タフガイ・・・追いぼれを見たら「つわもの」と思え

December 06 [Sun], 2009, 13:26
 「Movie Walker」には登録されていない傑作「タフガイ」のレビューをこちらに書きます。…バート・ランカスター扮する72歳のハリー・ドイルと、カーク・ダグラス扮する68歳のアーチー・ロングは1955年の合衆国最後の列車強盗の罪で30年の懲役に服して出所するが、ベトナム戦争帰還兵と同様になかなか社会に順応出来ません。かつての犯罪仲間たちも身体障害者や知的障害者になってしまい今や社会のお荷物的存在で社会福祉によって生き延びている状況です。

 映画の骨子は現代の日本でも社会問題化している“後期高齢者問題”をハリーとアーチがおかれた境遇で見事に描いています。官僚組織が考案したマニュアルほど非人間的なモノはありません。後期高齢者は歯が弱っているだろうから、赤ん坊と同じ流動食を一律に取り入れ、消灯時間やTV番組にまで規律を求める。老人だって「マジソン郡の橋」のような恋をしてみたい。そんな老人たちの願いをハリーは斟酌して代弁するシーンに古今東西の官僚たちの発想の貧弱さを痛感します。

 ハリーとアーチを執拗に追跡するのが、イーライ・ウォーラックであり、「続・夕陽のガンマン」で見せた粘着質の性格を披露しています。そう言えば、「続・夕陽のガンマン」で金貨を埋めた墓の名前も“アーチ”スタントンだったなぁと“醜い奴”のキャラを楽しみましたが、皆様は如何見ましたか。更に付け加えると「ダーティハリー」のタフガイ刑事“ハリー”キャラハンと同名なのも何か意味深なものを感じます。

 老境に入ったとはいいながら、ランカスターとダグラスの背中の筋肉の発達は見事です。これは老人ホームでの筋肉マンに対するアンチテーゼであり、大胸筋を強大化させても見栄えだけであり、全てのスポーツに於いて大胸筋は不必要な筋肉なのです。一方の背筋は格闘技におけるパンチ力を始めとしてあらゆるスポーツに必要不可欠な筋肉と言えます。ジョン・フランケンハイマー監督の名作「五月の七日間」は正に、カーク・ダグラスの背筋を見せつけていました。

 クライマックスはSLを奪取して、メキシコ国境を目指すのですが、この快挙(?)の一端を担ったのが若き保護司であり、そのセリフが泣かせます。それは“チームだろ!”クリント・イーストウッドの「スペース・カウボーイ」でも同じセリフが登場します。また、二人を追っ駆けるヤブロンスキー刑事も警官隊が一斉に飛び出したときに“何だ!OK牧場の決闘か!”と叫び、二人の老人が己の存在を賭けて実行した大脱出劇に老人ホームの後期高齢者たち同様に拍手喝采する場面に、消えゆく、古き良き時代のタフガイが送るノスタルジックなメッセージを痛感したのです。

テロリズムを描いた幻の名画

December 06 [Sun], 2009, 13:19
 幻の名画「日本暗殺秘録」が、シネマヴェーラ渋谷で2009年8月30日と9月3日に上映されました。この映画は任侠映画全盛期の東映がプログラムピクチャーの制限がある時間を拡大して、142分という大作を撮った姿勢は大いに評価出来るでしょう。但し、当時の自民党幹事長から上映中止の申し入れがあった曰くつきの映画であるために、「黒部の太陽」同様にビデオやDVDで観ることが出来ない埋もれた傑作でもあるのです。
脚本は「仁義なき戦い」の笠原和夫と監督でもある中島貞夫の共同で書き下ろされたオムニバス形式の作品であり、近代日本のテロの歴史を、幕末桜田門外の変から226、特に血盟団事件にスポットを当てて、千葉真一扮する正義漢の青年が政治の荒廃によって、どん底の生活を余儀無くされる中、そこから這い上がるためにテロリズムに感化され、テロリストになるまでを緻密に描いています。

 東映オールスター出演ですが、片岡千恵蔵、以下、高倉健、鶴田浩二、菅原文太といったスター俳優たち全員がテロリストを演じ、悪役が市井の善人といった逆転のキャスティングが面白かった記憶があります。世界同時不況の2009年にあって、「蟹工船」の本がベストセラーになる現在、この映画をDVD化することは不可能に近いのかもしれません。映画館を出た観客達の目つきが異様にすわっていたことも思い出しました。 金権体質、屈辱外交、汚職、金まみれの財閥、貧困を生む格差社会の現代日本…「暗殺」ではなく、選挙による鉄槌を自民党政府は受けましたが、民主党も同じような政治を行うようでは、この映画の最後に流れるテロップ…そして現代、暗殺を超える思想とは何か…問われるかもしれません。いやぁ〜!気分が引き締まる思いで鑑賞してきました。

ファンド資本主義の罪

December 06 [Sun], 2009, 13:06
 ファンド資本主義がもたらすものはインフレです。長期的には経済効果を考えないで、株主への大幅な利益還元を要求することによって、設備投資を収縮させ、供給力不足の経済を作り出すからです。投資が増えない経済では生産性が上昇しません。ファンド資本主義的な安易な利益の追求は世界経済を極めて非効率にしていくのです。それ以上に問題なのは、短期的な企業収益を追求していけば、エネルギー産業のような投資の成果が十年以上経過しないと出てこない資源産業での投資が起きず、資源インフレが加速していくことです。資源価格が上昇すれば、資源産出国は増産投資よりも価格上昇の享受に向かいがちとなってしまいます。

 映画「ハゲタカ」では図式化された「TOB」や「M&A」も素人には分かりやすいのですが、「金のない悲劇と、金のある悲劇」という言葉をコアに、派遣社員が絡んでくるドラマは現在の社会問題も取り込んでいて好感が持てます。「金のある悲劇」は「金融」というお金があるところからお金が無いところに融資するファンドという存在であり、「金のない悲劇」は自己資本比率で欧米に劣る日本企業が銀行主導によって翻弄される日本企業(※有力企業を除く)のことを指しています。

 映画は架空の会社として断っていますが、トヨタ自動車と日産自動車を合わせたような国家的企業の「アカマ自動車」の社長が、開発途上国の中国によって翻弄されるという設定は漫画チックです。実際のトヨタ自動車は危機的状況と言いながらも、豊田家の御曹司を社長に抜擢しています。これは欧州の排ガス規制がさらに強まる中にあって、「プリウス」というハイブリッド車を持っているという強みで、世界一人勝ち状態なのですが、アメリカから押し付けられるGMの経営を只管避ける権謀術数は流石に日本を代表する会社と胸を張れます。逆に日産自動車はコストカッターのカルロス・ゴーンによって研究費まで切り詰められたので、ハイブリッド車を作り出すことが出来ませんでした。少なくと製造業については、日本的経営の非効率を咎める時代は終わりました。ファンド資本主義を市場主義の本流と錯覚すべきではありません。芝野(柴田恭兵)が鷲津(大森南朋)に語るセリフはジャパン・アズ・ナンバーワンそのものなのです。

映画レビュー総論

December 06 [Sun], 2009, 11:41
 高校生時代、大学ノートに書き込んでいた映画レビュー、「映画徒然草」をサイト上にまとめようと「ムービーウォーカー」に登録しましたが、ここでは登録ユーザー同士のメッセージ交換が中止になるようです。
私が文学や映画へ興味を持ったのは、高校生時代の恩師で、現在は別府大学教授になられた、倉田紘文教授と衛藤賢史教授の薫陶のお陰です。倉田教授は正岡子規の俳句継承者として活躍され、衛藤教授も大分県のTV局・OBSでの映画評論で有名です。
映画サイトの中では罵詈雑言と誹謗中傷の修羅場と化した「不毛地帯」のような場所もありますが、角川書店とキネマ旬報が経営するサイト「ムービーウォーカー」は映画レビューと有意義なメッセージ交換が出来る素晴らしいサイトだと思っていただけに今回の処置は非常に残念でした。
私は意見交換が不可能になってしまいましたが、映画レビューは「ムービーウォーカー」に投稿しようと思っています。よって、「不毛地帯」から「沈まぬ太陽」のようなサイト「ムービーウォーカー」へ引っ越される方は大歓迎です。千客万来。以下は私の映画の履歴書です。

@両親同伴で最初に観た映画=「山椒大夫」
A自分の意思で最初に観た映画=「愛と死をみつめて」
B何回観ても面白い映画=「七人の侍」「仁義なき戦い」「夕陽のガンマン」「007・サンダーボール作戦」
C初デートで観た映画=「戦争プロフェッショナル」「地獄のガンマン」二本立て興行
D妻と初めて観た映画=「エイリアン」
E“能”に興味を抱かせた映画=「蜘蛛巣城」「影武者」「乱」
F“哲学”に興味を抱かせた映画=「地獄の黙示録」
G“基督教”に興味を抱かせた映画=「チェンジリング」「ミッション」「ベン・ハー」「エクソシスト」「ミスト」

◎職業
会社役員(一級建築施工管理技士・解体工事施工技士・宅地建物取引主任者)
◎趣味
映画鑑賞、読書、アウトドア、音楽鑑賞
◎好きな映画監督
黒澤明・深作欣二・内田吐夢・黒沢清
◎好きな映画監督
サム・ペキンパー/クリント・イーストウッド/セルジオ・レオーネ/ルキノ・ヴィスコンティ
◎好きな遊び
サルサ・登山・ダイビング・ヨット
◎好きなキャラクター
ダグラス・モーティマー大佐(夕陽のガンマン)/橘真一(網走番外地)
◎好きな古典芸能
能(観世流)・落語(初音家左橋)
プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:m-makisaka
  • アイコン画像 性別:男性
  • アイコン画像 誕生日:1952年2月25日
  • アイコン画像 血液型:AB型
  • アイコン画像 現住所:東京都
  • アイコン画像 職業:専門職
  • アイコン画像 趣味:
    ・ダンス-サルサ
    ・アウトドア-登山・スキンダイビング
    ・映画-全般
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