誰よりも美しい夜を迎えるための方法その一(スリーマンを終えて)

2012年07月29日(日) 20時17分

ここ3週間、僕はずっとカゼっぴきだった。
七月に入って僕に会った人たちは、どーも鼻声だったり、
ゴホゴホ咳き込んでいたり、あるいはアタマが痛いと呟く僕に会っていただろう。

そうさ、バカが引くといわれてる夏風邪にかかってたんだ。
そしてよせばいいのに3日前、歯医者で親不知まで抜いちまって、
おととい頭痛と吐き気と熱でぶっ倒れて、
きのうはウンウン寝床で唸ってて、
そして今朝、僕のカゼはきれいに治っていた。
七月に入ってずっと、僕のアタマをオブラートみたいに覆っていた、
あの薄い頭痛もいつのまにか剥がされていた。

あーあ、いかにもバカみたいな数日間を過ごした。

でも、この数日間より、あの日のほーがもっとバカみたいだった。
あれからもう6日間も経つのが信じられないぜ。
(コーイン矢のごとし、だ)


スリーマンライブは奇跡のような時間だった。
この夜、本棚のモヨコ、マガジンズ、BOYS&GIRLSは共犯者だった。
そして主犯は、いつも札幌のどこかのライブハウスに潜り込んでは、
彼らの映像を撮ったり、レコーディングの世話をしたり、PVを作ったりしているコーロー者である、
唾というオトコであった。
彼が、僕らに一時間ライブをしなさいとある日言ってきたのだ。
通常、ライブハウスに出演する場合の持ち時間は30分が相場である。
つまり2倍やれと、2倍やってオレを満足させてなおかつ客を入れろと、彼はそう言っていた。
事実そうなった。
まるで彼のもくろみ通りだったのだ。

この三バンドは、彼の計算通り、サイコーのライブをしてみせた。
百人がとこのお客さんの前で。

僕は、ライブハウスの二階から、手すりに顏をくっつけるようにして、
本棚のモヨコのライブを観ていた。
彼ら(彼女ら)のライブを観るのは二ヶ月ぶりのことだったが、なんのことはない、
もっとうまく、もっとかっこよく、もっとすばらしくなっていただけのことだ、
『男子三日会わざれば括目して見よ』なんて言葉があるけれど、
ノリにノッているロック・バンドなんて一ヶ月も経てばびっくりするぐらい成長してしまっているモノだ。

時は流れ、僕は楽屋で衣装に着替え、
モヨコの最後の曲を聴いていた。
僕たちマガジンズの出番は二番目だったからだ。
最後の曲が終わってすぐに、森君がステージから楽屋へ飛び込んできた。
『最高でした』と僕は言った。
本当にそう思ったから。

自分のライブの出番前に、今しがたステージを終えたばかりのバンドと、
楽屋でほんの二言三言しゃべるときの、
あのケツが落ち着かないカンジ!あれはなんて表現したらよいのだろ。


僕たちは新曲をやった。2曲もやった。
それは僕たちが考えうる限り、いちばんかっこよくて、いちばんヒップなものだ。
そうじゃなけりゃやる意味がない。
新曲の名前は何かと問われたら、
マイルスデイヴィスよろしく『call it anything(好きなように呼べ)』と言えたらかっこいいのだが、
僕は歯医者の息子じゃないし、黒人のトランペット吹きでもないから、
普通に曲名を言う。

ベイビー・トワイライト

コマーシャルミュージック
だ。

いいかい、もういちど言うぜ、

ベイビー・トワイライト

コマーシャルミュージック
だ。

ずいぶん素敵なタイトルだと思わないかね。

ベイビー・トワイライトは、渋谷系R&Bとでもいえばいいのか…
ラブ・タンバリンズっぽくもあるし、フリッパーズギターのようでもあるし、
ひょっとしたらSPEED(沖縄出身の あれだ)のようかもわかんない。
でも、いい曲だ。かっこいい。素直にそう思う。

コマーシャルミュージックは、とてもいい曲だ。
なんといってもメロディがいい。
詞も曲も、とてもコマーシャルなつくりだ。
われながら良い詞を書いた、と思う。
これはある人のことを考えながら書いた詞だが、みんなたぶんある人のことは知らないと思うので誰にも教えない。



というか、セットリストを書いてしまったほうが親切か。


1.あたしのミラクルエース
2.おかわりっ!クレージィ・フルーツ
3.あんた、ジョン・レノンのなんなのさ
4.あだむのりぼん
5.ベイビー・トワイライト(新曲)
6.ZOKKON☆たいむ 〜女の子の口じゃ言えないトコロに思いっきり××してほしいの〜
7.コマーシャルミュージック(新曲)
8.21グラムちょっとの


うーむ、我ながらどれもこれもどぎついタイトルだ。
自分の言語感覚に呆れながらもほれぼれしてしまう。
天才としか言いようがない。

さて…

BOYS&GIRLSは僕の当初の予想を大幅に裏切ることとなった。
素晴らしすぎたのだ。
『素晴らしい』までは予想していたが、『素晴らしすぎる』となるとハナシが違う。
ライブハウスの二階から、熱狂するお客さん込み込みで、
悠々とライブを眺めていようと思ったのに、
最後の『ただの一日』という曲でテンションがあがりすぎて、僕はライブハウス中程にて絶叫していた。
全然ただの一日じゃない。素晴らしすぎる皮肉だ。
あの日、ただの一日を聴きながら僕が観た光景こそが、
僕がバンドを始めた当初、幾度も夢想していた『誰よりも美しい夜』そのものだった。

なんとなく一生忘れないと思った。





その日の打ち上げで。
ワタナベシンゴ君は僕にサカナクションというバンドのハナシをしてくれた。
実はそのスリーマンの前日と前々日は、岩見沢という札幌からすこし離れた街で、
JOIN ALIVEというロックフェスが行われていて、
シンゴ君はバンド仲間らと連れ立ってその初日を観にゆき、
最後に『これ観てかえろーぜー』と軽い気持ちで観たサカナクションにとてつもない衝撃を受けたそうだ。

全部が違った。

そう言っていた。
シンゴ君は別段サカナクションのファンでもなければ、有名な曲を何曲か知っている程度の知識しかなかったそうだ。
それなのに、もう価値観を揺るがされるほどのライブになったそうだ。
LIVEはさかさまから読むとEVIL、悪魔であるが(ナンノコッチャイ)、
悪魔に魅入られてしまったのだろうかと思うぐらいに、
シンゴ君は熱弁していた。

今おれたちがああなれって言われても無理だけど、
おれたちはああならなくちゃいけないし、ああなるべきだと思った。

とシンゴ君は言った。
ああなる、の『ああ』が僕には分からなかったけど、わかった。


ああなろう。
ひとの人生を棒に振らせるぐらいの。ひとの人生を狂わせるぐらいの。
たった一時間足らずでそれだけの所業をやってのける、そんな存在になろう、と思った。


最後に、シンゴ君が言っていた言葉で印象的な言葉があった。

今日このライブを観たお客さんで、きっとバンドを始める人がいると思う。
おれ達はそれだけのライブをしたと思う。


この『おれ達』がBOYS&GIRLSだけじゃなく、
自分たちすなわちマガジンズが入っているとゆー事実がたまらなくうれしかった。
もちろんモヨコもそうだし、唾もそうだ。



まったくなんて美しい夜だったんだろうと思った。
親不知の痛みもカゼっぴきのつらさも忘れて、この夜僕はしみじみ思った。
次の日、『おおかみこどもの雨と雪』を見に行った。
感想は、うん、何つったらいいのかな…何つったらいいのかな、が感想だ。


そろそろ夏も後半戦が始まる。
スリーマン以降この組み合わせでしばらくライブがなかったら感動的だったのだが、
実は9月に入ってすぐ、ある。
まぁ、いいか。




http://www.youtube.com/watch?v=iy8bgHd5tsw


そういえば、きょう唾くんに、
マガジンズの『あんたジョンレノンのなんなのさ』という曲の映像をYOUTUBEにあげてもらった。
ぜひみてね。



ではまた会おう。
今度はふざけた日記でお会いしましょう。

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田中さん

むしろこっちが素なんです。僕はまじめな好青年なんです。
2012年08月05日(日) 20時34分
田中
今回のブログは、いつもと違ったいちめんが出ていて新鮮でした
2012年07月30日(月) 15時51分
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