前橋市新美術館問題:市議会にて

March 22 [Thu], 2012, 21:00
前橋の新美術館計画について、同じく市議会での論議です。
記者は「軌道修正」と伝えていますが、山本龍ウォッチャーの私からすると構想も発言も従来の路線で一貫しています。
ひとつには、この施設の運用方法ですが、美術品を管理・展示する旧来型の“美術館”にとどめず、舞台芸術を含む研鑽の場・発表の場として機能させようということ。
もうひとつは、「モノ」を中心とした運営ではなく、ひろく市民の芸術活動を支援する基地的な役割を持たせるということ。
このふたつは、従来から主張してきたことであり、何ら変遷はありません。

山本氏の市長選マニフェストでは「名画を飾れない美術館構想は見直し」と謳っています。
「美術館の定義」を厳密に説明すると複雑なので割愛しますが、“一定の美術館としての機能”とは即ち「収集・保存」「展示」「研究」のうちのどれか・・ということで、市長の頭の中にあるのはその内の「展示=市民ギャラリー」が念頭にあるものと思われます。
具体的には、前市長の任期中にあった「基本構想検討委員会→基本計画検討委員会」から刷新した「運営検討委員会」に委ねられると思われますが、その中でどのようなジャンルまで対象とするのか、つまり前橋市の総合芸術のコアセンターとして機能させるのか・・がひとつのポイントでしょう。

現行計画の問題点は、既に工事が進行しているあのスペースが前提となってしまっている点で、本来ならば美術作家にしろ若手アーチストにしろ、アトリエ機能やワークショップ機能を持ったもっと自由度の高い施設を求めるべきでした。
前市長が、閉鎖した商業施設の二次利用としてあてがってしまったことに手足を縛られてしまっている間隔があります。
新市長の悩みの種も、そういった制約から出発しています。



◆前橋市長、美術館構想で軌道修正
(朝日新聞群馬版2012年03月22日)
写真=代表質問で、議員の追及に考え込む山本龍市長=前橋市議会

 前橋市議会で21日、新市長になって初めての臨時議会の代表質問があった。山本龍市長は、美術館構想を取りやめるとしていた公約について、「一定の美術館としての機能はあるべきだ」と軌道修正した。

 商業施設だった建物を美術館にする改装工事は、市長選直前に始まった。山本市長は選挙期間中から、「維持費がかかり過ぎる美術館にはせず、市民の芸術活動を支援する施設に変える」と述べ、最近まで「設計も変更する」と工事中断の可能性も示していた。
 だが、この日は「美術館の見直しとはどういうことか」との質問に対し、「まず学芸員の(追加)募集を中止した。どんな人材が必要か決めた上で必要なら募集したい。次に、市民の芸術活動全般を応援できる場にはふさわしくない美術館という名称を改める。三つ目に特注品を汎用品に変えるなど工事内容を見直す」としたうえで、「工事の見直しは中断しなくてもできる。予定通り秋の完成を目指す」と述べ、大幅な内装の設計見直しは断念する考えを明らかにした。

 運営については、「芸術や教育の関係者、市民公募も入れた運営検討委員会をつくる」と述べた。「前橋市に美術館をつくってほしいというのが、市民の願望だ」と別の議員に指摘されると、「一定の美術館としての機能はあるべきだと感じている」と答えた。

 山本市長は取材に対し、「ステージをつくるなど大きな設計変更は構造上難しいことが分かった。美術館を造ることにしたというわけではない。運営については検討委員会に考えてもらう」と話した。
 前市長時代の計画も市民の美術館活動への参加をうたっており、違いが見えにくい。山本市長は公約をどこまで後退させるのか、言動が注目されている。