病床に映画界を想う

August 06 [Tue], 2013, 17:27
病床に映画界を想う。私はあえていうが無知の努力は芸術良心ではないのだ。早い話がまったく戦争を知らないものがたとえば信長のような人間を措こうと思っても、それはできない相談ではないかと思う。しかしこれらの方法にはなお多量の不安がある。真剣なるもの、尊厳なるものを否定するということは、いいかえれば人生に何ら真剣なるもの、尊厳なるものを認めないということである。ハートの食堂の監督になるというようなことはちよつと考えられない。

一年経たねえうちに危険思想なんてものは日本になくなるね。東宝国ではそれは合理主義であると信じているであろうし、桧竹国ではそれは経験主義であると信じているに違いない。保険の外交員が八千代生命から帝国生命へ鞍がえしたのと何らえらぶところはない。映画法が実施せられて我々も登録を要することになり、先日、二十何年めかに履歴書を書かされたり、手札塾の写真を撮らされたりした。よしまにあわなければよろしい。そしてこれらの閣僚を決定するのは内閣の首班と軍人であり、内閣の首班を決定するものは、軍人と重臣であった。

まだある。

August 03 [Sat], 2013, 17:26
まだある。これは何もいまさら私が楷摘するまでもなく、いやしくも現代の紳士階級の一般心理に関心を持つはどのものならだれしもがとつくの昔に気づいている現象である。そこで最もいい方法は故障のない完全なセットを備えてスウィッチはいつも切っておくことである。そんなことがわからんですか。このような私が、ただ偶然のなりゆきから一本の戦争映画も作らなかったというだけの理由で、どうして人を裁く側にまわる権利があろう。シナリオのよさを誤りなく判断するには、結局、他の芸術作品の場合と同じく、作品の中に含まれている独創力の多少を検討する以上に重要なことはあり得ない。

私はいつの間にか君の一歩一歩に将来の自分の運命を賭けていたのだ。三十五、六にもなって考え直したのでは少しおそすぎるだろう。けれどもそれは必ずしも私が確固たる反戦の信念を持ちつづけたためではなく、たまたま病身のため、そのような題材をつかむ機会に恵まれなかったり、その他諸種の偶然的なまわり合せの結果にすぎない。

御用聞きであると実にはつとする

August 02 [Fri], 2013, 17:25
御用聞きであると実にはつとする。しかしてこれは明治の初期締までその影響力を持続していたが、自然主義文学の勃興とともに思想的現役性を失い、現在では歌舞伎の中に形骸となって残っているにすぎず、人は感覚的に歌舞伎の美に酔うことはできても、思想的にはいささかの交流をも感じることができなくなってしまった。次にこまるのは彼らに音響学の素養がないため、説明の方法に窮することである。

そんなことまでも危ぶまれてならない。同時性の確保せられていないトーキーというものは、我々がこの地上で見得る一切のうち、最も醜い存在。知つているからこそ、だれも不平一ついわないで命を捨てに行っているし、また一方熱烈な銃後の後援ともなつて現われているのだ。

今度の待遇改善問題は現在の物価指数が収入に対するバラソスを失したことに端を発しているのであって、しかもその物価楷数は我々の収入の規定されたころの二十倍ないしこ盲倍に達しているのに、おどろくペし、給料の平均五割値上げを要求したのだから、これはどういう料簡なのだかまったく不可解である。

ヤソがこの敏を措くのにどれだけの時間を

July 31 [Wed], 2013, 17:24
ヤソがこの敏を措くのにどれだけの時間を必要としたかはわからないが、ともかくもこれを見て人間の肉眼の把捉力と画家の写真力に驚嘆しない老は恐らくあるまい。しかし仕事の質はそのためどれだけ落ちているかわからない。

私は相当うぬぼれの強い人間であるが五年間作晶を出さずにつないで行く自信はない。すなわちこれはユーモアでも、朝霞でもない普通の博士論文程度の軽いものである。同時に、これと同じようなことが映画の悪税についてもいえるであろう。いったい助監督という仕事は責任観念の持ちよう一つでどうでもなる仕事で、責任を人に持たせようと思えば全部人に持たせられる。

もしも助監督側が会社側に向かって、自分たちの位置、制度、保障などについての合理化を要求した場合そのいずれもが好むと好まざるとにかかわらず、必然的に触れなければならぬのはこの間題である。刺身にパセリ。

『私はいかにして結核を征服したか』

July 29 [Mon], 2013, 17:23
『私はいかにして結核を征服したか』こんな本を出すとすぐに病気が再発して彼は死んだ。そこで我々のとるべき路は一つである。では、いいトーキーを見ること、およびトーキーに関する文献を読むことは勉強にならぬかときかれるならば、私はこう答える。現代のいわゆる結核療法というものを読んでみると、その内容はことごとく精神修養書に現するものばかりである。

竹田は作の出来不出来が著しくない例の人らしく思われるが、それでも『船窓小戯画冊』中の、例の「舟中売章魚図」と題する絵のよさは格別で、自分なら他の竹田官枚よりも、あの絵一枚のはうが欲しい。五所君は私のためには同業者であるうえに同病者でもあるのでその動静は新聞などのうえで特に注意を払っている。

アメリカ映画の黄金時代を象徴するものはこの悲しい道化であるが、同時にそれは芸術以前の映画の姿をも象徴しているのである。ムーヴ 買取

何が起きたんだ

March 13 [Wed], 2013, 23:11
彼はじっとその戯れを見つめながら、遠い過去の記憶でも追うように
今日の出来事を頚の申で思い浮かべていた。すべてのことが他人事の
ように噸序よく、事に取るように恕叫憶によみがえった。しかし自分が
ほうり山叫されるところまで来ると、記憶の糸は



ぶっつり切れてしまった。彼はそこのところを、幾度も無関心に
繰り返した。笠井の娘笠井の娘笠井の娘がどうしたんだ彼は
自問自答した。だんだん目がかすんできた。笠井の娘……
笠井笠井だな、



馬を片輪にしたのは。そう考えても笠井は彼に全く関係のない
人間のようだった。その名は彼の感情を少しも動かす力には
ならなかった。彼はそうしたままで深い眠りに落ちてしまった。

河のほとり

March 10 [Sun], 2013, 23:06
彼は自分で何が何だかちっともわからなかった。彼は夢遊病者の
ように人の間を押し分けて歩いていった。事務所の角まで来るとな
んということなしに、いきなり道の小石を二つ三つつかんで入口の
ガラス戸にたたきつけた。



三枚ほどのガラスはみじんにくだけて飛び散った。彼はその昔を
聞いた。それはしかし耳を押えて聞くように遠くのほうで聞こえた。
彼はゆうゆうとしてまたそこを歩み去った。彼が気がついた時には、



どっちをどう歩いたのか、昆布岳の下を流れるシリベシ河の河岸の
丸石に腰をかけて、ぼんやり河南をながめていた。彼の目の前を
透明な水があとからあとから、同じような桐もん紋を措いては
消し、措いては消して流れていた。

空中へ舞う

March 06 [Wed], 2013, 23:02
と患ういとまもなく仁右衛門は空中に飛び上がって、やがてたた
きつけられるように地面にころがっていた。彼は気丈にもころがり
ながらすっくと起き上がった。すぐ彼の周の所に飛んでいった。



馬はまだ起きていなかった。後脚で反動を取って起きそうにして
は、前脚を折って倒れてしまった。訓練のない見物人は潮のよう
に、仁右衛門と馬のまわりに押し寄せた。仁右衛門の馬は前脚を
二脚とも折ってしまっていた。



仁右衛門はばんやりしたまま、不思議そうな戟をして押し寄せた
人波を見守って立ってるほかはなかった。獣医の心得もある蹄鉄
屋の顔を群集の申に見いだして、ようやく正気に返った仁右衛
門は、馬の始末を頗んですこすごと顔席場を出た。

縮めていく距離

March 01 [Fri], 2013, 23:00
彼が鞭とあおりで属を賛めながら、最初から目星をつけていた党政
の馬に追いせまった時には決勝点が近かった。彼はいらだってびし
ぴしと鞭をくれた。始めは自分の馬の昇が相手の尻とすれすれに
なっていたが、



やがて一望歩二成しの距離は縮まった。狂気のような喚呼が、夢中
になつた彼の耳にも明らかに響いてきた。もう一息と彼は思った。
その時突然、桟敷の下で遊んでいた松川場主の子供がよたよたと
時の申へはいった。



それを見た笠井の娘はわれを忘れて駆け込んだ。「危ねえ」度に
かたずを飲んだ。その時溌声軌彗さ叶政にいた馬は娘の派手な
着物に驚いたのか、きっときれて仁右衛門の馬の前に出た。

上等な馬

March 01 [Fri], 2013, 21:10
人々はその属を見ると敬意を払うように互いにうなずき合って、
今年のせりでは番物だとほめ合った。仁右荷門はそういうさき
やきを聞くといい気持ちになって、いやでも勝って見せるぞと
患った。六頭の属がスタートに近づいた。



さっと旗が降りた時、仁右衛門はわぎと出おくれた。彼はほかの
馬のあとから内将へ内将へとよって、少し手綱を引きしめるよう
忙レて駆けさレた。はてった彼の顔から耳にかけて、



竣をふくんだ風が息のつまるほどふきかかるのを彼は快く思っ
た。やがて腐場を八分目ほど回ったころを計って手綱をゆる
めると、馬は患いぞんぶん首を延ばしてずんずんおくれた
馬から抜き出した。
プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:わんこ
読者になる
2013年08月
« 前の月  |  次の月 »
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
最新コメント
ヤプミー!一覧
読者になる
P R
カテゴリアーカイブ
http://yaplog.jp/lovedogs45876/index1_0.rdf