8)銀の森 

2005年12月24日(土) 22時30分
どんよりと冷え切った空を見上げると、目の前にちらつく氷の粒。
景色がみるみる雪に覆われていきます。
これでは木の実も野菜も見つからないね。
道に迷わぬうちに帰ろう。



気が付けば年の瀬です。
皆様良いお年をお迎えください。

2>風の憧憬 

2005年11月14日(月) 13時39分
こんにちわ、mamoです。
旅をすると世界の広さを実感します。
でも実際見てるのはほんの一部だけ。
世界の隅々まで歩き回れたら良いのにと思いながら歩いています。
あの丘を越えると町があるはず。
そしたら一休みしようね。>ラビーズ

あ、王国に残した間者(ラビ)から連絡が・・・
なに?うん、うん・・・そうそう。
 うんわかった。ありがとね。・・・それじゃ引き続きよろしく!

間者ちゃんには王国の出来事や出入国者の情報を教えてもらっています。
特に私の出国直後に来た者の行動はね。
私の持ち物を狙って来たに違いないわ。
幸い私の顔も名前も割れて無いし、隠した物もまだ見つかっていないようね。
魔法をかけたし、そう簡単に見つからないはず・・・

1>風と空と大地のリズム 

2005年11月03日(木) 11時42分
はじめまして、mamoです。
風の国を旅立って幾年月。
最初の数年は私だけだった僧侶も今では各地に派遣できるほどに。
それだけの数の僧侶が居れば私のような古い人間はいらない。
治療費の基本相場を設定したのは私なのよ♪
道は作ったのだから安心して旅立てるの。

そう、風と空と大地が私を呼んでいるから。

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まだ星の瞬きが残っている薄暗い朝
  たくさんの小動物を連れた僧侶が
  静かに王国の門をくぐりました
  そしてそれっきり・・・

  早起きの野ラビが門柱の根元で
  土を掘り返したような跡を見つけましたが
  それは土と草で巧妙に隠されており
  気が付いたのはそのラビだけでした

7)ハロウィンナイト〜蹄の音こだまして 

2005年10月31日(月) 21時50分
夜も更けてきたハロウィンの夜。
パーティー会場へ急ぐのは
仮装したちいさなハーフエルフと浜辺の騎士。
南瓜堤燈にはお菓子がいっぱい。
家回りに夢中だったおかげで
実はパーティーに遅れそうなのです。

地図を見るとどうやら町外れの森が近道のようです。

森の小道は薄暗く、時折吹き荒ぶ風は悲鳴のよう。
手にもったランタンと木々の隙間から挿す月光で
かろうじて道が見える状態。
今日の出来事を話しながら二人は歩きました。
しばらく道を進んだところでふと足を止めたのは騎士。

来た道からかすかに聞こえる蹄の音。
(木の茂るこんな細い道を馬で駆ける者などいるわけが・・・)
音のする方へ振り返ると異様な馬の嘶きが聞こえ、
一息つく暇も無く闇から黒い馬が飛び出してきました。
先行く二人を見据える黒い馬と黒い人影。
その手には不気味に光る抜き身の剣。

騎手は殺気立った剣を高くかざすと、
黒く広いマントをなびかせながら一直線に向かってきます。
近づくにつれて見えてくるその禍々しい姿に
二人は驚愕しました。
どうしても、マントの上に見えていなくてはならぬはずの
頭がどうしても見当たらないのです。
「あれはきっと『ヘッドレスホースマン』でしっ」

反射的に左腰へ伸ばした手は空を掴み、
騎士は剣を帯びていないことに気が付きます。
「しまった・・・」

こちらの焦りなどお構いなしに亡霊騎士は大剣を振り回し
みるみる間合いを詰めてきます。
とっさに騎士はちいさなハーフエルフを草陰に放り込み、
突進してくる首のない亡霊騎士と向き合い身構えました。

《首…を…よこせ…》
地獄の底から搾り出すような声を発し、
目の前の無謀な獲物に斬りかかろうと
亡霊騎士が剣を振り上げたその瞬間、
騎士は隙のできたわき腹目掛けて
持っていたランタンを思い切り叩きつけました。
ガシャンと砕ける音と共にたちまち燃え上がる亡霊騎士。

「よしっ」
転がり込むように頭上を薙ぐ刃をかわし、
そのままちいさなハーフエルフと
南瓜提燈をがっつり脇に抱え、
オイルと炎に包まれた亡霊には目もくれず、
脱兎の如く出口を目指しました。


翌朝、同じ小道を通りがかった旅人は
油臭く焦げた土と踏み荒らした蹄の跡、
そして森の出口へ点々と続く
お菓子やおもちゃを見つけたそうです。

6)良い子にはお菓子を 

2005年10月31日(月) 20時10分
Trick or Treat♪
良い子にはお菓子をあげましょう。

ちいさなハーフエルフの商人に作って貰ったハロウィンの衣装を着て、
町を彷徨う子鬼達にお菓子を配ります。

「このような服を着るのは久しぶりだな」
鎧を脱ぐと心がふっと軽くなったようです。
ここしばらく気を張り詰め過ぎていたかもしれない。
今日ばかりは気分を入れ替えて・・・

大きな袋を抱えた子鬼が戸を叩く音が聞こえます。
悪戯しないなら
金花屋のお菓子をあげましょう。

イラスト/カタバミさん

5)林檎印の雑貨屋さん 

2005年10月17日(月) 15時11分
赤い生地に黄色い林檎がプリントされたかわいらしいお洋服のちいさな商人が
周りよりもずいぶん小さな露店から顔を出していました。
品数は多くないけれど、並べ方はよく整理されているし
店自体のレイアウトにはさりげなく季節の野花をあしらえてあります。
(なんてかわいらしいお店だろう)
そう思わざるを得ない雰囲気でした。

ブリジットはその商人と軽く言葉を交わし、
おさかなぱんと名付けられたパンを買って帰りました。
(大きいのに安いし、いつものより良いかもしれない)

旅のハーフエルフである商人は先日移住してきたばかりだそうです。
これからこの王国にてどんな店を構えるようになるのか。
想像するだけで楽しみなお店でした。

4)日暮れの城下町 

2005年10月10日(月) 11時37分
町に着いたブリジットとラビはそのまま市場へ向かいます。
ここは夜遅くまで開いているので帰宅の遅い者にとって大変有難い市場です。

「ええと、まずは・・・」
毎日買いには来られないので数日分買いだめします。
買い物リストは頭の中に叩き込んでおき、同時にメニューも考えておく。
これが賢い独り者の生き方です。

露店にはいつもの如く、焼きたてのパンからパティシエのスイーツまで豊富に揃っていて目移りしてしまうほど。(季節の変わり目なので食材の種類が若干少ないようですが。)
まずは行きつけの店でクーリエの野菜を買い、その他細々した食材を買い揃えました。
しかしいつも買っているパンがどこも売り切れです。

「今日はどこも売り切れか。来るのがちょっと遅かったかな。ほかに売ってそうなお店は・・・」
市場入り口で配布しているショップリストを眺めながら通りを歩いていると、
他店とは違う小さなお店が目に入りました。

3)やすらぎの日々 

2005年10月03日(月) 22時22分
「・・・」
浜辺の風穴で寄せては引く波頭を眺めていたブリジットは立ち上がると
側に寝ていたラビを起こし、家路につきました。
「さあニャヴさん、日が暮れる前に帰ろう」

ブリジットは王国内でこの場所が一番好きでした。
打ち寄せる波の音を聞くと落ち着くのです。
風なびきの王国では移住者の居住区は城下町一帯のみと定められています。
浜辺で野宿もできますが、自宅には手塩にかけて育てているポトが待っています。
あの子はまだ小さく、ニャヴの様に外に連れ出すことができません。

街へ続く道を下りながらブリジットはラビに話し掛けました。
「途中で雑貨屋に寄り、夕食を買って帰らねばね」

2)騎士の心得 

2005年10月02日(日) 0時50分
「騎士は勇気を旨とし、
 その心を善に捧げ、
 剣は虐げられた者を守り、
 その力は弱き者を助け、
 その言葉は真実のみを語り・・・」

ある昼下り、浜辺に座り聖職者の祈りのように言葉を呟く人影がありました。
騎士たる者、いついかなる時も掟を忘れぬよう胸に刻みます。
「・・・その怒りは悪を打ちのめす」

騎士の名はブリジット。
蒼白の鎧と深緑のマントを身に纏い、
マントの留め金にはアクアマリンが輝いています。
それは祖国フィンダーガットにおける
「白銀の騎士団」のシンボルともなっており、
その宝玉には海の精であるマーメイドの加護が
特殊な呪術によって施されています。
あらゆる水難から身を守り、魔法によるダメージすら軽減するとされます。
そして(兵士の悩みである)潮風による錆から鎧を守ってくれます。

居住区から海までだいぶ距離のあるこの国では、
定期的に宝玉を清めねばなりません。
ブリジットは森で出会ったラビと共に浜辺の風穴へ通うのが日課となりました。

1)風が集う国 

2005年10月01日(土) 15時12分
風にまじる潮の香りと暖かな日差しに包まれて…

広い砂浜や美しい珊瑚の浅瀬、大きな港を有し、
貿易港として栄える国フィンダーガット。
春とはいえまだ寒さの残るある朝、一人の騎士が旅に出ました。
女王エヴーネの命によるものと言われていますが、その目的は誰も知りません。

馬にも乗らず騎士の旅は長閑なものでした。
国の背後に聳え立つ山脈を迂回し
見渡す限りの田園地帯を抜け、
いくつもの町や村を通り過ぎ、
ある国に行き着きました。
初夏の香りとは微妙に異なる不思議な風に誘われて、
騎士は王国の門をくぐりました。

風なびきの王国に辿り着いて1年。
個性的な民の住む彼方のお話。