天才と天災は紙一重:プロローグ 

March 31 [Fri], 2006, 17:25
僕が彼女を初めて見かけた時、学校に遅刻しそうで焦っていた。
カバンのチャックは閉め忘れ、今にも中身が飛び出しそうで、それでも止まることなく一生懸命走っていた。
そして、横断歩道に通りかかる。
しかし不幸なことにちょうど信号が点滅して赤に変わろうとしている。
車は見当たらなく、隣にいた男性と共に急いで渡ろうとしたその時だ。

「人が死ぬ」

透き通った、か細い声が僕の足を止めた。
隣の見ると如何にもお嬢様といった、風貌の同い年ぐらいの少女。
紅の髪の毛は結ばずに少しパーマがかかっている様、帽子をかぶってそれを風に飛ばされないように手で押さえていた。
何より印象的だったのは目が、一点を見つめたまま動かなかった事だ。
前に何があるわけでもない、人には見えない何かを捕らえているような冷たい視線。
突如、その視線が僕に投げかけられた。
「ね?」
笑いかけてきた。
「え……?」
いきなりの展開に戸惑いを隠せずに、思わず視線を逸らしたその時だ。
キキキーーーーッッッ。
いつ来たのかも知れぬ車に、先ほどまで隣にいた男性が死んでいた。
騒ぎ始める周りの人々、そして誰かが連絡して近くの病院から救急車も来た。
気がつくと、少女の姿は見当たらない。
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