はじまりの日 

2005年05月02日(月) 4時09分
はじまりは去年の年末。
忘年会の帰りのこと。

いつも酔った彼女のかばんを持つのが役目だ。
その日も酔った彼女のキャリーバックを持ち、彼女を送ることになった。

ちょうど年末でお互いに残った仕事を片付ける為に、
家ではなく会社へと送ることになった。
途中までは数人の集団だったが、最後は二人きりになっていた。

誰もいない地下道を歩いていると突然、
彼女が「くつを脱いで歩きたい」と言った。
笑いながら「脱いだらいんじゃない」と答えた。
靴を脱ぎ手にもった彼女は「冷たくて気持ちいい」とはしゃいだ。

会社に戻り誰もいないフロアで二人、
いつものように他愛のない会話を交わす
二人の距離は近かくなっていた。
鼓動が早いのも、酒の酔いだけではないことは明らかだった。
何を話していたのかはほとんど憶えていない。
「抱きしめたい」衝動で心がいっぱいだった。

酔いも回り、仕事は仮眠をとってからということになり
二人でキャリーバックを枕に横になった。

彼女の顔はすぐそこにあった。
忘年会用のちょっと濃い目のメイク。
彼女の唇が目の前にある。理性が飛びそうだった。

エアコンを入れたあったが、床に寝ていたので彼女は寒そうだった。
冷たい手を軽く握ったあとに、ぎゅっと握り締めた。
彼女が寒そうに上着を動かす。自分の上着をかけ軽く抱きしめた。
髪にそっと触れる。もうそこには遮るものはなかった
髪をなで、そっと髪にキスをする。
鼻と鼻が触れ合う距離まで顔を近づける。
でもキスはできなかった。

少し離れて、寝る事にした。
ほんの少し眠ると目がさめる。眠れない。
また、髪をなでそっと唇と頬で彼女の頭に触れる。
理性の限界を超え、キスをしようと思ったその時

ドアの開く音が聞こえた・・・。
僕はこの邪魔者に感謝しながらも、後悔した。
この日はこれ以上何もなかった。

彼女の口からこの日のことを聞く日がくるまでは
ずっと友達のままだった。

崩れ落ちた壁 

2005年05月04日(水) 5時39分
あの日から2ヶ月の間、お互いに何も無かったようにすごした。
彼女は眠っていたから、何も憶えていないと思っていた。
違いを挙げるとすれば、お互いの中の相手の存在感が違った。

あの日以来、互いの距離は近くなっていた。
そして、壁が崩れ落ちるときが来た。

その日は、深夜遅くまでミーティングをしていた。
朝早く先方に向かう為、プロジェクトメンバーは
ミーティングが終わると、みな家に帰っていった。

残った仕事を片付けているとすでに、
時計の針は深夜0時を過ぎ、すでに最終電車は出発していた。
会議室を出てフロアに戻ると、彼女がまだ仕事をしていた。
衝動に駆られて、思わず声をかけてしまった。

「電車だいじょうぶ?まだ帰れる?」
「うん、でもまだ仕事が終わんないんだ」
「大変だね」
「でも今日は飲み会があるから。」
「えっそうなんだ!」
二人だけでどこかに行こうと思っていたが、あてが外れた。
だが、その飲み会は海外から帰ってきた共通の友人を囲むものだったので
一緒に参加することになった。

「じゃあ行こうか」
二人で飲み会まで向かう道で家庭や家族のことや、仕事のことなど
お互いの近況を話した。

飲み会では、恋愛の話で盛り上がっていた。
どうして彼女ができないのか、初デートでいくのならどこ?など
2時をまわり、一旦解散となった。

まだ仕事が残っていたので、会社に一旦戻ることにし、
その後に2次会に参加した。
2次会では、いつもどおり海外帰りの友人が彼女と仲良く話をしていた。
海外帰りの友人は彼女とは仲がよく、みな彼が彼女のことを好きなことは知っていた。

朝方、二次会が解散しみなそれぞれの家路についた。
ホテルに戻るもの、歩いて帰るもの、電車で帰るものなどバラバラになった。
同じ路線を使う彼女と駅の改札をくぐり、柱のところまできた。
僕は立ち止まった。彼女が心配そうに寄ってきた。

壁がくずれた。

僕は近づいてきた彼女を抱き寄せていた。
プロジェクトのプレッシャーもあり、
酒も入っていたし、疲れもあったのだと思う。
でもそれはただの言い訳に過ぎない。
本当は自分の押し殺してきた本心が出てきただけだった。

抱き寄せた彼女の唇を奪い、そしてまた抱き寄せた。
「キスしちゃったね」と彼女がつぶやいた。
「しちゃったね」と答えながら再度、唇を重ね合わせていた。

誰にも言えない 

2005年05月05日(木) 5時55分
駅の改札は人目につくので、移動をしながら話をしていた。
「私はあなただったら、遊びでもいい」と彼女が言った。
「そんなんじゃないよ。本当に好きだから」
「本当に?」
「みんなに優しいから、私だけ特別とは思ってなかった」
「いや、特別扱いしてたん・・・だけどね」
「だって私じゃないと言ってたじゃん。あの人のことが好きって」
彼女は昔の飲み会で、うちの部署の中でなら誰がいいかを
男同士で言っていたのを憶えていたらしい。
「違うよ、逃げの言葉だよ。本心を目の前で言えるわけないでしょ」
そっと彼女を抱き寄せて、耳元で「カワイイよ」とつぶやいた。
「嬉しい、・・・もっと言って」と彼女がせがんだ。
抱き寄せてまたキスをした。

彼女が「奥さん大丈夫なの?」と聞く
「大丈夫じゃないけど、まあ大丈夫」
よくわからない返事を返した後に
「お互いに同じ立場だったら良かったのに」と言うと
「実はね、彼氏できたんだ」
一瞬、耳を疑った。前の彼氏と別れてずっといなかったと聞いていたからだ。
「まだね、誰にも言ってないんだ」
「いつごろ?」
「先月くらいかな?」
「そう。良かったね」とちょっと強がってみた。

「忘年会のときのこと憶えてる?」と突然彼女が言い出した。
「あの時って、きっと見られてたよね」
「いや、大丈夫だったよ。」
「先輩は大人だから、黙ってくれてると思った」
「いや問題ないでしょ、俺達そんな風な関係には到底見えないじゃない
 二人でいても、誰もあやしんでもくれないし」

電車も走り始めていたので、二人で電車に乗った。
いつもとは違い抱き合いながら、恋人のように手を握り合った。

彼女の乗換えの駅につき、二人で朝の街を散歩した。
このままずっといられたらいいのにと思いながら。
「怒られちゃうね」彼女が悪戯っぽく言った。
「そうだね、誰にも言えないからね。」
「全てが秘密だね」
「そうだね」

その日は仕事があったので、
普段どおりに出勤する為に二人で駅まで戻った。

彼女の家に向かう電車が来た。
その時「もう一回」と彼女が言った。
駅のホームで人目も気にせず別れのキスをして、
彼女は電車にのった。
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