3 暴走?

July 21 [Sun], 2013, 10:44

「…ユーリ」

口を開いたコンラッドは、いつになく弱々しい表情でユーリを見つめる。


こんな悲しそうな表情、初めて見たかもしれない。と思った。


この感想についてはグウェンも賛成らしい。心なしか目を見開き、不思議そうに弟を一瞥した。


「うん、何?コンラッド。」

ユーリは、態度を変えることはしなかった。



あくまでも無意識下の元、本人は語ります。


あ、く、ま、で、も。

常通りに話しているつもりなので、よほどの事が無い限り、徒に態度を変えてはなりませんよ。


と念を押されていたからだ。
本当かどうかは、おいといて。


「ユーリ、俺はあなたと、本当に共に居て良いのでしょうか…」



「なにいってんだよコンラッド。コンラッドがいない眞魔国なんか、俺はいやだ。」



「…俺は、不安なのです。こんなに、日々多くの者に必要とされ生きているのが、夢を見ているようで、恐ろしくてたまらない…」



吐き出される言葉は、その場の宰相の心を刺していた。  


眉間に皺が寄り、瞬きもせず弟の言葉を待つ。



「…死んでしまった方が良いとも思いました。生まれてきたことは後悔していないです。ですが俺は…何故俺は家族にまで罵られなければならないのかと、ずっと考えていた」


「…コンラッド、」

心の奥底にあった、コンラッドの本音の第一個目は、過去のトラウマ。



「次に目を覚ましたら、実はこの幸せな日々は架空のもので、俺はまだあの戦争の中で人を殺し続けているのでは、と。…だから、」


負のサイクルに陥る寸前に、ユーリはコンラッドの頬を両手でぺちんと叩いた。


「コンラッド。そんなこと考えなくていい。俺はあんたの過去は覗き見したくらいのことしか知らない。


でも、大丈夫だって確信できるぞ。俺は戦争拒否主義だし、魔族人間差別思想の欠片も持ってない。昔のコンラッドは、戦うことでしか自分の存在理由を見いだせていなかったんだろ?でも今は違う。俺を守るって大事な仕事がある。俺のことを誰よりも真剣に見て、俺を少しでも安心させたいって思ってくれているのもあんただ。国を守る為の兵の訓練だって、あんた無しじゃ上手くいかないんだろ?」


いつものトルコ行進曲だが、優しく、一語一語をはっきりと聞かせている姿は。やはり王の資質を感じるもので。 
  

「なあコンラッド。我慢しないで、辛いときは辛いって言ってさ、苦しくて投げ出したいことがあったら投げ出しちゃうくらい、もう少し自分に甘くなってくれないかな…。」


動揺と躊躇で、肩が揺れる。



あんたは、俺に何もかも捧げすぎ。

自分の気持ちをすっきりさせるくらいの労力は、俺の為に使ってくれるな…大好きだから、コンラッドが毎日無理してるんじゃないかって思うと、申し訳なくなるんだ。傍に居るだけで幸せですだなんて、満足しないでくれよな、もっと我が儘になろうぜ?コンラッド」


少し陰った瞳が、銀の虹彩をちらつかせた。

あともう少し。


「なあコンラッド、命令。今日一日、いやあんたが気が済むまてま、したいこと何でもしていいし、言いたいことは素直に言え。遠慮は一切受け付けない。いーな?」



今まで気が狂いそうなほど我慢して、望むものは全て排除してたんだろ。


それでもはいと言わない彼を見て


アニシナさんの道具が効いていないのかと思い、もう一度指示しようとし、メガホンを見た、

そのとき。


「…ユーリ、では」


今日一日、俺から一時も離れないでください。


「おうよ。俺だってそうしたいさ!」


「…愛しています、心から」


そして、コンラッドはいつもなら部屋でしかしない、深いキスをしてきた。

勿論グウェンだって見ている。
微かに顔を赤らめて、目を逸らしてはいるが。


キスだけで蕩ける俺の性質が、露わになってしまうではないか。

しかも、まだ宵にも入らない時間で。



「…ふっ、く…ぁ、こん、ら…っ」

いつもより深く、鼻で息をすることすら叶わないくらい密着する。


息をすればコンラッドの香りが鼻につき、いらぬところまで反応してしまいそうになる自分に羞恥し、呼吸ができなかった。


それでも、止まらない。

半ば意識を失いかけたその時、グウェンが見かねて制すことで漸く口を離し、肩で息をするユーリを申し訳無さそうに抱き上げ、グウェンに向かい言う。


「…今日だけ、陛下を貸してください、グウェン。…ユーリといさせてください」

道具を使っても未だに律儀な弟に、グウェンは少し悲しそうな表情を作り、次いで常にはない優しさに満ちた笑みを零した。
 


「良いだろう。コンラート、一日と言わず、数日の間2人で居ればどうだ。旅行にでもいくと良い。執務は何とかする」

 

「…では、お言葉に甘えて。ありがとうございます、兄上」


「よし、そうと決まればコンラッド、あんたの行きたい所に行こうぜ?いっつも俺のことばっか考えてるだろ?今回は、コンラッドのしたいことをすれば良いっ」


息を落ち着かせたユーリが、上を見上げて言った。


「…ではユーリ。俺の部屋で、計画を立てましょうか。グウェン。4日ほど良いだろうか」


「ああ、構わない。小僧にとって危険な場所だけは、禁止だがな。一応行き先だけは後に教えて貰おう」


そうして、計画という名の夜の暴走 が始まった。




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