「鎖」 ※(一応)試作

2006年10月30日(月) 12時36分

繋いでゆけば どこまでも長く
その鎖を伸ばすことができる

あなたの鎖骨のくぼみにも
あなたの胸のあいだにも
ぴたりと飾れる鎖ができる

けれど
それは最初から繋がれたものではない
あなたのためだけに繋がれた鎖

あなたといつか出会うと決まるまで
私は視力測定用の図柄のように
一部に切り込みの入った環に過ぎなかった

ひとつひとつ 切込の入った環
繋がることなどできるわけがない

けれど それじゃあなたに会えない

切られた部分をひねり その亀裂を広げ
先に亀裂を閉じられた もうひとつの環へ繋げ
今度は開いている方の亀裂を閉じて
ちょっとやそっとじゃ離れぬようにと
ロウ付けする

あなたの喉元に似合うまで
あなたの胸元に似合うまで

私は切られた亀裂を広げ合わせ閉じ続ける

どうかあなたには忘れて欲しい
あなたの元へ届く前の私の姿を

今 私はあなたの鎖だから

「枯」

2006年10月10日(火) 17時01分



老人の顔は見れば見るほど猿に似ている


多少の熱さにも多少の寒さにも負けない皮膚


深部まで入り込んでいきそうな深い皺


うっすらと口元に白い産毛のような髭を生やした老婆


生きてきた時間と今という時間の歪みに耐え兼ねて


皮膚に刻まれた海溝を伝う汗


既に己の為ではない 自分より若き者たちの為に


何十年も掘り下げられた井戸から汲み上げられた涙


けしてその井戸は枯れてはいない


老人の顔は見れば見るほど猿に似ている


けれどけしてその内部は枯れてはいない


彼の 彼女の 何を私たちが見たというのだろう?


深い深い井戸を持つ 私がここに在る為の先達たちの


「負け惜しみのうた」

2006年03月16日(木) 22時38分
「谷川俊太郎の詩の世界」(正式名称失念)
開催日時: 2006年03月03日(6:30PM開場 7:00PM開演)
開催場所: 東京都 (草月ホール)

TBSラジオでの放送があったのだが僕の町では聴くことが出来ず。
そんな僕の「負け惜しみのうた」。


  ときに悟りを得るまでに
  それをただ待つ坊主のように

  ときに鼻水垂らしつつ
  草むら駈けてく子のように

  捕らわれてさえいなければ
  きっと言葉はどこまでもゆける

  言いたいことに 届かぬままに
  届かぬものに 触れようと
  
  言い得ぬものに溢れているなら
  言うしかほかにないこともまた

  捕らわれてさえいなければ
  きっと言葉はどこまでもゆける

  捕らわれてさえいなければ
  きっとたましいはどこまでもゆける



  「負け惜しみのうた」 2006/03/16

『空き缶賛歌』

2006年02月13日(月) 11時28分
からっぽだったら 空き缶がいい


からっぽでもさ 空き缶だったら 蹴ったらカポンと音がする
からっぽでもさ 空き缶だったら 潰せばクシュって音がする


雑踏の中 混濁しながら 交錯しながら 模索しながら
それでも反吐のためだけに 生まれてきたんじゃないはずで

雑音の中 ハイトーンは聞きとれず 重低音も聞こえずに
それでも聴かぬためだけに 生まれてきたんじゃないはずで 


また 出来ずにいることばかりを 飽きずに数えそうになる
出来ずにいることばかりなら どこまでだって数えていける
けれどそれではどこにも行けず 身動きさえも危うくなって


いちにち一冊の本を読もう いちにち一編の詩を書こう

甘く雑な読みでもいい
駄作でどうにもならずとも
そうならば また

いちにち一冊の本を読もう いちにち一編の詩を綴ろう


カポン クシュ カポン クシュ カポン クシュ カポン


からっぽの空き缶が音を奏でる からっぽ空き缶 空じゃない音
それでも騒音叫ぶためだけに 生まれてきたんじゃないはずで


カポン クシュ カポン クシュ カポン クシュ カポン


さあ明日は カポン か クシュ か?
さて明日は なにをしようか?


眼は見開いているか?
手は掴むのに貪欲か?

飢えて満ちよ

ほしいもの知るために
ほんとに欲しいもののため

colors

2005年12月23日(金) 18時32分
海、湖、沼の水を手ですくう。
そのとき水は色を消す。


青空は遠くから見てるから。
近づけば近づくほど青空じゃない。


冬には最高気温ですらも氷点下。
そんな町に住む僕は、
リゾートではない灰色の雪と荒海が好きだ。


僕らが「夜」と呼ぶその空は、
暗い昼間なのかも知れず、
僕らが「日中」と呼ぶその空は、
明るい深夜なのかも知れない。


そして僕は何色か?


僕は鏡の色で在りたい。

ドウコウ

2005年12月23日(金) 18時32分
キミの瞳孔に僕が映るとき、
僕の瞳孔にはキミが映っているだろ?


売ってる鏡じゃ左右が逆だ。
真に己を映すのはいつでも他者の瞳のはずで。


学生時代の恩師は言った。
「ひとはひとに拠らずして己を見出すことは出来ない」。


僕は寝起きの戯れに、
ラカンの記した「鏡像段階論」を思い出す。

no name #1

2005年12月23日(金) 18時30分
ほのかに香るは越し方の追憶

ほのかに香るは行く末の花道



けれどここは僕らの戦場

朽ちても

腐敗臭は放たず明日へ

うっすら銅の香る血も

争い殺すためでなく

いつか来たりし私たちのため



そして我が身に吹かれし寒風を

めいいっぱいに深呼吸する 今

近況2

2005年07月20日(水) 8時55分
『現代詩フォーラム』 http://po-m.com/forum/


という場所で、今のところ旧作ばかりですが少しずつ「詩」を公開しています。
「どれどれ、どんなん?!」とお思いの方はご一読頂ければ幸いです。



僕は頑張ってるよ。僕は諦めていないから。

早朝の烏

2005年07月20日(水) 7時28分
そんなもんだよね。


僕、手がかかるし。
僕、結構面倒だしね。

キミがキミの時間を楽しんでいて、
なんだかそれでいいじゃんね?

キミが今きっと楽しくて、
なんだかそれでいいじゃんね?



そんなもんだよね。


でもさ、僕は必死だぜ?
誰に? んなもん関係ねーよ。

それが「この僕にさ」と言えたら、
僕も少しはカッコつけられるのかもね。



夜中の壊れた街灯も、
煙草の火消したテーブル、椅子も、
子等が帰ったあとのしんとした、
椿がたくさん咲く公園。

水と残飯があれば生きていられた。



ねえ?
キミは朝日の頃の歓楽街を知ってるかい?



それはスゲェダセーんだ。
清掃員くらいしか歩いてなくて。
あとは僕等のように始発を待つ奴等。
疲れきって酒の抜けないサラリーマン。



あれって、この世の終わりなのかな?



ただただ黒い黒い烏が、
我が物顔してゴミステーションを漁ってく。

町は烏の町だ。
太陽が僕等を責め立てる。



そして僕も烏なんだよ。





あの黒い黒い烏なんだ。

『闇夜のなかで』

2005年07月02日(土) 13時57分
闇夜のなかで
怯えて震えるひとのとなりで
その闇に目が慣れるまで
ただただ一緒に目を凝らそう


闇夜のなかで
それでも「なにか」はあるのだと
気づいてからでも見上げることは
遅すぎなんてしやしない


いきなりサーチライトで照らすな!
僕らは罪びとなのかもしれない
でも愉快犯なんかじゃないんだよ!


闇夜のなかで
それでもかたく目をつむるひと
開いてみないか? 大丈夫だよ
あなたの涙 見ないでいるから


おもいきり 赤子みたいに
泣いておくれよ スコールみたいに


闇夜のなかで
ひとりだけれどひとりじゃないと
僕を触って 温度感じて
そして一緒に見上げてみようよ


ほら 月が見えるかい?
あれはほんとは出口で入り口


月までとどけ この闇を捨て
月から出よう 光もとめて


離れていても僕のとなりで
僕と一緒に月を見上げて


太陽浴びて目が眩んだら
日陰探して夕暮れを待とう


すこしずつ すこしずつ
太陽と仲良くなって
僕らの味方にしてしまおうよ


すこしずつ すこしずつ
闇夜にちょっと手を振って
星はないけど雲を見上げて


太陽はまるで容赦がなくて
いつもどこかを照らしてる


逃げられないよ
逃げられないんだ


でも大丈夫 太陽だって夜には沈む
もう闇夜には怯えずに安らいで眠ろう


闇夜のなかで
僕はあなたのとなりにいるから
あなたも僕のとなりにいてよ
ねえ? 君に触れてもいいかい?


闇夜のなかで目を凝らせ




闇夜のなかで
闇夜のなかで







闇夜のなかで
プロフィール
name: mana
極北某市にて秘やかに生息中。
ジャンク品につき、ノークレーム・ノーリターンで何卒。
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