EUNOS ROADSTER HISTRY -Part6- その1

July 14 [Fri], 2017, 15:54
ロードスター・NA歴史のトリを務めるのはメカニズム解説をおいて他にあるまい、よって、今回はNAのメカニズムについてお送りしたいと思う。
要は、正真正銘のユーノス・ロードスターのプロダクトたる原点がこれである。
今更、余人が何をもっともらしく語ろうとも、これ以外確かなものは存在しない。
NAが、どの様な欠点を持ち、NBでどの様に改良されるかは、NBのメカニズム解説を気長に待っていてほしいと思う。

掲載紙は前回同様“モーターファン別冊 生誕25周年記念 歴代マツダ・ロードスターのすべて”から“◇メカニズム詳密解説◇”を転載する事にする。テキストは今までと同様にオリジナルに忠実に再現し、解説:星島 浩 殿のものに一切手を加えず原文のままとしてある事も合わせて記載しておく。(ただし、極力注意したつもりであるが、筆者の誤字脱字は免除して頂きたい。)


◇メカニズム詳密解説◇
コンパクトに凝縮されたシンプルなメカ
エンジン、ミッション、サスペッション、そしてブレーキ−そのどれもが、最近のクルマとしては極めてオーソドックスなメカニズムだ。しかし、それらが1台のクルマとして機能するとき、かつてない独特の“走り感”を創造する。

徹底した軽量化と前後重量配分へのこだわり
ユーノス・ロードスターはマツダが世に送り出すフルオープン2シーターのスポーツカーである。
世界に十指に数えられるビッグメーカーが、この種のスポーツカーを生産することは極めて異例だ。すでにラインアップされているスポーティなクーペををベースに、下半身を補強して屋根を取っぱらうオープン化はすくなくないが、最初からオープンボディで出発するのは珍しい。

外形サイズや搭載エンジンの排気量から見て、ユーノス・ロードスターがライトウェイト・スポーツのカテゴリーに属するのはいうまでもない。
全長3970mm、全幅1675mm、全高1235mmの外形寸法は低い全高を別にして、ほぼ現行の大衆的経済車なみだ。ただし、ホイールベースは現行大衆車よりかなり短い2265mm、ちなみにファミリアは3ドアでさえ、おおかた同じ全長に対し2450mmのホイールをもっている。
トレッドは前/後が1405/1420mmで、FFのファミリアに対しFRの違いこそあるが、むしろスポーツカーのユーノス・ロードスターの方が狭い。

搭載エンジンがファミリア用をモデファイした1600ccであり、外形サイズからファミリアと比較したくなりがちなのだが、基本的なFFとFRの違いは大きいし、2シーターと後席をもつ乗用車のパッケージング・コンセプトを同じ次元で論じることはできない。

スペース効率を追求した横置きエンジンのFFレイアウトに、それなりの存在意義があるこては論をまたないが、発想をガラッと変えて、クルマの新しい楽しみを追求したら、どうようなレイアウトが望ましいか。
クルマ好きの夢を実現し、クルマを意のままに操るために、必要でないものを徹底的に排除したらクルマはどのようなレイアウトになるか。
スペース効率追求の姿勢からみれば、ユーノス・ロードスターには、2名分のコクピットとコンバーチブルトップを収める空間しかない。それでいいという考えかたを出発点にしないと、小柄なスポーツカーは成立しない。

同じ全長に対しホイルベースが短いのだから、前後のオーバーハング寸法は大きいが、2シーターに徹することで、フロントアクスルに対する縦置き4気筒エンジンの搭載位置を後退させ、隔壁も後退させて、着座位置を低くし後ろに下げている。

基本レイアウトを見ると、このクルマの特徴がいくつかある。
スポーツカーに望まれるFR駆動システムはもちろん、高い運動性能を得るためには1名または2名乗車時に、前後の重量配分を理想的な50対50としたこと。
単に50対50であればいいというわけではない。高い操縦性能を発揮させるには、前後重量バランス以外に、ヨー慣性モーメントを可能なかぎり小さくしなければならない。

全体的に低いが、相対的にはFFファミリアより大きくなっているオーバーハング部分をできるだけ軽量に納めなくてはならない。
たぶんセダンでは許されなかったであろう。前輪軸に対して後退させたエンジン搭載位置や45lの燃料タンクを座席背後の、床下というより背中に担うように位置にしてでも、後車輪より前に収容した。重いコンポーネンツを可能な限りホイルベース内に納めるためだ。
アルミ製のボンネットフードやラジエーター採用、軽量バッテリーを選び、その収容位置をトランクルームの奥にして、できるだけリアオーバーハング部分を軽くしようと努めた跡もある。
アメリカ安全基準の5マイルバンパーを採用しているが、閉断面を2つ持つなどで軽量化。従来の設計手法に照らしてヨーモーモントは15%くらい小さくなっているはずだという。


自然吸気でレギュラー仕様、可変吸気も持たない“サッパリ”したエンジン
 搭載エンジンはB6-ZE「RS」と呼ばれる。新開発となっているが、ファミリアのGT機種に継承起用されているB6・DOHCのモデファイ版と考えていい。かってファミリアがFF化したには、それまで縦に置いていたエンジンを横置きにモデファイしたことがあるが、今回は逆だ。
 むろん基本は同じ、ボア78mm、ストローク83.6mmの1597ccで、ボア寸法やシリンダーピッチは現行ファミリア1500とも共通だ。
 シリンダーブロックは曲面化した外壁をもつ鋳鉄製で、現行ファミリア搭載時点で、かなり大幅な改良工事が施されている。
 補強リブ追加など本体の剛性向上のほか、ベアリングキャップの振動抑制のためにメインベアリング・サポートプレートを開発、さらにエンジン下部とクラッチハウジングの結合剛性を高めるとインテグレート・スティフィナーを開発採用したものだ。
 オイルパンは、ファミリア同様冷却フィン付きのアルミダイキャスト製で、後部はトラスミッションケースにボルト止めされ、ねじれに対する駆動系の剛性を向上させたという。
 ファミリアの1600GT系に搭載されたB6には現行モデルからラインアップに加わった1500DOHCと差別化もあって、かなり高度なメカニズムが織り込まれている。圧縮比が10に高められているし、ノックセンサー(注:原文はノックセンタ)付き。可変吸気システム=VICSも備えている。
 最高出力は130ps/7000rpmであり、最大トルクもわずかに「RS」より大きい14.1kgmを5500rpmで発生する。当然コストがかさむが、ファミリアの場合は同級1600ccライバル車たちとの格差で商品力が劣っては困る。
 その点、ユーノス・ロードスターは、輸入車マツダMX-5ミアータとの共通化もあるが、必ず会いも10ps低いマキシマム・パワーが商品力に影響するとは思えないという営業サイドの読みがある。絶対的な最高出力の値より、パワーを体感するまでのプロセス、レッドゾーンまで気持ちよく吹き上がるレスポンスを重視したという。「馬の数より(?)トルクを実感できるドライビリティ」だと。
 120ps/6500rpm、14kgm/5500rpmで十分目的が達成できるという主義である。
 圧縮比を9.4にとどめ、ノックセンサーやVICSも使わない。その代わり、生産コストが安くてすむし、レギュラーガソリン使用だからユーザーの負担も少なくてすむという考えかただ。
 構造はほぼ常識的なDOHCで、頭上2本のカムシャフトはYU=丸歯型のベルトで駆動される。
 クロスフローの吸排気系、各気筒4バルブの挟み角は50度。バルブ口径は吸気31mm、排気26.2mmで、いわゆる直動式だが、バルブリフターにはバケット製HLA=ハイドロリック・ラッシュアジャスターが組み込まれている。
 初期制動を維持できるメンテナンスフリーのほか、騒音低減効果もあるはずだ。
 83.6mmの長いストロークをもち、7200rpmまで回そうというのである。高回転域のバルブ追随性には気を遣ったようで、バルブスプリングはレモンに似た断面形状をもつ。


出力特性は高回転域重視
 バブルタイミングはスポーツカーらしい高回転型のセッティングで、吸気が上死点前5度で開いて下死点後51度で閉じ、排気が下死点53度で開いて上死点後15度で閉じるから、最近のエンジンでは大きな部類のバルブオーバーラップ20度だ。なお、バブルリフトは吸排気とも7.8mm。
 燃料噴射システムは、電子デジタル制御のL-ジェトロニックで各シンリンダーごとに1個のインジェンクター。インテークマニホールドは径40mmではじまり、中間38mm、最終ポート部で34mmとしだいに絞り込んでいる。インテークマニホールド入り口部分を大きく開けることで流入抵抗を減らし、中低速度で吸入空気の流速抵抗を減らし、中低速度で吸入空気の流速を高めながら、高速域ではラム効果を得る最適チューニングに成功したという。
 とはいえ、試乗記に指摘したとおり、トルクカーブは4000rpmを超えてからグンと盛り上がり、低回転域のトルクは比較的痩せている部類だ。ATとの組み合わせがなく、5速MT専用ならこれでいいとの判断にもなる。
 燃焼室はペントルーフ型。点火プラグは中央頂点に位置している。
 点火はディストリビューターなし。進角はコンピュータ制御だ。
 クランクシャフトは8個のバランスウェイトをもち、5ベアリングで支持。高回転に耐えるべくフライホイールは慣性の小さなものが用いられている。
 横置きエンジンとまるで異なる形状が排気系だ。エキゾーストマニホールドと排気管はステンレス製で、軽量化に役立っているほか、排気効率向上すなわち高回転域のトルク&パワー確保や、排気サウンドの演出にも寄与している。メインマフラーは11.6lだから容量としては小さくない。
 不快なメカニカルノイズやこもり音の低減に心を配りながら、排気をスポーツカーらしい音量にすべく、チューニングに努めたというが、このあたりは試乗記に感想をのべたつもりだ。
 そうっだったかなァと首をかしげたのだが、対米輸出のMX-5ミアータと比較すれば、レギュレーションの関係で、日本仕様は音をおとなしくしてあるのだろうな。
 スポーツカーらしい演出といえば、エンジンルームのデザインを見過ごしてはならないだろう。
 経営陣のトップに内緒で(?)専用のアルミ製カムカバーを作った話はおもしろかった。
 ステンレス製エキゾーストマニホールドばかりか、サージタンクと一体のインテークマクホールドも見た目を気にしたデザインになっている。



今回、本当に写経の様に文面を写し取る作業は非常に辛かった。(約1年がかりである。)
その長文に挫折しかけた事、幾たびあった事か。(読むほうも好きでなければ字ばかりでつまらない事だろうし)
しかし少しも更新の無い当blogに訪れてくれた方々に報いるべく筆者として届ける他努力を知らなかった。
本日、ついに公開するにあたり余りの長文の為、2分割にする事にさせて頂いた。

残りも既に原稿はできているので、アップするだけである。
物事のウラを突き詰める方法として、はやりwikiのやり方は的を得ているかと思ったり、悩んだ一年であった。

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