離さない-2- 

May 18 [Fri], 2007, 14:11
1年ほどして。
茜の母親が姿を消した。

どうやら、最近知り合った男と、逃げたらしかった。

店に、茜を置いたまま、帰ってこなかった。



最初のうちは、オーナーが世話をしていたが。
そのうち、警察にひきわたすかという話になった。

「待ってください。俺が・・・俺が引き取ります」
「お前が?お前、まだ23だろ?育てられるのか・・・?」
「なんとかします!お願いします!!」

「・・・・・・」

オーナーは、暫く考え込んでいたら。
そのうち、タバコの煙を吐き出して、笑って言った。
「まぁ、お前は一度言い出したら聞かないしな。多分あの母親、不法入国者だろうし。
 いいよ。お前に任せる」
「・・・あ、ありがとう!!おっちゃん!!!」
「コラ。おっちゃんは止せ、おっちゃんは」
オーナーは、つい、昔のように呼んでしまった俺に苦笑してみせた。
「あ。すみません、オーナー」
俺も、頭をかきながら笑った。


「・・・茜?」
店から事務所に戻ると。
茜は、来客用のソファに腰掛けていた。

茜の前に膝をつき。俺は言った。
「茜。今日から、俺の家に来い」
「・・・お母さんは?」
「お前の母親は・・・もう来ねぇよ」

「・・・ふ・・・ぅぇ・・・」

ぽろぽろと。
茜の目から、涙が零れ落ちた。
俺は、強く茜の小さな体を抱いた。
「蒼・・・。お母さん、茜のこと、キライになったのかな・・・?」
「・・・・・・」
「お母さんに会いたいよ・・・。会いたい・・・」
「茜・・・。俺のトコじゃ嫌か?」
「・・・お母さん・・・」

ぐずぐずと泣く茜を見ているうち。
何故だか、俺は、無性に腹が立ってきた。
こんな年の子供が、母親を求めて泣くなんて、当たり前のことなのに。

「・・・茜」
「・・・ふぇ・・・ぇぇっ」
「髪、切ってやるよ」
「・・・え?」
「母親がいないんだし。もう伸ばしてる意味ねぇだろ?ほら、来いよ」
「だ、ダメだよ・・・。お母さんに怒られちゃう・・・っ」
怯えた表情で、茜は抵抗した。
そのしぐさに、頭に血が上った。

ダン!!!

側のテーブルに、茜を押し倒す。
「お前の母親は、男とどっか行っちまったんだよ!!
 お前よりも男を選んだんだ!!」
細い両手を、冷たい机に押し付けながら、俺は叫んだ。

途端に。
茜の顔から、表情が無くなる。
涙だけが、つぅ・・・つぅ・・・と頬を伝って机を濡らしていく。
「お前には、もう、俺しかいないんだ」
「・・・・・・」
「お前の母親が、お前に何をさせようとしてたか・・・教えてやろうか?」
「・・・・・・ア、オ?」
びく・・・っ。
押さえる手に力を込めると、茜の体が小さく震えた。

その体に、覆いかぶさるように、茜の首筋に吸い付く。
「・・・や・・・ぅ、なに・・・?」
きつく吸い上げると、紅い痕が残った。
「お前は俺のだ。俺の、だからな・・・」
「蒼・・・?」

片手で、茜の両手を拘束し。
服をめくって、白い細い体をまさぐる。
全身に紅い印をつけていく。

俺が口付ける度、小さな体はひくんっと跳ねた。


「蒼・・・ア、ォ・・・」
「茜・・・。俺のになれよ・・・」

今、ようやく。
自分の気持ちが理解できた。

俺は、ずっと。
この子供を愛していたんだ。

誰にも。何処にも。
やるものか。
・・・コイツは俺のだ。

「蒼・・・。好き・・・」
茜が、肩で息をしながら、言った。
「蒼、茜のこと、捨てない?お母さんみたいに・・・どっか行っちゃわない・・・?」
「・・・ずっとお前の側にいるよ」

俺の言葉を聞くと。
茜は、ようやく、嬉しそうに笑った。

「茜は、蒼の、だよ・・・」
「あぁ。俺のだ。俺の大事な茜・・・」
するり。
拘束していた手から、力が抜ける。
そのまま、柔らかな頬を撫で。
キスをした。



触れるだけの、キス。



それでも。
茜の唇は熱くて、柔らかくて。
今までのどんなキスより官能的だった。



ちゅ。ちゅ。
茜も、真似て、俺に口付けて来る。



「家に、帰ろうか」
「ぅん・・・」


何度目かの、キスの後。
俺たちは、2人の家に帰った。





これからは、ずっと一緒だ。





俺の茜。






絶対に、離さない・・・。

離さない-1- 

May 18 [Fri], 2007, 13:50
オレのバイト先は。
某風俗店。

この辺じゃソコソコ名前の知れた高級店で。
毎夜、金持ちのオッサンたちが女を買いにやってくる。


俺は、そこのオーナーの知り合いで。
まぁ、手伝って欲しいって言われて、俺も丁度バイト探してたんで。
3年くらい前から働いてる。

そこに、ある日。ヘンな女がやってきた。
「雇ってくださイ。なんでもシマス。」
片言の日本語。年は、21だという。
容姿は申し分なく、すぐにでも売れっ子になりそうな子だったが。
ひとつ問題があった。

女の隣には、子供がいた。5歳だそうだ。
自分が働いている間、この子を事務所に置いておいて欲しいという。
不安げに、きょろきょろと事務所内を見渡す子供。
髪は伸ばしっぱなしで、ぼさぼさのまま背中辺りまで伸びている。
薄汚れた白いTシャツに青の半ズボン。
白い肌に、ハーフなのか、日本人にしては大きな目と高めの鼻で。
まるで人形みたいに可愛らしい容姿で、この界隈のおかしなヤツらの
目に留まればそのまま売られてしまいそうに思えた。

仕方なく、オーナーも、子供を預けて働くことに同意した。

それからは、俺の仕事にこの子供の世話も加わった。
「俺の名前は蒼(アオ)だ。よろしくな?」
「・・・アカネ」
子供は、それだけ言うと、にっこりと嬉しそうに笑った。


茜は、あまり言葉が上手ではなかった。
年の割りにあまり話さないので、知能障害の子かとおもったが。
単に、今までほとんど他人と触れ合ったことがないだけらしく。
しばらくすると俺になつき、いろいろと話をするようになった。

「え!茜って男の子だったのか!?」
「うん。そうだよ?」
きょとんと、髪をポニーテールに結び直しながら茜は頷いた。
「男の子なら、髪、短くしとけよぉ。俺、てっきり女の子かと思ってた」
「・・・だって。お母さんが、この方がいいって、いうんだもん」
「ふぅん?」
「もう少ししたら、ボクも『お客さん』の所に行くんだって。それでね、お母さんを助けるんだよ」
「・・・・・・」

あの母親は、この子にも売春をさせる気らしい。

「ったく。ろくでもねぇな、あの女・・・」
ぼそり。呟いた声は、茜には届かなかった。
無邪気に、俺が買ってきたスケッチブックに絵を描いて遊んでいる。
サラサラと、俺は、茜の髪を撫でた。
最近、こうすると落ち着く自分に気がついた。
このまま、茜とずっといたいと、思うようになっていた。

ボクの想い-3- 

May 18 [Fri], 2007, 13:24
サラサラ。

カリカリ。




鉛筆を走らせる音が、やけに耳につく。



今、ボクの部屋には・・・。
と、いうか。この家には。

拓斗さんと、ボク、2人きり。



父さんと母さんは、2人で出かけちゃって、夜まで帰らないし。
天音ちゃんは、学校の用事で出かけちゃったし。


こんな状況、実は初めてだから。
ボクは、目の前の拓斗さんをまともに見ることも出来ず。

かといって、勉強に集中できるわけもなくて。


ドキドキしっぱなしなんだ。




「・・・ね?初音?」

「え?」


不意に呼びかけられて。
ボクははっとしてノートから顔を上げた。


「どうかしたか?なんだか、集中できてないみたいだけど・・・」
「ぁ・・・。ご、ごめんなさい・・・」
しゅん、と謝るボクの頭を、拓斗さんはくしゃくしゃと撫でた。
「ま、折角の休日に勉強っていうのも、気が乗らないはムリもないけどな?」
「そ、そんな!ボク、ぁの・・・」


だめだ・・・。

こんなキモチのまんまじゃ、ボク・・・。




「あ。あの。拓斗、サン」
「ん?」
テーブルの上の教科書をパラパラ捲りながら、拓斗さんが返事をする。
「相談に・・・のってほしいことが、あるんです」
「相談?」
「れ、恋愛に関して、なんですけど・・・」
拓斗さんが、急に真顔になって、教科書を閉じた。
「・・・初音、好きな子でもできた?」
コクン。ボクは、真っ赤になっているであろう顔を、縦に振る。
「へぇ?ドコの子だよ?」
「・・・・・・えっと・・・」

拓斗さんの質問に。
ボクは、ふるふると、震える手で、拓斗さんを、指差した。


「・・・・・・・オレ?」


拓斗さんが、目をまるくして、ボクを見つめる。
ボクは、たまらなくなって、俯いてしまった。



あぁ。もうおしまいだ。
きっと、もう、会ってももらえない。
話もできない。



悲しいキモチが、どんどん、どんどん溢れてきて。
目から、熱い涙がぱたぱたと落ちてきた。

「・・・っっ、ぐす・・・っ」
「初音・・・」
拓斗さんの、優しい声が、余計にボクの胸を締め付ける。
「ごめ、なさ・・・っ。ヘンな、こと、言って・・・」
ぐしゅぐしゅと、涙を拭うけれど、なかなか止まってくれない。
これじゃぁ、余計に拓斗さんを困らせてしまう。

わかってるのに・・・。

「初音。泣くなよ・・・」
「ごめんなさ・・・ぃ・・・」
「好きな子に泣かれるの、オレ、弱いんだからさ」
「・・・・・・ぇ?」

聞き間違い?
今、なんて・・・。

混乱するままのボクの顔を上げさせて。
拓斗さんは、ボクの唇に、自分の唇を軽く重ねた。
泣き顔のままの顔で、ボクは、ぽかぁんと、したまんまだ。


い、今のって、キ、キ・・・。


「オレも、ずっと好きだった」


拓斗さんの言葉に。
少しずつ。ぐちゃぐちゃだった頭の中がスッキリしていくのが分かった。
拓斗さんは、ボクの頬や額に何度もキスをする。
その度、ボクのキモチは、ドキドキから、なんだか、ポカポカしたものになっていく。


「本当は、ずっと、こうしたかった」
「拓、と、さん・・・」
ぎゅぅ・・・。たまらず、拓斗さんにしがみつく。

「もっかい。キス、させて・・・?」
コクン。ボクが頷くと、今度は、さっきよりも、しっかりと、口付けてくれた。
「・・・ん」
力が抜けて、薄く開いた僕の唇を割って、拓斗さんの舌が入ってきた。
びっくりして逃げそうになる僕の体をぎゅっと抱きしてめて、拓斗さんの舌は、
ボクの舌を絡めとって、弄ぶ。
ちゅく。ちゅるっ。
舌の絡み合う音に、ゾクゾクと震えてしまう。

「・・・は、はぁっ・・・」

うまく、呼吸が出来なくて。
ようやく解放されると、ボクはくったりと拓斗さんにもたれかかってしまった。


「大丈夫か?」
「・・・ぅ、ん」


「好きだよ。初音」
さら・・・。
髪を撫でながら、拓斗さんは、言った。



もう。
この想いを、、閉じ込めておかなくていいんだね。
好きって、伝えていけるんだね。



ボクは。嬉しくて、嬉しくて。
また涙が溢れた。




「泣くなよ、初音・・・」
「うれし、くて・・・」
「笑って?初音の笑顔、オレ、大好きだからさ」
「ぅん。ぅん・・・」



これからは、ずっと、貴方の側で笑えるね。
ボクのキモチ。受け止めてね・・・。

ボクの想い-2- 

May 15 [Tue], 2007, 9:09
遠くで。誰かがボクを呼んでる。




「・・・・・・」





ダレ?




ダレ・・・?





「はーーーつーーーねーーー」


「!!!?」



突然、眼前に顔を寄せて名前を呼ぶ相手の顔をどアップで見て。
ボクは、思わず飛び起きた。


ガツン!!!


と、同時に相手とおでこがぶつかる。

「いってぇ!!!」
「ふみゃぁぁ!???」


互いの悲鳴が、部屋の中に響いた。



「起きるなり頭突きかよぉ・・・」
「ご、ごめん!!!ごめんね?」
涙目になりながら、赤くなったおでこをさする相手に、ボクはぺこぺこと謝った。

「でも、いきなり天(テン)ちゃんの顔が視界いっぱいに
 あったから、びっくりしちゃったんだよぉ・・・」
「お前がいつまでも寝てっからだろ!??てゆーかテンちゃんって呼ぶなって
 いつも言ってるだろぉが。オレの名前は天音(あまね)だ!あ・ま・ね!」
ぷんぷん、と。白いほっぺを膨らませて、綺麗な顔とは真逆なぶっきらぼうな言い方で、
テンちゃ・・・、あ、天音ちゃんは言った。

「ったく・・・、ほんっと、初音は昔っからのんびりしすぎなんだから・・・」

ぶつぶついいながら、天音ちゃんは、ボクのベッドサイドにおいてあった目覚まし時計を
ぽいっとボクに投げた。

「もうすぐ、拓斗が来る時間じゃねーの?」



時計は、9時を少しすぎた時間を指していた。
約束の時間は、9時半・・・。


「ふみゃーーーーーーーー!???もうこんな時間!???」


あぁぁぁ。

ボクってなんでこんなにマヌケなんだろぉぉぉ。




ボクの名前は。立川 初音(たちかわ はつね)。
13歳。中1。身長、152cm・・・。超チビ。
おまけに昔から日に弱くてまるでおばけみたいに白い肌で。
髪まで母さん譲りの明るい茶色。

全然男らしくないこの容姿のせいで、ボクはよく女の子に間違われる。

そんな環境の、せいなのか。

ボクは、「お隣のお兄さん」を好きになってしまった。


香椎 拓斗(かしい たくと)サン。
ボクの家のお隣に住んでる、大学生。

背が高くって。かっこよくって。明るくて、優しくて。
小さなときから、よく面倒を見てもらったりした。

こんなキモチ、変だって思いながら。
どんどん、好きになる気持ちを、止められなかった。




でも。
この気持ちを打ち明けたら、きっと。



嫌われてしまう。




苦しいけど。嫌われるよりはマシだから、言えない。




ピンポォーーーーーーーーン。
バタバタと身支度を整えてたら、家のインターホンが鳴った。

「はいはーい」

1個上のお兄ちゃん。天音ちゃんが、ぱたぱたと玄関まで走っていく。
ボクとは全然似てない。テンちゃん。
健康的で、少し伸びた黒い髪はツヤツヤのサラサラで。
身長だって、一応160cmあるし。
学校の生徒会長なんてやっちゃうくらい、頭もよくって人望も厚い。

同じ兄弟とは思えないくらい、魅力的なテンちゃん。

「お、テン。おはよ」

拓斗さんの声。
それだけで、どきぃ!と胸が高鳴った。

「もぉ!拓斗まで!!テンって呼ぶなって言ってるだろ〜」
「あぁ。悪い悪い。昔から呼んでるからついな」
「初音〜。拓斗、来たよー」

「あ、う、うんっ!」

ぱたぱたぱたっ。
慌てて玄関に行くと。
拓斗さんが、よ、と手を挙げた。

「お、おはよぉ。拓斗サン」
「おはよ。初音」

にこぉ。
優しい、屈託のない笑顔。

今日は、拓斗さんが、ボクの勉強を見てくれる約束なんだ。
なんだか、デートみたいで。ボクはどきどきしてしょうがない。


「じゃぁ、オレ、行ってくるな?」
「え?て・・・、あ、天音ちゃん、どっか行くの?」

「・・・」
はぁー、と。大げさにため息をついて、天音ちゃんがボクの頭を小突いた。

「いったぁ、な、なに〜?」
「オレ、昨日、言ったぞ?今日は学校に用があるからいないって」
「え?そ。そぉだっけ??」

きょととっ、としてるボクを見て、拓斗さんがくすくす笑った。

「相変わらずかわいいなぁ、初音は」
「え・・・」
ぼぼぼっ。
ボクは、恥ずかしくって、真っ赤になってしまう。

「じゃ、いってきまぁーす。拓斗、初音のこと、よろしく〜」

そう言うと、天音ちゃんは、さっさと学校に出かけてしまった。






え・・・?


じゃぁ、今日は・・・。









拓斗さんと2人っきり!???






「初音?どうかしたか?」
勝手知ったる立川家。

既に家の中に入っていた拓斗さんが、ひょいっとボクの顔を覗き込んだ。


「え!あ、ううんっ。なんでも、なぃ・・・」
「そっか?じゃ、初音の部屋、行こっか」

うわわ・・・。どぉしよぅ・・・。

勉強、するだけ、なのに・・・なんだか、ドキドキしてきちゃったよ・・・。




ボクは、ばっくんばっくんいってる胸をぎゅぅっとおさえつつ。
拓斗さんの前に立って歩き出した。

ボクの想い-1- 

May 15 [Tue], 2007, 0:51
ボクには。

好きなヒトがいる。




ずぅっと、ずぅっと。
きっと。産まれたときから。



ボクは。
アノヒトが。




好きだったんだと思う。




そのくらい。


側にいるのが当たり前な。




アノヒト。




「・・・好き」




なんて言ったら。

どんな顔をするだろう?






「好き。拓斗」







夢の中でだけ。
ボクは呟く。






絶対言えない。

ヒミツのキモチ。
P R
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