もう中国だけが魅力的ではない・・・ 

May 02 [Thu], 2013, 15:43
<もう中国だけが魅力的ではない?・・>
 業務出張などで何度か中国に来て中国人と会合していると、言葉の壁は有るにせよ慣れ久しんだ漢字文化は有りがたいもので筆談が意外と有効と気づき徐々に中国に慣れてくるものです。 そして、少なからず自分がこの国で少しはやっていけそうだと安堵する事から始まり、しだいに中国人の商売に対する対面の良さから、相手を良き仲間として見るようになってくるのも時間の問題。 大した実力も無い日本人青年でさえも、相手から見れば金儲けの大看板を背負った重要な顧客です。 もちろん薄々そのことを認識している日本人であっても、いつの間にか中国人からの丁重な接待の中で浮かれ気分となるのですが、そうなってくれるほど中国人にとっては絶好のカモであり、日本人にとっては相手のペースとも知らずにすっかりはまってしまうわけです。
 
 さて、こんなことは世の中一般的な営業手法の一つであり格別な事でもないのですが、接待をする側が中国人の場合の顧客対応は、日本人が見習うべき部分が有るように思います。 要は、商談が成立するか、以降も商談が継続するのかは営業戦略上重要な事であり、接客レベルが彼らにとっては将来への投資にも匹敵するものでしょう。 それにしても我々日本人は異国人のよいしょに弱いものです。 言い換えると、海外で舞い上がっている自分が、これまでとは違った世界に生きている実感のようなものを得ることによって、いつの間にかそれがあたかも自分の実力のような勘違いの世界にはまってしまうのです。 全く、ノー天気なものです・・・・・。 赴任してどっぷり中国の会社に居る日本人は、せいぜい5年くらいはノー天気が続くと思った方が良い。 さて、一般的には5年ほど中国に赴任していれば日本へ帰国するのが常識的であるため、赴任者の大半がこの自分に気が付かないまま帰国する事になる。  日本の組織社会に戻ってからの自分は企業人としての一つの駒に過ぎないのですが、一度舞い上がった気持ちは組織の歯車的業務にはなじめず、意外と3シグマの外的存在になりかねない。 この傾向は大企業ほど強いものと思います。
 一般に日本の企業での1個人の仕事は極狭い範囲の技能や技術分野に限った業務が多く、深く掘り下げる事はあっても幅広い分野の業務を成すことはほとんどないものです。 日本では経歴20年以上の人は多く存在しますが、諸外国ではむしろ1会社に固定する概念は少なくいろんな仕事経験をしている人が多いように思います。 そして経験の中で自分の担当業務の将来性を見ており、今の会社では将来性が無いなどの判断をしては別の会社に転職したりします。 また一つの業務をこなせるようになったときにも給料アップのために別の会社に転職するのが一般的です。この考え方は日本には無いものです。

 中国の日系会社に赴任している日本人は高いポジションに付くことが多いため、中国人から見れば当然のように工場の事は何でも解る知識を持っていると思っています。 工場の班長や課長、そして技術や品質管理等から、とにかくいろんな質問が来ることが多いのです。 これらの質問に答えられない日本人赴任者はしだいに無視されるのが実情です。 とにかく答えが返ってくる日本人でなければ彼らの評価に値しない。
製造主体の構成が強い東南アジア諸国の製造会社には、その会社の物作りのINからOUTまで全てを理解し管理できる日本人が相応しいわけで、意外とこれらの実情にあった適性を満足する日本人は少ないものです。 限られた分野しか指導できない日本人であれば、各部門に赴任者を配属しなければ成り立たないことになり、固定費の増大が企業競争力の低下となるのです。  よほどの先端企業でない限りこのような会社は今後やっていけないでしょう。
 日本企業の多くが勘違いしている事は、今日本でやっている事は何でも先端技術であると勘違いしている事です。 中国においての物つくりは結構進んでおり、お金さえあれば必要な機械の大半は導入でき、かなりの先端企業を作る事が出来ます。 また、ソフト面も進んでいるため工場を稼働する事に意外と不都合がありません。 日系企業が中国に工場を持つ意味は、この国で何を作るのかが大切であり、ほとんどの場合既存の現地会社を活用するだけでも部品調達が可能であることが多いのです。 客先の誘いに乗って進出したでは後まで面倒を見てくれない事が一般的で、日本での系列関係は数年のプライオリティーは持たせてくれてもしだいに現地化され、現地一般会社がコンペチターとなってしまう。 その時になって何のために必死になっているのかと思うような日系の中小企業が多いように思います。 自分の会社にしか作れないものであればそれは日本で製造するべきであり、大企業の口車に乗せられることなくどうどうと日本生産を進めたいものです。 このように、海外で拠点を持つことの意味を、製造体系の分業化として海外展開となる一般的先進技術と国内製造とする最先端技術の二分化に分けた展開が必要でしょう。

 東南アジアでの生産戦略は一括りにしてどの国に生産拠点を置くのが最も効率的か再検討する必要がありそうです。 TPP交渉が進み関税等も廃止されてくるようでは、日系企業にとってますます親日国が有利に展開できるものと思われます。  中国に工場を持つことが一つのトレンドかのような動きが過去に有ったのは事実ですが、現実は反日感情が厳しくしかも外国企業には政府からの対応が大変厳しいのが実情です。 賃金の高騰や労働争議、また、労働者の定着率の低さや相変わらずの泥棒騒ぎ等、企業が対応する環境はすでに限界まで来ていると言えるでしょう。 輸出加工を基本とするのであれば工場はどこの国にあってもいいわけで、工場インフラさえ得られれば親日国を選択したいものです。 また、中国市場を狙う例えば自動車等の企業の場合には、本体を組み立てる企業は別として部品会社がどのような対応をするか良く考える必要が有ります。 先にも言いましたが決して中国に工場を作る事がベストではないと言う事です。
 進出した工場の技術は簡単に奪われます。 奪われるべき技術のない会社は単に中国企業と競争するために来ていると考えるべきです。 日系企業は管理力が高く品質や納期がしっかりしているのが魅力的ですが、かといって高くて良いとは言ってくれません。そこそこの価格を求められるのは当たり前で、良く間違えるのは日本での単価の85%を目標にとか言う話です。 それは日本に居る時だけの話であって、いざ中国で操業して見ると現地価格は現地の相見積もりで評価されることが多いのです。 よって現地進出の日系企業は足腰の軽い工場体制でなければならないという事になります。 仮に自社特許を持っていたとしても彼らは基本特許の期限が切れるまで待っているでしょう。 そして、日系進出企業で働いていた優秀な中国人技術者を高い給料で引き抜きます。 このやり方は韓国も同じであった事は周知の事実ですね。 気が付けば企業としての売り上げは根こそぎ奪われている事に気が付きます。 そうです、あっという間です。 企業秘密は日本から出さない事が部品加工メーカーの取るべき道だと思います。