『逃亡』 日→ギン乱 

October 18 [Sat], 2008, 18:34
「隊長ー!!体の方はどうですかぁ?」

そう言いながら乱菊は四番隊の救護詰所に顔を出した。


『逃亡』

これ隊の子たちからの見舞いです、なんて言いながら乱菊はお菓子やらフルーツやらを差し出す。

りんごをとって今剥きますね、なんて上機嫌で言う。
絶対、自分が食べたいだけなんだろう。


点滴がポタリポタリと落ちている。
チューブに繋がれた自分がやけに病人染みていて変な気分だった。

「松本。ちゃんと書類の方はまとめてあるのか?」

「もっちろんですよ、ほら」
抱えていた書類を自慢げに日番谷に見せ付ける。

生死をさ迷った人に迷惑をかけるほど乱菊は馬鹿ではない。

「お前なぁ、やればできるんじゃねえか!!普段もやれ」

褒めることなどせず、逆に呆れる始末。

えー、なんてふて腐れながらも乱菊は自分で剥いたりんごを頬張る。

日番谷は窓から空を見上げた。

青空だった。


「松本…」

「はい?」

「市丸とは同期だったんだよな?」

人づてに聞いた。

あの日…3人の隊長たちが空に消えたあの日。

自分はその場にいなかった。

最後…市丸が本音を少し見せていたと。

「…同期ですけど…仲良しってわけでもないですよ」

たった一言…謝罪した市丸の顔は今まで狐のように人を馬鹿にした顔ではなかったらしい。

「もう全然喋ってなんかなかったんですから」


その唯一、市丸の奥底をこじ開けられるのが松本らしい。

すべて聞いた話しだったが妙に納得した。


「同期以外にも…なんかあるんじゃないのか?」

空を見るのをやめ、乱菊を見た。

乱菊は困ったように笑った。

「なんのことです?」


拒絶。

この2人の関係には他人が立ち入ってはいけないような気がした。

人が土足でずかずかと踏み入ってはいけない領域な気がした。


けれど、拒絶は肯定を意味していた。

「いや、なんでもない」

あの時。

市丸と俺が戦った時、確かにあいつは俺や雛森を殺そうとした。

俺の中のあいつのイメージは、身体面ではなく精神面をずたずたにして、最も人が傷付くような殺し方をするような男だった。

だからあの時、雛森も俺も殺そうとしていた。
それは間違いなかった。

ただ、松本が現れた。

俺は何か違和感を感じたんだ。

「それじゃ隊長!!そろそろあたし行きますねー♪お大事にしてください」

りんごを一切れだけ残して乱菊は去って行った。


あの時、止めに来たのが松本じゃなかったらあいつは構わず神槍で貫いただろう。

逃げたように見えたんだ。
松本とは戦いたくない、と逃げたように。

今ならわかる。

市丸にとって松本は何か大切な存在なのだろう。

これは市丸と松本の話し。
他人の俺が踏み込んではいけない。


ただ分かったことは…

市丸は松本が大切で…
あいつも人なりな考えがあったんだということ。

あいつは何も狂った異常者ではなかったことだけ。


これはあいつらの問題だから、俺はとりあえずさっさと体調を戻さないとな、なんて思った。


実際はどうなの?
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