『松本清張傑作選(3)原武史オリジナルセレクション』

February 06 [Sat], 2010, 17:06
心中への出発を東京駅で目撃された男と女、鉄道の旅の途中に顔を見られたことを恐れている男…松本清張の鉄道小説セレクション。


実は6篇中3篇が再読だったけど、またまた面白く読了しました。初読は「顔」と「万葉翡翠」かな。ちょっと微妙なのが「拐帯行」です。読んだような気もするけど、読んでないような気もする。松本清張の短編は似た設定を繰り返す(ただし趣向や結末は毎回違う)ことがあるので、他の作品と間違えている可能性もあるような…うーん。判然としない。
先日ドラマ「顔」で肝心の部分を見逃したこともあって、じっくり読んだのだけど、なるほど、こういう話だったのか。これも『仮定』ができるはなしですね。もし、井野が動かなければ、どうなっていたのか。それさえなければ、そのまま忘れていたのではないか?あるいは、やはり破局は訪れたのか?その微妙なところが喉に引っかかった小骨のように、すごく気になります。分量は少なめでも、読み応えありました。

★★★★☆


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相棒シーズン8第十四話「堕ちた偶像」

February 03 [Wed], 2010, 23:11
盲腸で入院したたまきを見舞った特命係は、骨折のために入院していた少女・七海から、土曜日の夜に若手代議士・江嶋から声をかけられたと聞かされる。江嶋は新政権を担う公民党のホープで、美戸川公害事件の救済法案を担う人気議員だ。本人を知る神戸は少女の言葉を疑うが、右京は七海が声をかけられたという現場に出向く。すると、七海の母の職場があるというビルに米沢が来ていた。政治汚職などを主に取材するジャーナリスト・安田の事務所が同じビルにあり、安田も同じく土曜日に殺されていたのだ…。



七海ちゃん、どっかで見たんだが。何だっけ?
…と思ったので調べてみたら、おお、そう言えば9係でも見た気がするぜ。


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『マックス・ペイン』

February 03 [Wed], 2010, 21:39
妻ミシェルと我が子を惨殺された事件の捜査でトラブルを起こし、閑職に回された刑事マックス・ペイン。だが、彼は現場から逃走した三人目を探し出すことを決意していた。ある日、妻を襲った男の一人と組んでいた薬物中毒の男を捕らえるが、奇妙な翼の話をするばかりで、肝心の情報は引き出せない。さらに情報源の男のパーティーで知り合ったナターシャという女が惨殺死体で発見される…。


ネタの目の付けどころは良いものの、処理の失敗で駄作に転落。もっと上手なシェフの手にかかれば良かったのにねぇ…。
まず、情報の区分が下手。人物の主観的情景なのか、それとも第三者の客観的視点なのかが判然としないため、最初は「刑事ものなの?それともオカルト映画なの?」って感じだ。不気味さを演出するつもりで冒頭をそのようにしたのなら、まだいいが、それを徐々に判然とさせていく手続きが取られていないので、ゴチャゴチャしてしまい、物語に入り込み難い。薬物中毒の人物が一人の時と、主人公が同席している時とを、もっと上手に切り替えてもらわないと、何の事前情報もない人間は『フェイク・シティ』なのか『コンスタンティン』なのか悩まされて困る。
あと、これいつの時代なの。捜査資料がまったく電子化されてないし、登場する刑事は『L.A.コンフィデンシャル』みたいな印象なのに、銃火器は最新式だし、超薄型ノートパソコン(林檎ちゃん)がデスク上に置いてあったり、その割に携帯電話の登場回数が後半に入るまですごい少ない。
もはやカオス…というか、どうも「製作側も途中で何が何だか訳わかんなくなっちゃった☆」みたいな感じがするのは気のせいですか?ごった煮という手法は、味が良くないと料理としては失敗なのですが。その辺り、わかんなかったかなぁ。



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1月の読書まとめ

February 01 [Mon], 2010, 21:18
新年の読書初めの1月まとめ分。
いつも通りの読書ですが、司馬遼太郎とか松本清張とかアガサ・クリスティとか、今年は頑張って追いかけてみようと思います。


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『天使と悪魔』

January 31 [Sun], 2010, 16:24
教皇が死去し、コンクラーベが始まろうとするヴァチカン市国で、四人の枢機卿が誘拐された。研究所から盗まれた爆発物を仕掛けたという秘密結社イルミナティの脅迫を受けたヴァチカンはラングストン教授は招聘、早期解決を図るが努力空しく最初の殺人事件が起こる…。


ダン・ブラウン原作の映画は、なぜ、始まった瞬間に犯人が大暴露状態なのか。そして、犯人の末路まで予想可能なのはなぜなのか。実は結末まで細部にわたり予想が大正解しましたけど、何か?
まず気になる所。厳戒態勢のヴァチカンで有力枢機卿が誘拐されたら、誰の目にも内部犯行なのバレバレじゃないか(なぜ誰も突っ込まないのか、突っ込んで聞いてみたい)そもそも、配役が怪しすぎます。それから、ラングストン教授も専門家のわりに素でボケかましすぎで(ダヴィンチの時も底抜け天然ボケだったし)どうしたらいいのかわからない。もっと上手く騙してほしいんだけど、視聴者を一切騙せてない辺りが痛恨。誰かヘルプ。あと、不用意に人殺しすぎてるのもリアリティ激減。しかも、最後の方で実行犯があっさり○○されたのにはビックリした。バカでもわかるあんな罠に無邪気に引っ掛かる殺しの専門家なんかいるはずないじゃーん、と脱力。
見どころは、ヴァチカン観光案内くらいか。小学生の頃よりベルニーニの「聖女テレサの法悦」が大好きだった私としては、ベルニーニを引っ張り出したことには高評価。でも展開はありえないくらい凡庸だった(原作が無名だったら企画も通らなかったと思う)ので、ベルニーニが可哀想。とりあえずヴァチカン観光案内映画と思って地図を片手に楽しむといいかもしれない。ちょっとヴァチカンに行ってみたくなった。でも、美術館は予約しないと入れないんだってねー。それも微妙…。



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『春にして君を離れ』アガサ・クリスティ

January 29 [Fri], 2010, 22:08
優秀な弁護士である優しい夫、独り立ちしていった子供たち。幸福な家庭を築き上げてきた自分に満足していたジェーン・スカダモアは、娘夫婦を見舞った帰路、女学校時代の友人で見る影もなく哀れな老女と化したブランチと出会う。改めて自分の幸福に酔うジェーンだったが、鉄道の遅れで砂漠の真ん中の宿泊所に足止めを食らう内に、ブランチとの会話を思い出し、疑問を抱き始める…。


解説の栗本薫は「怖くて、哀しい話」と言っているが、私には「嫌な話」である。猛烈に嫌な話である。ただ、一方でこれを読んで「どこがそんなに嫌なのか、怖いのか全然わかんな〜い」などと言う女とは、できれば近づきたくないと思う。そういう意味でも嫌な物語で、はっきり言って嫌すぎる物語である。もう勘弁してくれ、こんなの嫌すぎる。
まず、ヒロインが嫌である。絶対に実在する!と思わせるリアル臭がプンプンしてるところなんか、もはや恐怖に近い嫌さ加減である。次にヒロインの夫が嫌である。こいつがまた実在しそうな男なので、かなり嫌である。三人の子供に関しては、そこまでの嫌悪は感じない(ああいう母親は子供の言葉など理解しようとしないから、忠告しても無駄なので、子供は逃げるしかない)のだが、それでも「ちょっと嫌だなぁ…」と思うのである。つまり、メイン登場人物の全員が『嫌な奴』で、しかも『ほぼ確実に実在する奴』なのである。嫌すぎる。
…と、全方向的に嫌な奴ばかりなのだが、不思議と『ホロー荘の殺人』より我慢ができた。むしろ、個人的評価としてはこちらの方が断然上である。でも、なぜだろう?
この『春にして君を離れ』は殺人など起きない。どこにでもある夫婦、親子、家庭、友人関係。それだけ。だから、余計に怖い。イメージしてみましょう。自分がジェーンだったら…。恐怖のあまり夜も眠れない。じゃあ、逆にロドニーになってみよう。俺はロドニー…って!すごく嫌!猛烈に嫌!誰か助けてー!
でも、こういう親子関係、ありそう。絶対、ある。というか、個人的に心当たりがいくつかある(それがまた嫌なんだぁ)たぶん、自分の親の手許に秘かにこの本を放り込みたい人も大勢いると思う。いるよ、絶対。
見た目は美しい邸宅なのに、内側は廃墟。一見すると幸福そのものの家庭、けれども誰も知らないだけで、実はすでに関係性の破綻してる家族。これが一番、危ういのじゃないか。そして、実は現代社会においてもっとも多い問題家庭のタイプなのではないでしょうか。
とりあえず、他人のフリ見て我がフリ直そう。ジェーンにならないための方策、あるかなぁ。とりあえず、誰かが何かをしてくれたら、例え結果は自分の手柄であっても過程の協力者に「ありがとう」を言える人間になる。これでどうでしょう?独り善がりから一歩抜け出せないかしら。
ついでに。
読んでいる間、ずっと脳裏に『欲望という名の電車』が浮かんでました。あちらのヒロインの名はブランチ。こちらでジェーンが出会う友人の名もブランチ。ふと、そんな共通項にいろいろと考えてしまったりした。

★★★★☆


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相棒シーズン8第十三話「マジック」

January 27 [Wed], 2010, 22:26
たまきに誘われて、ミスター・アキのマジックショーに出かけた右京。ところがマジックの途中でアキの弟子・沢田がブリッジから転落死するアクシデントが発生する。当初は事故と思われたが、被害者が氏名を偽り、アキの妻との親密な会話を録音していたこと、携帯電話のアドレス帳に探偵事務所を登録していた事実から、右京は彼が探偵事務所の別れさせ屋であったことを突き止めた…。



ハジメくん、ええ子や…(涙)

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『松本清張傑作選(5)宮部みゆきオリジナルセレクション』

January 27 [Wed], 2010, 20:31
冴えない学者の悲劇、不幸に生まれついた父親の軌跡を辿る息子…。松本清張が描いた男の肖像を、宮部みゆきが選んだ傑作選。


もっとも多く描かれるのは、旧家に生まれながら養子に出され、貧乏なまま死んでいく父親。どこか松本清張自身の父親の姿を思わせる父親たちではあるけれど、それぞれに息子の辿る運命は違う。自分が妙に感情移入したのは「父系の指」かな。なんか、嫌な感じで同調しちゃって、読んだ後しばらく、自己嫌悪だった。残酷さという意味でなら「月」も、相当にひどかったけど。不思議と一番印象に残ったのは「父系の指」と「ひとり旅」と「暗線」かな。それにしても、似たような設定が「これでもか!」って繰り返されているところが、何とも。人間、自分からは逃げられないのかな。
あと、やっぱり松本清張にとっては『人間の感情の揺らぎ』こそが最大のミステリーだったのではないかなぁ、と勝手に思ってみました。そして、たぶん、そこには自分の中の『恨みつらみ』などの感情もあって、それを抱きながらも冷静に見ようとしていたのではないか、と。勝手に忖度するな!と一喝されてしまうかもしれないですが(苦笑)

★★★☆☆


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『ナイルに死す』アガサ・クリスティ

January 25 [Mon], 2010, 20:11
新婚旅行でエジプトに向かった美貌の資産家リネットと夫サイモン。しかし、リネットを選んだサイモンに捨てられた前婚約者ジャクリーンは恥も外聞もなく二人につきまとう。そしてナイル河クルーズに出た時、ついに破局が訪れる。酒に酔ったジャクリーンがサイモンの足を打ち抜き大騒ぎになった夜、何者かによってリネットが殺された!しかし、容疑濃厚なジャクリーンには看護士が、骨を撃たれたサイモンには医師が、一晩中一緒であった。動機は金銭か、信条か、愛情か…果たして名探偵ポアロが暴き出す真相とは!?



昔々の哀しい話。
大学生だった私は深夜に映画『ナイル殺人事件』が放送されると知り、さっそく録画予約をして出かけました。翌日の夕方、帰宅した私はさっそくビデオを巻き戻しました。すると!なんと!……巨人戦のせいで大幅に放送時間がずれ込んでおり、リネットが殺害されたところで、録画が終了してましたー。

あの時ほど、読売ジャイアンツの滅亡を願った夜はなかったね。もう爆撃したいくらいだった。

というわけで。
映像化されたのを見ていたので、真相はわかっていたのですが、動機面で納得しにくい部分がありました。この度、原作を読んでようやく納得。そういうことだったのか。しかし、これほど頑張っちゃえるものなのか。頑張っちゃうのかなぁ。でも、やっぱりそれなりに面白かった。

★★★☆☆(3.5)


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『人魚は空に還る』三木笙子

January 23 [Sat], 2010, 21:06
「しずくは観覧車に乗りたい」
理不尽にも富豪夫人へ売り渡されることになった幼き人魚は、だが、観覧車から忽然と行方をくらました。それは、まるでアンデルセンの童話の如くであった…(表題作あらすじ)弱小雑誌の記者・里見高広と、美貌の天才絵師・有村礼が、帝都に湧き起こる不思議の欠片を謎解きする帝都探偵物語シリーズ第一弾


若干801向け帝都逆転ホームズ譚。…というと語弊がありすぎるか。しかし、表紙のイラストがイラストだからな、ついBL文庫かと目を疑うよ。別にBLそのものは平気なんだが(おもしろければ)ま、設定そのものが腐女子向けであることは、少々狙いすぎの感じもあるが、醜男絵師じゃあ食指は動かんよな。やっぱり美形でないと。
登場するのは、英語ができる雑誌記者・高広と超絶人気天才絵師(美人画専門)の美男・礼。気難し屋でタカビーな礼だが、ホームズ譚が大好きで、ストランドマガジンを高広に訳してもらうのが何よりの楽しみ。一方の高広は腕っ節も強い癖にちょっとヘタレで、礼(の美人画)の大ファン。そして、高広がちょっとした謎解きの才能を発揮したことで、礼は高広を大好きなホームズに例え、自分がワトソン役を務めるようになる。
…という基本設定が最初なかなか飲み込めず、迂闊にも礼がホームズ役かと思ってた。その辺、早い段階でもうちょっと解りやすい説明が欲しかったです。冒頭で「タカビーとヘタレ」の性格設定を説明しすぎてて、こっちは「俺様受けとヘタレ攻めかよ!それで、探偵は受けなのか攻めなのか、どっちだよ?」と。特に、礼が「ホームズの熱心なファンである」と書かれているせいで、礼が探偵役かと勘違いした。個人的に「高飛車ワトソンが気弱なホームズをたきつける」という設定は好みであるので、この混乱は非常に残念でした。もう少し冒頭でホームズ・ワトソン役を明瞭に示してほしかった。
他にも、高広が理想を語る言葉が取って付けたような唐突さだとか、随分と近代的発想だとか、家庭事情(裏設定とも言える)が早々に登場したのもちょっと残念だ、とか。怪盗を第一巻で使い捨てるの止めてー!とか。動機が金銭関係ばっかだな、とか。言いたい不満はいろいろあるんですけどね。
でも、好きです。おもしろかったです。デビュー作だし、別にBLじゃなかったし(笑)ややBL臭いところはありますけど、大目に見れるレベルですね。昨今の一部ホワイトハート文庫よりは良心的だと思う。
基調は謎解きよりも人情話ですかね、やっぱり。いわゆる時代小説の短編連作と同じ感覚で読むと馴染み易いかも。明治らしくない、みたいな評価もあるみたいですが、浅草十二階とか未明とか真珠とか相場成金とか、それなりに時代の空気を入れていて一応は充分かと。特に未明は「おおっ!」と好感触でした。ちゃんと登場の時に気付いたよ!


★★★☆☆


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らっきーからー。
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