る、ライムンダ(ペネロペ・...
{/kaeru_fine/}今月の頭頃からWindows Updateが急に出来なくなったマイパソコン{/pc2/}{/face_hekomu/}。
普通に対応しても解決しなかったので、昨日助っ人として友人を召喚しました{/face_nika/}。
友人がネット情報と格闘しつつ、すげぇ難しい操作をして何とか解決{/fac...
上映時間 120分
製作国 スペイン
監督 ペドロ・アルモドバル
脚本 ペドロ・アルモドバル
音楽 アルベルト・イグレシアス
出演 ペネロペ・クルス/カルメン・マウラ/ ロラ・ドゥエニャス/ブランカ・ポルティージョ/ヨアンナ・コボ

カンヌ映画祭で最優秀脚本賞と最優秀...
to Heart  January 18 [Fri], 2008, 16:23
2006年 スペイン 2007年6月公開 評価:★★★★★ 監督、脚本:ペドロ・
銀の森のゴブリン  January 07 [Mon], 2008, 19:35
 80年代までの映画のタイトルは「名作の森(外国映画)」と「名作の森(日本映画)
銀の森のゴブリン  January 07 [Mon], 2008, 18:32
映画DVD・ハ行 ボルベール <帰郷> (2006)
今回の映画DVDは、「ボルベール <帰郷>」です。
本作「ボルベール <帰郷>」は、女性たちのたくましい生き様を描いた人間ドラマです。監...
映画DVD「やわらか映画」  December 21 [Fri], 2007, 15:03
女性では無いので、女性視点で共感っていう事も無いんですが、
ペネロペ・クルスを中心とした女優逹のバランスの素晴らしさに感嘆。
流石に、昨年のカンヌで主演女優逹が、女優賞に同時受賞するだけあるなって納得。

タイトルも、VOLVERの意味が、"帰る"という意味以...
映画雑記  November 17 [Sat], 2007, 16:24
Volver

スペインの地に根ざす、三代にわたる母と娘の物語。愛情と確執、誤解を血でまぶして、やがて母は娘のもとに帰郷する。

鮮やかな色に彩られた、ペドロ・アルモドヴァルの最新作。再び全てを包み込む、女性たちの鷹揚な強さを描き出す。
knockin' on heaven's door  November 05 [Mon], 2007, 19:42
筆者の mambotaxi という名前はアルモドバルの映画の中の役名から拝借しているものだ。 著作権侵害かもしれんなあ、と思いつつ、日々使わせていただいている。 アルモドバル映画を敬愛してのことだが、そんな監督の新作がやっと登場。 
レビューを書く時間が取れず今...
That's the Way Life Goes  November 04 [Sun], 2007, 16:03


赤い赤い、赤い映画のアドモバル。
やはりこの映画も赤かったです。
ペドロ・アルモドバル監督の映画はいつも赤いイメージ。
ペネロペの服も、レストランの内装も、料理する野菜も
キッチンペーパーに染みてく血も・・・。ポスターまで赤!
今回は好きだった「オ...
It's a Wonderful Life  October 23 [Tue], 2007, 19:11

{/kaeru_en4/}地下鉄の入口かと思ったら、産婦人科の玄関じゃないか、紛らわしい。
{/hiyo_en2/}地下鉄で急に産気づいても、この病院なら間に合うわね。すごく便利。
{/kaeru_en4/}でも、地下鉄で産気づく人なんて、あんまりいないと思うけどな。
{/hiyo_en2/}そんなこと...
ぺネロぺって綺麗よねぇ?ちょっと魔性の香りがして魅力的【story】失業中の夫の分まで働くライムンダ(ぺネロぺ・クルス)。彼女の留守中に、夫が15才の娘パウラに関係を迫り、抵抗した娘は父親を刺し殺してしまう。娘を守る為に、ライムンダは必死に事件の隠匿を図るが、...
★YUKAの気ままな有閑日記★  October 21 [Sun], 2007, 8:20
「ボルベール<帰郷>」についてのレビューをトラックバックで募集しています。 *出演:ペネロペ・クルス、カルメン・マウラ、ロラ・ドゥエニャス、ブランカ・ポルティージョ、ヨアンナ・コボ、チュス・ランプレアヴェ、他 *監督・脚本:ペドロ・アルモドバル 感想・評価...
 ペネロペ・クルス(ライムンダ)は主婦。ある日、用事で長時間留守にして帰宅してみると、娘が表でずぶ濡れになって彼女の帰宅を待っていた。父(夫)が関係を迫ってきたのでナイフで刺し殺してしまったというのだ。「私がや
大洋ボート  October 20 [Sat], 2007, 1:58
2006年/スペイン 監督/ペドロ・アルモドバル
<TOHOシネマズ二条にて鑑賞>

「男たちよ、ひざまずきなさい」



徹頭徹尾の女性賛歌。そして、見事に男性不在の映画である。本作に出てくる男はみな、女性の手により葬られる。彼らが殺される理由、それは女性へ...
シネ・ガラリーナ  October 19 [Fri], 2007, 10:37
ママ!お母さん!!・・・今すぐ、私ももっと母と分かり合わなくちゃ!強くて美しい、母としてのペネロペが、くっきり鮮やかに人の心を捉える。ワーキング・クラスの女性でありながら、たくましくセクシーに、愛に溢れていて、時に疲れていて、・・・全ての母親、女性たち...
レザボアCATs  October 19 [Fri], 2007, 8:39
今週公開作・・・普通なら、「ダイハード4.0」か「シュレック3」を見るところなんだけど・・・
「ダイハード?」は先週の先行で見ちゃったし・・・
なんたって、今作はペネちゃん(ペネロペ・クルス)主演だし・・・
という事で、いつも夜は空いてる「TOHOシネマズ...
ひらりん的映画ブログ  October 19 [Fri], 2007, 3:25
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maru♪
>kimion20002000 サマ

こんばんわ♪
アルモドバル監督がゲイなのは、『バッド・エデュケーション』で知りました。
重くてスッキリしない映画ですが、なかなかおもしろかったです。

対してこの映画の女性たちの力強さがいいですね!
女系家族で育った彼には女性は逞しく映ったんですね(笑)
September 17 [Thu], 2009, 3:35
TBありがとう。

アルモドバル監督は、女系家族に囲まれて少年時代を過ごし、そして、ゲイです。

この作品は、故郷の大地と、女性性というものの、彼なりのオマージュだと思いました。
September 13 [Sun], 2009, 14:09
maru♪
>ジョー サマ

コメントありがとうございます。

よく女優が汚れ役などをやった際に使う「体当たりの演技」って表現あまり好きじゃないのですが、このペネロペの演技はまさに体当たりだった気がします。
濃い化粧の下の本当の素顔を晒したみたいな・・・。
ホントにはまり役だったと思います。
October 23 [Tue], 2007, 23:17
ベネロペ・クルスが絶品ですね。ただの美人からだんだん名女優になって来た感じで楽しみです。
October 21 [Sun], 2007, 9:26
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    ・映画-映画全般
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